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京太郎「それじゃ、俺お茶淹れてくるから。てきとーにくつろいでてくれな」 咲「う、うんっ」 咲(え、えへへ、京ちゃんの部屋に来たのすっごく久しぶりだよー) 咲「高校に入ってから、よく考えたら一度もお邪魔してなかったもんね……」 咲「うーん、やっぱり男の子の部屋って感じ。結構てきとーに物とか置いてるみたいだし」 本棚「ディスウェイ……」 咲「本棚なんて、大きさからなにからバラバラだし……背表紙が後ろ向いちゃってるのもあるし」 咲「……私、気になります!」 咲「おっかたずけー、おっかたずけー♪」(少女、物色中…… 咲「あ、この作者さんの本、読んだことないや。へえ……花家圭太郎先生の葉隠れ侍口入れ屋人道楽帖シリーズに竹光半兵衛シリーズ―――京ちゃん、なかなか目が高いねっ」(マジオモロイから読んでみそ 咲「これは今日貸してもらうから避けといて……んー?」(ヨケヨケ 咲「なんだろ、本の後ろにさらに本が――――ッ!?」 えちぃ本「Hello!」 咲「ぇ、ぁ……こ、こここ、これって…………ぇ、ぇっちな本、だね」 咲「そ、そっか、本を隠すなら本の中……ですか、ソーデスカ」 咲(どどど、どうしよう、こういうのって見なかったフリしとくのがいいのかな!?) 咲(でも、こんなの見ちゃったら京ちゃんにどんな顔していいのかわかんないよぅ……!!) 咲「………………チラ?」(オソルオソル えちぃ本「Heylookme!!」 めくるめく……淫靡なる饗宴……! 少女の知らない世界……! 無理もなし……! 圧倒されるっ……!人は未知なるものにただ、圧倒されるっ……!! 咲「ひゃぅっ!?」 咲「……ハーッ、ハーッ!!」 咲「えっと……見なかったことにしよう、ウン」 咲(本の中に出てきた子……みんなオッパイ大きかったな……) 咲「……」(ペタペタ 咲「………………ちょっとご立腹です」(ムスリ 京太郎「おーす、お待たせ咲ー!龍門渕の万能執事直伝の紅茶だぜー」 咲「あ、うん……ありがと」 京太郎「どしたんだよ、なんか顔赤いぜ?」 咲「……京ちゃん、部屋ぐらいちゃん片付けた方がいいよ?」(プイ 京太郎「お、おう?」 咲「京ちゃんのバカ……」(真っ赤
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京太郎「お前らの内誰かがトップを取れば俺の命・・・・チンコを去勢すればいい。そのかわり俺が勝ったらお前らの処女をもらう」 咲「京ちゃん・・・どうしたの?いきなり・・・」 久「須賀くん、頭イカレてるの?正気の沙汰じゃないわ」 タコス「ヤクでもキメたのかじぇ?」 和「マジキチです、須賀くん」 ワカメ「ワカメ」 京太郎「この正念場でリスクを負えず退く程度のレベル・・・それがあんたたちの容量・・・全国に届きようもない」 久「カスのクセに言うじゃない。ムカツクわ。いいでしょう、その勝負受けましょう」 咲「そ、そんな部長・・・京ちゃん、いいの?去勢されちゃうんだよ?(京ちゃんみたいなザコじゃトップなんて無理だよ)」 京太郎「どうかな・・・やってみればわかるさ」 咲「京ちゃん・・・・(こいつカスだな)」 対局後 久「う、うそ・・・圧倒的点差で・・・・こんな惨敗・・・・・!」 京太郎「覚えておくんだマン公・・・。能力を使えば圧勝できるだと・・・?」 京太郎「馬鹿じゃねぇのか・・・?そういうこざかしいことと無関係のところに・・・強者は存在する・・・!」 咲(こいつ・・・・!) ……… … ドッピュルルルルル 京太郎「どうだ?初めての男の味は?」 和・久「京太郎さまぁ・・・///」 咲「うぅ・・・・・」 咲「京ちゃん・・・・赤ちゃんできちゃったらどうするの・・・・?私・・・・」 京太郎「そういう理不尽な妊娠って言うのがSEXなんだ・・・・俺はずいぶん長くそう考えてきたが違うのか・・・・?」 京太郎「ククク。どれ次は龍門渕あたりにでも顔を出すか」 ……… … 京太郎「ハァハァアッはぁっ・・・一ぇ・・・一!・・・っはぁっはぁっ」 はじめ「あ゛っあ、む゛ぁ゛っ」ズンズンズンズンズンズンズンズンズンズンッ はじめ(気持ち悪い・・・・ベロチュウされながらオナホみたいに扱われて両手持ちで上下に振られなてチンコに叩きつけられるなんて・・・!) 京太郎「あ゛っ゛っ゛っ゛っ゛っ゛っ射精るッ射精るッ射精るッ射精るッ射精るッツモ!!!!!!中出し無双!!!!!!!」 どづっぢどいおどっどydpぢゅいおようdぽおydぱそ!!!どっぴゅい!!!!!!!!! はじめ「うぁあっ・・・!!」ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクッ・・! はじめ(長い・・・射精が・・・・一番深く挿入されて両腕でがっちり隙間がなくなるくらいにおさえつけられて・・・!!) 京太郎「はじめちゃん、その卵子だ」ドyピュ はじめ(うっ・・・・!子宮狙い撃ち・・・・!) 京太郎「まだまだ。俺のリビドーは収まらねぇ」 ……… … 京太郎「ロン 8000オールだ」 照「バカな・・・なんて強さだ」 菫「カタカタ」 京太郎「約束通り冬服に着替えてもらおうか」 照「わざわざ冬服に着替えさせてから孕ませるなんて・・・」 京太郎「恨むなら白糸台高校の冬服をデザインした奴を恨むんだな」 照「・・・着替えたぞ」 京太郎「おらぁ!」腹パン 照「ぐぶっ」 京太郎「なんだその目は!畜生見下しやがって!」 京太郎「ちょっと麻雀が強いからっていい気になってるんじゃねーぞ!」 どごっどごっ 照「ぐはっ・・・やめろ・・・」 京太郎「ふうふう」カチャカチャ 淡「やめろ!テルーに」 京太郎「うるっせあぁぁああぁぁ!」グイッ 淡「痛い!痛い!髪引っ張らないで!」プチプチ ぶんっ 淡「あうっ」どさっ 菫「カタカタ」 淡「やめて・・・お願いだから・・・」うっうっ 京太郎「じゃあ選べ。ここでお強い先輩が孕まされるのを手を咥えて見守るか」 ビリビリビリ 淡「いやぁっ」 京太郎「代わりにお前が冬服に着替えるかをなあ!」 渋谷「ズズズ」 淡(そんな・・・でもここで断ったらテルーが) 照「・・・・・・」ガタガタ 京太郎「早くしろ!あと5秒だ!さーん、にーい、いーち」 照「頼む・・・淡、着替えるくらいいいだろ」ガタガタ 淡「・・・ごめんね」 京太郎「ひゃあ!」 照「やめろぉっ!謝るな!頼むっ」 ……… … トゥルルルル 咲『もしもし』 照『咲か』 咲『どうしたの急に』 照『須賀京太郎』 咲『ひっ』 照『やはりお前もか・・・』 咲『うん・・・わたしだけじゃなくて麻雀部員はみんな・・・』 照『そうか・・・こっちもだ・・・菫と淡なんて冬服に着替えて髪コキまでしたのに』 照『約束通り犯されてしまった・・・多分妊娠しているだろう』 咲『ひどい 白糸台って麻雀部いっぱいいなかったっけ』 照『一人残らずだ』 咲『うう・・・もういやだよ』 咲『和ちゃんと部長は一発でできちゃって・・・優希ちゃんは危険日のたんびにされて結局・・・』 咲『わたしもデキてなかったけどもしかしたらまた・・・』 がらがらがら 京太郎『お邪魔しまーす』 咲『ひいっ!』 照『おい!咲!どうした!』 咲『いや!もうやめて!こないで!』ぶんっ がしゃぱーりーんがちゃ 照『咲!咲!』 京太郎『もしもし代わりました。須賀N.P.京太郎です』 照『貴様!咲をどうした!』 京太郎『うっ・・・ふう。なんかでかけましたよ』どくどくどく 照『ウソつけ!』 咲『いやぁ・・・許して・・・もうやぁ・・・おとーさん・・・』 京太郎『またえらそうな口の聞き方に戻ってますねチャンピオンさん』 照『うるさい!咲を離せ!』 京太郎『調子に乗るなよメス豚が』 照『なっ』 京太郎『俺に無理矢理犯されてる時に、麻雀強いのが何か役に立ったか?え?おい』パンパン 咲『お願い・・・ゆるして・・・昔の京ちゃんにもどってよぉ・・・』 照『咲を離せ・・・離してください・・・・』 京太郎『うーんそうだなー、じゃあてるてるが一生俺の子供を生み続けますって誓ったら考える』 照『ふざけるだ誰が』 京太郎『あーせっかくまだ咲が綺麗な体のまま開放されるチャンスなのになー』 咲『ひっく・・・ひっく・・・』ぱんぱん 京太郎『お姉ちゃん咲はどうでもいんだって。自分のがかわいいんだってさ』 照『っ・・・わかりました』 京太郎『愛の告白付きでよろ。ずっと子ども作るなら当然だよね』 照『・・・・・・・須賀京太郎さん、愛してます。一生生み続けますから、私だけと子作りしてください』ギリギリ 京太郎『うーん、気持ちこもってないなー。まあいいか、でも俺のこと嫌いじゃなかったの?ねえ?』 照『無理矢理犯されて嫌いでしたけど、好きになってしまいました。結婚してください』ギリギリ 京太郎『うわーすげー棒読み。まあそこまで言うなら仕方ない』 咲『お姉ちゃん・・・』うっうっ 京太郎『よかったなー咲。今日一番危ない日だったもんな』 咲『うん・・・うう・・・お姉ちゃん・・・ありが』 ドグンッ 京太郎『うっ射精る、おうっふ、うっ、くおお』 照『咲!?おい貴様』 咲『えっ?いやっ!いやっ!いやーーーーっ!!』 京太郎『すいません、溜まってたもんで気持よくておうっく』びゅるびゅる 咲「・・・ひっく・・・ひっく・・・」 京太郎「さて、次は後背位だ」 咲「いやぁ・・・もういやぁ・・・あん!んっ!っ!・・・・」パンパンパン 京太郎『じゃあ照さんまた今度。愛してますよ』 ピッ 照『・・・・・・・』 照『許・・・さない』 照『許さない!許さない!』 照『・・・ね・・・死ねぇ・・・・・・いや、殺す・・・殺してやる!』 照『私はお前を殺してやるぞ・・・須賀京太郎ぉ!!』 カン
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361874491/ ――控え室―― 京太郎「ここに来るのも1週間ぶりかー。やっぱ移動も疲れますね」 佳織「私たちの住んでるところからだと遠いよね」 京太郎「ほんとですよね。明日も来るんだから泊まらせてくれればいいのに」 桃子「こんな狭い部屋で女子5人とお泊りなんて何するつもりっすか!」 京太郎「何もしねえよ!! というかなんでここで泊まるんだよ!」 智美「ウチの部じゃホテルとかは難しいなー」ワハハ 睦月「風越はホテルで泊まってるみたいですね。羨ましい……」 京太郎「やりくりすればなんとかなったりしませんかね。その……ゆみ先輩」カアァァ ゆみ「あ、ああ。で、出来なくはないだろうが……」カアァァ 京太郎「?」 ゆみ「その、全国へ行く……んだろう? ただでさえ部費が足りていないのに、ここで使ってしまってはな」 京太郎「っ! そ、そうですね。ちゃんと考えてませんでした……」 智美「まだそれやってるのかー?」 桃子「まあ最初に比べたら良くなったじゃないっすか」 佳織「目を合わせる度顔真っ赤にしてたね」 睦月「その割にお互いがお互いを見ようとするんだよね」 智美「さすがの私もどうしてやろうかと思ったなー」 ゆみ「うぅ……」カアァァ 京太郎「あなたたちがからかうからでしょ!? っていうかなんでみんな知ってたんですか!」 桃子「そんなのあんなところで大声で告白すれば当然じゃないっすか」 京太郎「あんなふうに送り出しといてついてくるか普通!?」 智美「ゆみちんと京太郎を2人きりで遊びに行かせたとき、私たちが何をしたか忘れたようだなー」ワハハ 京太郎「開き直らないでください!!」 睦月「まあでも、ついていかなくてもその内知ることにはなってたと思うよ?」 ゆみ・京太郎「……え?」 桃子「いや当たり前じゃないっすか。あんな人の多い所であんな告白したら噂になるに決まってるっす」 佳織「あなたが欲しいって告白は中々ないよね。聞いてて恥ずかしくなったよ」アハハ 京太郎「……で、でももうみんな忘れてますよね!?」 ゆみ「そ、そうだな。一週間も経っているのだし……」 智美「それは難しいかもなー。鶴賀の大将が金髪に告白されてたってちょっとインターネットで話題になってるぞ」 桃子「さすがに一時期程じゃないっすけど、グラマスって人がまだまだ飽きそうになくて目立ってるっすね」 佳織「私も見たけど執念みたいなのを感じたよ……」 睦月「ちょっと怖かったね。文字だけなのに……」 京太郎「お、俺そんなの知らなかったんですけど!?」 ゆみ「私もだ。なんで教えてくれなかったんだ」 智美「いやー大会前に見せるにはちょっと怖くてなー」 京太郎「じゃあ終わってからにしてくださいよ!?」 桃子「今からなら見ないだろうからいいかなーと思ったっす」テヘペロ 京太郎「見なくても気になるんだよ!」 智美「まあ別にテレビで映ったとかじゃないし、知らない人は知らないから大丈夫だろー」ワハハ 桃子「ちょっとからかっただけっすよ。気にするほどじゃないっす」 ゆみ「それならいいんだが……」 京太郎「そうですね……」 京太郎「初めての公式試合……というか部員以外の人と戦うの初めてだ。緊張するなあ」 桃子「ネトマでいくらでもやってるじゃないっすか」 京太郎「そりゃそうだけど、現実にやるとやっぱり緊張するよ」 桃子「ネトマでやってるんだから大丈夫と思えってことっすよ。緊張してもいいことないんだから、解消しようと思わないとダメっす」 京太郎「あ、なるほど。発想の転換だな」 睦月「個人戦じゃ仲間がフォローしてくれないからね。私も個人戦が先だったらと思うと……うぅ、気分が」ヨロッ ゆみ「想像でダメージを受けるな」 智美「来年までには直すんだぞー」ワハハ 佳織「でもそっか。他の人たちはほとんど団体戦で慣れてるけど、京太郎くんは個人戦が初めてなんだね」 桃子「そう考えると少し不利かもしれないっすねー。まあ普通1試合くらいで緊張も解けるとは思うっすけど」 智美「逆に調子崩して引きずることもあるかもなー」 京太郎「縁起悪いこと言わないでくださいよ……」 智美「そこで私から提案だ」 京太郎「はい?」 智美「ゆみちん、京太郎の緊張をほぐす一言をどうぞ!」 ゆみ「なっ!?」 京太郎「えっ!?」 睦月「」ドキドキ 佳織「」ドキドキ 桃子「ドキドキ」 京太郎「声に出すのやめい!」 ゆみ「そ、その。京太郎くん」 京太郎「は、はい!」ビクッ ゆみ「団体戦の後に君が言ってくれたこと、凄く嬉しかった」 ゆみ「団体戦で感じた他校の高い壁。それを私なら乗り越えられると言ってくれて、たとえお世辞でも勇気づけられた」 京太郎「それはお世辞なんかじゃ――」 ゆみ「自分の実力ならよくわかっているよ。私は個人戦で1位にはなれない」 ゆみ「だから京太郎くんが本気で言っていても、それはお世辞だ」 京太郎「……」 ゆみ「……私が一番嬉しかったのは君が全国を目指すといってくれたことだよ」 京太郎「え?」 ゆみ「私は長野で1番強いなんて思っていない。けれど、それでも京太郎くんに比べれば、全国に出られる可能性は遥かに高いだろう」 京太郎「あ、あはは……」 ゆみ「……き、君は私に、その、こ、告白、をしただろう?」カアァァ 京太郎「は、はい」カアァァ ゆみ「そ、それがどれほど決意が必要か私も分かるつもりだし、きっと返事もすぐ聞きたいと思う」 ゆみ「そんな大事なことを全国に出ることを条件にした」 ゆみ「……君が部で過ごす時間をそんなに大切に思っていてくれたことが、本当に、本当に嬉しい」 ゆみ「私も君も、けして長野で1番強い雀士ではない。だけど、麻雀は強い者が必ず勝つものじゃない」 ゆみ「君ともっと長い時間を過ごしたいのは私も同じだ。一緒に全国へ行こう。私と、君で」 京太郎「ゆ、ゆみ先輩……」プルプル ゆみ「……」 京太郎「……」プルプル ゆみ「……? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ、その。必死で耐えてます」 ゆみ「何をだ?」 京太郎「その、えーと……やっぱりやめときます」 ゆみ「気になるじゃないか」 智美「察してやるんだ。多分ゆみちんを抱き締めたいんだと思うぞ?」 ゆみ「えっ!?」 京太郎「ちょ、ちょっと部長!!」 桃子「気持ちはわかるっす! 私は今みたいなこと言われたら迷わず抱きつくっすよー!」 ゆみ「そ、そういうものなのか?」 睦月「そういうものというか、さっきのはそうしたくなる台詞だったかなと……」 佳織「私は嬉しくて逆に動けなくなっちゃいそうです」アハハ 智美「全然一言じゃなかったしなー」ワハハ ゆみ「……」 京太郎「お、俺は嬉しかったですよ! やる気もめちゃくちゃ出ましたし! 緊張してる場合じゃないなって感じで……」 ゆみ「……いいぞ?」 京太郎「……え?」 ゆみ「そ、それが君のためになるのなら、私のことを、だ、抱き締めてもいい」カアァァ 京太郎「」 ゆみ「た、ただ! あ、あんまり強くはしないでくれ。痛いのは……いや、君ならいいか」 ゆみ「……私のことを好きにしてくれ、京太郎くん」ウワメヅカイ 京太郎「……う」プルプル ゆみ「うん?」 京太郎「うおおおおおぉぉぉぉ!!」ダダダダッ ゆみ「あっ、おい! ……行ってしまったか」 桃子「行ってしまったかじゃないっすよ!! いきなり何してるんすか!?」 ゆみ「いや、見ての通りだが」 佳織「そういうことじゃないと思います……」 睦月「なんであんなことを?」 智美「さすがにちょっと京太郎がかわいそうだぞー」 桃子「そうっすよ! 確かにヘタレとか思ったっすけど!」 睦月「そこは真面目って言ってあげようよ」 ゆみ「……もちろんわかっているよ。だからこそだ」 佳織「どういう意味ですか?」 ゆみ「京太郎くんが全国へ行けなかったら返事をしない。私はあれを厳密に守る」 桃子「いやもうほとんどしてるようなもんだと思うっすけど……」 ゆみ「……付き合うかどうかはまた別だ」プイッ ゆみ「ともかく、だから私は京太郎くんに抱き締めてもいいと言ったんだ」 ゆみ「……私自身も出来ないと思うと寂しいしな」ボソッ 智美「そ、そこまで本気だったのか?」 睦月「正直なんだかんだで負けても付き合うんだと思っていたんですけど……」 ゆみ「それは京太郎くんにも失礼だろう」 桃子「それはそうかもしれないっすけど、全国っすよ? しかもあの怪物がいる長野男子個人戦っすよ?」 ゆみ「だからこそ可能性も出てくるだろう? 普通なら可能性はないと言っていいくらいだ」 桃子「それはそうっすけど、モノは言いようって感じで……」 佳織「でも信頼してるってカッコいいですね! 憧れます!」 ゆみ「ああ……だ、大丈夫かな?」ウルウル 桃子「そこでヘタレるんすか!?」 ゆみ「い、いや。心配される分にはいいんだが期待されると急に不安に……」 智美「そういえば前に考えがあるって言ってたなー。それはなんなんだ?」 ゆみ「うん? それは……まあ追々な」 桃子「むぅ、気になるっすね」 ゆみ「大したことじゃないから気にするな」 --------------------------------------- 京太郎「ああもう、ゆみ先輩何考えてんだ! 試合前だってのに心臓が!」ドクドクドクドク 京太郎「……まあ緊張は吹っ飛んだな。さすがに戻れないしこのまま別館の試合会場に行くか」 京太郎「でも惜しいことしたかなあ。ゆみ先輩があんなこというなんて夢みたいなこと、もうねーだろ絶対……」 京太郎「はぁ……あれ、おーい咲ー!」ブンブン 咲「」ビクッ 京太郎「また迷ったのかー!? まだ時間あるし控え室に連れてってやるぞー!」 咲「……っ!」タッタッタッ 京太郎「あ、おーい! ……聞こえなかった……にしちゃ不自然だよな」 京太郎「まさかまだ気にしてんのかな。先週からメールも全然してこねえし……いい加減普通に話して欲しいんだけどなあ」 ピンポンパンポーン 「男子個人戦、予選が始まります。出場選手の方は対局室へ集合してください」 京太郎「ついにか……」ブルッ 京太郎「うわ、震えてきた。……ゆみ先輩にあんなこと言って予選落ちなんてシャレにならないしな。やってやる!」 京太郎「おお、男子ばっかりだ。鶴賀は女子が多いからこの感じ久々だなー」 京太郎「……しかしなんか視線を感じるな。噂されてるような……」 「おい、あいつだろ? 先週ロビーで告ったってやつ」 「あんな話題にされてるのに普通に出てくるなんてすげえな。俺はとても来れないわ……」 「あなたが欲しいってそもそも告白なのか?」 「その告白でも許される顔だな……クソッ、許せねえ!」 京太郎「な、なんかここにいるとマズイ気がする」ブルッ 京太郎「さっさと対局室に行くか……」 京太郎「ふう、対局室の辺りはさすがに静かだな……そういえば対戦相手見てなかったっけ。誰だろ?」テクテク モブA「」ガタガタガタガタ 京太郎「あれ、すげえ震えてる。緊張してるの……」 アカギ「ククク……」 傀「どうも」 京太郎「」 アカギ「どうした? 席はそこだ」 京太郎(神様。いくらなんでも、初戦からこれはあんまりではないでしょうか……) ………… ……… …… … 京太郎「戻りましたー!!」 ゆみ「……お、お疲れ様。京太郎くん」カアァァ 京太郎「え、あ、ありがとうございます」カアァァ ゆみ「……見ていたよ。予選突破は出来ると思っていたが、それでもよくやった。おめでとう」 京太郎「は、はい!」 睦月「……もういいと思いますか?」ヒソヒソ 智美「もうちょっと待ったほうがいいと思うぞー」ヒソヒソ 京太郎「聞こえてます! いつでもいいですから!!」 睦月「うむ、お疲れ様。予選突破おめでとう」 佳織「凄いよ京太郎くん!」 桃子「最初の組み合わせ見たときはもうダメかと思ったっすよ。2人で牽制しあってくれてよかったっすね」 京太郎「みんな何事もなかったかのように……! まあそうだなー。最初見たときは生きた心地がしなかったぜ」 ゆみ「あの2人が揃った卓は散々に削られるか、牽制しあって膠着状態になるかどちらかだからな。日頃の行いがよかったんだよ」 京太郎「ほんと最初は生きて帰れるかどうかの心配してましたからね……」 睦月「さっきからそんな大袈裟だよ」アハハ ゆみ「いや、天江衣かそれ以上が2人と考えるとあながち大袈裟では……」 京太郎「ほんとですよ。なんなんですかあのプレッシャー!? 物理的な圧力を感じましたよ!!」 ゆみ「それが魔物と呼ばれる雀士なんだろうな。私も天江や宮永からそれを感じたよ」 京太郎「咲もそうなんですか……」 ゆみ「天江に勝ったのは伊達ではないさ」 智美「初めての試合の感想はどうだー?」 京太郎「そうですね……意外とやれる! ってのとまだまだだ……ってのが半々くらいです」 桃子「半々とは大きく出たっすね!」 京太郎「1ヶ月必死でやったし、ゆみ先輩にも鍛えられたからこれくらいはな」 京太郎「……ただ俺より強い人もいくらでもいるんだってのも実感したよ」 京太郎「わかってはいたけど化物2人ほどじゃなくても俺より強い人たくさんいるんだなあ……」 桃子「当たり前っすよ。上には上がいるっす。まして京太郎は初めて1ヶ月の初心者じゃないっすか」 京太郎「そりゃそうだけど、俺は今ここで勝たないと……!」 桃子「勝つつもりではいるんすね。よかったっす」 智美「うんうん、弱気になってないのはいいと思うぞ。ゆみちんも全国に行かないと返事しないって宣言してたしなー」ワハハ ゆみ「……ああ、それについては考えを変えるつもりはないよ」 京太郎「覚悟はしてます。自分で言ったことですから」 ゆみ「そうか。……それじゃあ次は私たちの応援を頼んだぞ」 京太郎「はい、先輩たちに負けないように5人分応援しますよ!」 智美「素直にゆみちんの応援を一番頑張るって言ってもいいんだぞー」ワハハ 桃子「所詮友情なんてこんなもんっすか」シクシク 京太郎「何も言ってねえよ!」 佳織「まあまあ、私たちのことも加治木先輩の10分の1くらいは応援してね」アハハ 睦月「同じくらいとは言わないからよろしくね」 京太郎「先輩たちまで! ……まあその、8割くらいで何とか」ボソッ ゆみ「バ、バカっ。う、嬉しくないとは言わないがみんな同じように応援を――」カアァァ 桃子「あ、いやそういうのいいっす。ほんとに」 智美「惚気に付き合わせるのはやめて欲しいなー」 ゆみ「ああもうっ! 京太郎くん、君がどうにか……」 ピンポンパンポーン 「女子個人戦、予選が始まります。出場選手の方は対局室へ集合してください」 佳織「じゃ、じゃあ行きましょうか」 睦月「うむ、ここにいるといつまでも巻き込まれそうだしね」 ゆみ「ま、待て。このまま行かせては……!」 桃子「ほらほら、遅れるっすよ」 智美「行くぞー」グイッ ゆみ「こ、こら。引っ張るなー!」ズルズル 京太郎「……」 京太郎「よし、応援頑張るぞ!」 ………… ……… …… … 睦月「うぅ、負けてしまった……」 佳織「私も。……技術も経験も足りてないのはわかっていたからしょうがないけど、でも悔しいなあ」 睦月「実力がまだまだ足りてなかったね……」 京太郎「でも佳織先輩が国士無双和了ったときは盛り上がってましたよ! 睦月先輩も最後まで諦めてなくてカッコ良かったです」 睦月「ありがとう、京太郎くん。でも私たちより先輩たちにおめでとうって言ってあげて」 京太郎「……はい! 部長、モモ決勝進出おめでとうございます!!」 智美「いやーなんとか残れてよかった」ワハハ 桃子「東風戦はつらいっすね。中々点を伸ばせなかったっす」 京太郎「ステルスが長く使える東南戦のほうがやっぱり好きなのか」 桃子「当たり前じゃないっすか! 明日が楽しみっす。言っとくけど私も全国狙ってるっすよ?」 京太郎「知ってるよ。明日も頑張れ」 桃子「もちろんっす!」 京太郎「それで……えっと、ゆみ先輩。決勝進出おめでとうございます。予選4位ですし全国まで後一歩ですね!」 ゆみ「ああ、ありがとう。……しかし試合開始前は凄い視線を浴びせられたよ」ハァ 京太郎「ゆみ先輩もですか。俺も見られましたよ。というか多分睨まれてたに近いですね」 ゆみ「うん、やはり一週間程度では噂は収まらないんだな……」 京太郎「その、俺のせいで、すみませんでした」 ゆみ「……君はしなければよかったと思っているのか?」 京太郎「そんなことないです! 俺はしたことも言ったことも後悔してません!」 京太郎ただ、それでゆみ先輩に迷惑をかけてるならやらなければよかったと……」 ゆみ「私は迷惑だなんて思っていないよ。あんな場所でしたのはまああまりいいことではないだろうが。だから気にするな」 京太郎「ゆみ先輩……はい!」 ゆみ「そんなことより、ちゃんと応援してくれていたか?」コホン 京太郎「もちろんですよ! 熱くなりすぎってくらい応援してました」 京太郎「東風戦なんて短い間にも相手の癖を見抜いて即対応して……」 京太郎「そういうときは見惚れて応援できてなかったですね。カッコ良かったです」 ゆみ「……ありがとう。4位とはいえ全国に行くには届いていない」 ゆみ「少し不安になっていたが、君がそう思ってくれているなら頑張らないとな」フフッ 京太郎「3位の風越のキャプテンは恐ろしく安定してましたね」 京太郎「でも2位の片岡は団体戦見る限り、多分東場で異常に強いタイプですよ」 ゆみ「そうだな。風越の福路を上回るのは難しいと思わされたが」 ゆみ「片岡は東場で恐ろしく強い分、東南戦になれば付け入る隙はありそうだ」 ゆみ「……しかし、その東場で無類の強さを誇る片岡ですら2位とはな」 京太郎「歴代最高得点塗り替えたのに2位ですからね。……咲、そんなに強かったなんて」 ゆみ「私もほとんど何も出来なかったよ。せっかくの親番も嶺上開花の親被りが怖くて他家への差し込みに使ってしまった」 京太郎「あのときの咲は三倍満くらい狙える手牌だったんで正解だったと思います」 ゆみ「そうか……。宮永はあまりにも圧倒的だ。彼女は間違いなく1位になる。全国へは実質2席を奪い合うことになりそうだよ」 京太郎「一緒に頑張りましょう。大丈夫、俺は1席ですからそれに比べれば!」 ゆみ「……フフッ、そうだな。君に比べればチャンスは2倍か」 京太郎「そうですよ! ……俺は明日どう戦えばいいんだろう」ガクッ ゆみ「それについては少し考えが――」 智美「いいところ悪いけど、電車の時間がまずいからそろそろ帰るぞー」 桃子「2人の時間もいいっすけど、電車の時間もちゃんと考えなきゃダメっすよー!」 京太郎「ふ、ふた……! 上手いこと言ったつもりか!?」 睦月「それは置いといて時間がちょっとまずいから」 佳織「次の電車に乗れないと帰るのが2時間くらい遅くなっちゃうよ」アセアセ 京太郎「も、もうそんな時間ですか? ゆみ先輩、すみません話はまた後にしましょう」 ゆみ「……そうだな。私も気づかなかったしまた後で」 智美「それじゃ早く帰るぞー」ワハハ ――帰り道―― 京太郎「今日はお疲れ様でした」 ゆみ「ああ、君もな」 京太郎「電車間に合ってよかったですね。遅くなると明日に疲れが残っちゃいますし」 ゆみ「あんなに走ったのは久しぶりだったよ。……走って疲れるのと遅く帰って疲れるのではどちらのほうがいいんだろうな」 京太郎「どうなんでしょう。俺は精神的に疲れるよりは走ったほうがいいですね」 京太郎「それでその……帰りがけに言いかけたことってなんですか?」 ゆみ「ああ、君の打ち方についての話だよ」 京太郎「俺の打ち方ですか? まさかどこかおかしかったり……」ズーン ゆみ「ああいや、今のところ京太郎くんの打ち方に問題はないよ」 ゆみ「経験や技術はまだ足りていないだろうが、少なくとも私の教えた通りに打っている」 ゆみ「将来的にもそれでは困るが、まあ今の時点では何の問題もないし、よくやっている」 京太郎「それじゃあ一体何についてなんですか?」 ゆみ「……君は全国へ行きたいんだろう?」 京太郎「えっ……はい! もちろんです。ゆみ先輩と約束してますし!」 ゆみ(あの一方的な言い捨てを約束と言うか……) ゆみ(まあ、私も京太郎くんの言ったとおりにするつもりだが、言われた私が一体どう感じたと思って……!)ゴゴゴ 京太郎「え、えっと、ゆみ先輩?」ビクッ ゆみ「あ、ああ。すまない。……君も今日戦ってわかったと思うが、現時点の君では全国へ行くには力不足だ」 ゆみ「たとえあの2人がいなかったとしても、君が全国へ行くのは極めて難しいだろうと私は思う」 京太郎「……はい。俺もそう思ってます」 ゆみ「京太郎くんの今の実力では届かない。それなら実力以外のものを使えばいい」 京太郎「え?」 ゆみ「君が前に言っていただろう? この牌は切れるとかこの牌を切ればマズイとかがなんとなくわかると。今日はどうだった?」 京太郎「確かに今日も感じましたけど……でも部でやっても全然勝てなかったじゃないですか」 ゆみ(ふむ、技術ではなかったか……羨ましいな) 京太郎「ゆみ先輩?」 ゆみ「ああ、すまん。私が言いたいのは感覚に頼れということだよ」 ゆみ「大負けする可能性が高いが、しかし全国へ行ける可能性も間違いなく高くなる」 京太郎「それはそうかも知れませんけど……」 ゆみ「まあ1%が5%になる程度だろうが」 京太郎「そんなもんですか」ガクッ ゆみ「そんなものだよ。……それでも君が全国へ行きたいのなら、これが最良だと思う」 京太郎「上手くいくかどうか博打ですね……」 ゆみ「普通に打っても全国へ行ける可能性は低いのだから、どちらも博打に変わりないさ」 ゆみ「要は君が何を目指すかだよ」 ゆみ「少しでも高い順位を目指すのなら今のやり方を続けるべきだし、全国を目指すのなら感覚を頼りにしたほうがいい」 京太郎「なるほど……。確かに今までのやり方よりよさそうですね」 ゆみ「ああ……私だって君には全国へ行って欲しいんだ」 京太郎「はいっ! 朝も言ってくれましたしね!」 ゆみ「うるさい」プイッ 京太郎「な、なんか地雷踏みました!?」 ゆみ(2人きりで言っているんだから、告白の返事をしたいという意味だと分かれ……というのは私のわがままか)ハァ ゆみ「君が全国へ行けたら教えよう」 京太郎「ハードル高いですね」 ゆみ「わからない君が悪い」 京太郎「えぇー」 ゆみ「……泣いても笑っても明日で全てが決まる。私も、君も」 京太郎「はい」 ゆみ「どうなるかわからないが、悔いのないよう頑張ろう」 京太郎「……なら俺は勝たないとダメですね」 ゆみ「何?」 京太郎「昨日も言ったじゃないですか!」 京太郎「ゆみ先輩といられる時間が短くなるなんて嫌です。そうなったらどれだけ健闘したって悔いは残ります」 ゆみ「……」ポカーン 京太郎「……あれ、またなんか変なこと言いました!?」アセアセ ゆみ「いや、君はそういうやつだったな」フフッ ゆみ「……実はさっき走って少し疲れているんだ。少し腕を貸してくれ」 京太郎「はい? 肩じゃなくてですか?」 ゆみ「んっ」ウデクミ 京太郎「ちょ、ゆ、ゆみ先輩!?」アセアセ ゆみ「疲れているからあまり騒がないでくれると嬉しい」 京太郎「あ、う……」カアァァ ゆみ「嬉しかったよ。京太郎くん」ボソッ 京太郎「うぅ……え? すみません、今ちょっとよく聞ける状態じゃなくて」 ゆみ「何でもない。明日期待しているよ」ギュッ 京太郎「……期待に応えられるよう頑張ります」 京太郎「……決勝リーグか。ここまで来れるなんて思わなかったな」ブルッ 桃子「何緊張してるんすか。昨日勝ち抜いたんだから自信持つっすよ」 京太郎「いや、昨日は初めての試合で緊張したけど、今日は勝たなきゃってプレッシャーが……」 桃子「負けて元々じゃないっすか。当たって砕けろっすよ!」 京太郎「負けたら砕けちゃダメなところもまで砕けるんだよ!」 智美「ハートブレイクだなー」ワハハ 京太郎「多分物理的に砕けますね」 佳織「死んじゃうよ!?」 京太郎「それくらいの勢いで砕けそうです……」 桃子「全然物理的じゃないっすね。……そんな情けない京太郎に代わって、私が負けたときの案を考えてあげたっすよ!」 京太郎「不吉なこというなよ……で、どんな案だ!?」ガタッ 睦月「食いつきすぎじゃない!?」 佳織「そんなに必死に……切実なんだね」 京太郎「今の俺に見た目を気にする余裕なんてないんですよ! モモ、さあ早く!」 桃子「イラッと来るっすねー。まあ教えてあげるっす」 桃子「京太郎は全国へ行ったら返事をくださいと言ったっすけど、いつとは言ってないっす」 桃子「つまり今回負けても次を目指せばいいんすよ!」 京太郎「……」 睦月「さ、さすがにそれは……」 京太郎「……アリだな」 佳織「ありなの!? 次は秋だよ!?」 京太郎「い、いや。だって勝てるかわからないっていうか昨日戦った感じだとむしろ……」 智美「まあアリかナシか以前に、それはゆみちんが待っててくれないとダメなんだけどなー」ワハハ 京太郎「あっ」 智美「さっきから全然喋ってないけど、ゆみちん的にはどうなんだー?」 ゆみ「ん? ああ。そ、そうだな……」 ゆみ「ま、待つ待たない以前に負けることを前提に考えるのは感心しないな。うん」コホン 智美(ていよく逃げたなー)ワハハ 京太郎「ですよねー! いやー俺もそんなのいいって言ったんですけどモモが無理矢理」 桃子「ゆみ先輩がいるところで話したのにそういうこと言えるのは尊敬するっすよ」 智美「ところでゆみちん静かだったのはなんでだー?」 ゆみ「まあ……その、緊張してな」 睦月「団体戦のときも昨日も全然そんな風に見えませんでしたけど、先輩でも今日は緊張するんですね」 佳織「大丈夫ですよ! 加治木先輩なら勝ち抜けます!」 ゆみ「いやそれで緊張しているわけじゃ……」ハッ ゆみ「そ、そうだな。ありがとう、落ち着いてきたよ」 桃子「?」 智美「……? まあいいかー」 ピンポンパンポーン 「男子個人戦、決勝が始まります。出場選手の方は対局室へ集合してください」 京太郎「もう始まるのか……」 桃子「暗いっすねー。もっとやってやる! みたいな意気込みで行くっすよ」 京太郎「や、やるぞー」 桃子「だからテンション低いっすよ」 智美「ゆみちん、出番だぞー」 ゆみ「ま、また私か!?」 桃子「それはまあゆみ先輩しかいないっすよ」 ゆみ「そ、そうなのか……それじゃあ京太郎くん」 京太郎「は、はい」 ゆみ「言うべきことは昨日言ったから、今日は一言だけ。……勝ってこい」 京太郎「……はい!!」 ………… ……… …… … アカギ「ロン、12000だ。トビだな」 モブ「は、はい……」 京太郎(……よし! 最終戦前の山場を何とかしのいだ!!)グッ 京太郎(俺より順位が上だった人が飛んだから、今大体6,7位くらいか……最後1位になればまだ可能性も!) 京太郎(しかし信じられないくらい絶好調だな。部活じゃあんな酷かったのに……) 京太郎(ゆみ先輩の返事聞きたいから、実力以上の力が出てるのかな)ハハ アカギ「……おい、そこの金髪」 京太郎「は、はい!?」ビクッ アカギ「昨日と打ち方が違うな……今は上手くいっているようだが、どんな武器を持ってようが何も考えずに打ってると怪我するぜ」 京太郎「な、なんでそんなこと……!?」 アカギ「まるで別人だ。誰だって分かる」 京太郎「……俺は今勝たないとダメなんです。だから、変えるつもりはありません」 アカギ「ククク……人の話を聞くのは苦手か? ……まあいい。残り1局、頑張りな」 京太郎「は、はい……あの、なんでいきなり俺に声かけたんですか?」 アカギ「飛ばそうと目を付けた相手が、昨日と全く違う打ち方をしていたから興味が湧いた。それだけだ」 京太郎(俺飛ばされるところだったのか……)ブルブル アカギ「せいぜい楽しませてくれよ」スタスタ 京太郎「……あー緊張したぁっ!」 京太郎「やっぱ今の打ち方危ねえのかな……まあ、変えてなかったら飛ばされてたみたいだけど」 京太郎(どっちにしろ俺に出来るのは全力で打つだけだ。次で決まるんだ。やってやる!) --------------------------------------- ゆみ「」ジッ 智美「いくら見てても最終戦はまだ始まらないぞー」ワハハ 桃子「京太郎めちゃくちゃ調子いいっすねー」 睦月「うむ、非効率な打牌もあるけど、それがことごとくいい結果になっている」 佳織「相手の当たり牌を抑えててカッコいいね」 ゆみ「……とはいえあまりにも上手く行きすぎだ。最後までこの調子で行ってくれればいいが……」 桃子「いや、最後までこの調子じゃダメっすよ!」 智美「そうだなー。最後はもっと調子を上げないと全国へは行けないなー」 睦月「今が6位ですか……」 佳織「初めて1ヶ月の初心者で6位なんて凄いなあ」 桃子「確かに凄いっすけど、全国へは届いてないっすから……」 ゆみ「……運良くというべきか、決勝の同卓に3位の選手がいる。そして例年通りトップの2人が図抜けていてその下は接戦だ」 智美「ここで1位が取れれば3位になれる可能性はあるなー」 睦月「まさに天王山ですね」 桃子「京太郎は乗り越えられるっすかね?」 佳織「きっと大丈夫だよ。応援しよう」 アナ『全国高校生麻雀大会長野県予選、男子個人戦決勝最終局。いよいよ始まります!』 ゆみ「ついに始まるか……」 桃子「京太郎は……お、映ったっすね」 アナ『男子個人戦、全国への切符は3枚。そのうち2枚はほぼ決まっているので、残り1枚を争う形になっています』 靖子『現在3位がいるのがこの卓か』 アナ『はい。それに同じ卓には現在6位の須賀選手もいますね』 靖子『須賀は……鶴賀の選手か』 智美「おお、京太郎の名前が出たぞ」 睦月「注目されてるんですね」 智美「全国3位ってのはどの相手だー?」 睦月「京太郎くんの下家です。上家と対面は両方共10位中盤くらいみたいです」 佳織「3位って強いんですか?」 桃子「少なくとも京太郎よりはずっと強いっすね」 ゆみ「だが最低でも下家に勝たないと全国へは行けない……厳しいな」 アナ『女子の決勝に残った高校で、男子でも決勝に残っているのは須賀選手だけのようです』 靖子『彼を褒めるべきなのか他の高校の男子が情けないと思うべきなのか……』 アナ『ちなみに風越は女子校ですし、龍門渕と清澄は共学ですがそもそも男子麻雀部がありません』 アナ『鶴賀も男子は彼1人のようですね』 靖子『……凄いことは凄いんだが、何かこう……』 アナ『男子と女子の強豪はあまり被っていないようですね』 靖子『身も蓋もないことをいうな。というかなぜそんな話を振った』 アナ『ダークホースと騒がれた鶴賀ですが、今後男女共に長野の強豪となることは出来るでしょうか?』 靖子『完全に無視か……まあ数人が強いくらいでは継続して強くなるというのは難しい。実績を残さなければ厳しいだろうな』 アナ『なるほど。6位とはいえ3位までは接戦です。全国まで行けば十分な実績と言えますね』 靖子『そうだな。厳しいことに変わりはないが、可能性はある』 アナ『そういった意味でもこの試合は注目ですね。では次の卓を見て行きましょう』 ゆみ「何だったんだこの解説……いや解説というか……なんだ?」 桃子「まあ注目されてるってことっすよ」 智美「ウチが強豪って呼ばれるなんて全然考えてなかったなー」ワハハ 佳織「全国行けたらかあ。厳しいね」 睦月「まあ強豪って言うならそのくらいは必要だよね……」 桃子「女子は私たちが行ってやるっすよ! 問題は京太郎っすね。根性見せるっすよー!」 ゆみ「……頑張れ、京太郎くん」ギュッ --------------------------------------- 京太郎(ここで稼げないと全部終わりか……やべ、緊張してきた) 京太郎(二向聴で三色も狙えるな。配牌は悪くない。まずは最初に上がって流れに乗って――) 下家「ツモ。1000・2000」 京太郎「うっ……」 京太郎(くそ、好配牌だったのに! ……落ち着け。こんなの事故みたいなもんだ。次だ次!) ………… 京太郎「ロン、3900」 京太郎(よし、この調子で……) 下家「ロン、12000」 下家「ツモ、2000・4000」 京太郎「……っ!」 --------------------------------------- 桃子「……京太郎も決して悪くない、というかむしろ絶好調なのに……!」 ゆみ「ああ、上家も対面も全く寄せ付けていない。……だが下家がそれ以上だな。打点、速さともに凄まじい」 睦月「点は稼いでるけど、3位の下家に勝てなきゃ全国へは行けない……」 智美「京太郎ももどかしいだろうなー。自分が今までにないくらい絶好調なのに、それでも上回れないなんて」 佳織「京太郎くん、勝てますか?」 ゆみ「……点差をひっくり返すためには、満貫の直撃以上で和了らなければならない」 ゆみ「今日の京太郎くんの調子は最高だ。だからきっと諦めなければ逆転手も入ってくるはずだ……!」グッ 智美「ゆみちん……」 桃子(自分に言い聞かせてるんすね……) 智美「京太郎が諦めるわけないさ。私たちは京太郎が勝つことを祈ってよう」ワハハ ゆみ「ああ、そうだな……」ギュッ --------------------------------------- 京太郎(くそっ、結局差を縮められないままオーラス……) 京太郎(頼む、逆転手が入ってくれ……っ!!) 手牌 一四四七七七⑥⑧888西西 ドラ九 京太郎(刻子が2つ、対子が2つ! 四暗刻二向聴!! これなら逆転できる!) 二巡目 一四四七七七⑥⑧888西西 ツモ西 打⑧ 京太郎(よし来た!) 下家「……」タン 対面「っ……」タン 上家「ちっ……」タン 七巡目 一四四七七七⑥888西西西 ツモ⑥ 打一 京太郎(聴牌だ! ツモれば最高、直撃でも逆転!! 4位の人がよっぽど稼いでなければ全国に行ける!) 京太郎(後は他家だけど……)チラッ 京太郎(……捨て牌を見る限り上家と対面は今のとこ大丈夫そうだ) 京太郎(下家は微妙か……まあだからって変わらない。後は早く和了るだけだ!) --------------------------------------- アナ『須賀選手、四暗刻聴牌しました! 1位へのロン和了りで逆転です!!』 藤田『まくるための最低条件は諦めないこと。和了っても和了っても追いつけない中よく耐えたよ』 アナ『このまま須賀選手は逆転できるでしょうか』 藤田『聴牌とはいえ待ちは4枚。1つは溢れそうにないから実質3枚だ』 藤田『1位の選手も好形の聴牌になりそうな形だ。このまま終わるとは思えないな』 アナ『なるほど。長い試合も最終盤。最後まで白熱した戦いが続きそうです』 ゆみ「よしっ!」グッ 桃子「きたきた、来たっすよー!!」 智美「ここであんな手が入るなんて持ってるなー」ワハハ 佳織「六筒は下家が1つ持ってますけど、四萬は生牌です!」 睦月「京太郎くん早く和了って……!」 ゆみ「くっ……なかなか引けないな」 桃子「京太郎か1位が引かないと意味ないっすからね。なかなか……あ!」 下家『……』ピクッ 手牌 455678⑥⑦⑧東東東白 ツモ5 打白 智美「下家が聴牌しちゃったかー……」 ゆみ「しかも四門張……厳しいな」 アナ『須賀選手に少し遅れましたが聴牌しましたね』 藤田『ああ。だが待ちの広さが段違いだ。先に聴牌したとはいえ須賀は苦しくなったな』 アナ『須賀選手は直撃かツモらなければならないですが、どんな形でも和了ればいいとなるとその差は大きいですね』 藤田『ここからはどちらの運が上回るかという戦いになるだろうな。もちろん追う須賀のほうが厳しいが』 アナ『果たして須賀選手は逆転全国行きを決めることが出来るのか。注目です』 佳織「だ、大丈夫ですよね?」 睦月「うむ……そう信じたいな」 智美「後は京太郎の運を信じるだけだ……って、え?」 桃子「待ちを変えた……っすか?」 下家『……』タン 手牌 4555678⑥⑦⑧東東東 ツモ五 打4 ゆみ「この待ちは……!」 アナ『四門張を捨てて五萬単騎待ち!! 藤田プロ、これはどう考えますか?』 藤田『普通に考えればありえないな。メリットはほとんどない』 アナ『ほとんどと言いますとゼロというわけではないんですね?』 藤田『ああ、捨て牌を見てみろ』 アナ『捨て牌……ですか?』 藤田『二萬と八萬が捨ててあるから五萬は両筋になる』 藤田『さらに自風の東も切っているし、どの役牌も最低1つは見えているから目眩ましになっている』 アナ『誰かが振り込むのを狙っているということですか?』 アナ『それにしても待ちが狭くなるデメリットのほうが大きいように思いますが……』 藤田『ああ、それは間違いない』 藤田『こればかりはその場にいなければわからんが、あの待ちでは和了れない、もしくは須賀に負けると思ったんだろう』 アナ『雀士の勘というやつですね。これが吉と出るか、それとも凶と出るのか!』 藤田『そういえば、この待ち方は女子団体戦で加治木が天江から直撃を取ったものとよく似ているな――』 ゆみ「……私の場合は和了るために手を進めていたら、たまたまああいう形になっただけだ。意味がまったく違う」 桃子「そうっすよね。京太郎がここからオリるなんてそもそもありえないっす」 睦月「それでもやったってことは勝算があるってことですよね?」 ゆみ「……そうだな。私にはわからないが、何らかの確信があるんだろう」 佳織「天江さんみたいな人なんですね」 智美「さすがにあそこまでじゃないと思うけどなー」 睦月「それでも自分のことを信じきるのは凄いです。私だったらあそこで四門張は捨てられない」 ゆみ「それが津山の麻雀なんだろう? 自分を貫くという意味では同じ……っ!」 桃子「……掴まされたっすね」 --------------------------------------- 十二巡目 手牌 四四七七七⑥⑥888西西西 ツモ五 京太郎(くそっ、まだ揃わないか。もう十二巡目なのにっ!) 京太郎(次だつ――)ピタッ 京太郎(……下家の捨て牌。そして今俺がツモった牌。ゆみ先輩が決勝で天江から直撃取ったときと似てるな……) 京太郎(って、待て。何考えてんだ俺。別に俺の感覚が危ないって言ってるわけでもないのに) 京太郎(そもそも、デジタルで考えてもここで引くなんてありえない) 京太郎(もう十二巡目だぞ!? ここから手を崩してまたテンパッて和了るなんて……!) 京太郎(……くそっ! 頭じゃ分かってるのにどうしても切れない!) 京太郎(……そういえばさっき考えないと怪我するとか言われたな……少し落ち着いて考えるか) 京太郎(レベルは全然違うけど、天江が咲に振り込んだときもこんな感じだったのかな。あれは間違いなく迷ってたと思う) 京太郎(そして天江は咲に負けた……あれはきっと感覚に頼ったからだ) 京太郎(俺は何をしてんだ? 感覚は大丈夫と言ってるし、デジタル的にもここで引くのはありえない) 京太郎(……なのに、ゆみ先輩の打ち筋が頭から離れない) 京太郎(天江から直撃を取った、あの打ち筋。ゆみ先輩の集大成のような綺麗な麻雀) 京太郎(この場面で突っ張るのはゆみ先輩を信じてないみたいな、そんなことになる気がする) 京太郎(……どう考えても言うこと聞かないほうがそうなのに、バカみたいなこと言ってんな)ハハッ 京太郎(それでも、俺の感覚はあくまで俺のもので、ゆみ先輩の打ち筋はゆみ先輩のものだ) 京太郎(どっちを信頼するかなんて言うまでもない) 京太郎(……俺がここまで来れたのはゆみ先輩のおかげだ。なら、最後までそれを貫こう) 京太郎(自分の感覚を捨てるより、効率を無視するより、俺はゆみ先輩の麻雀を裏切るほうがずっと嫌だ!) 京太郎(ゆみ先輩、言うこと聞かずに、これで負けたらすみません。全部俺の責任です。それでも俺は、これを切ります!)タンッ 打⑥ --------------------------------------- ゆみ「えっ……」 アナ『須賀選手、なんと四暗刻聴牌を崩して六筒切り! 絶体絶命の危機を回避したーー!!』 藤田『……驚いたな。あの状況から止めるとは』 アナ『須賀選手はなぜ止めることできたのだと思われますか?』 藤田『感覚的に当たり牌を察知したとしか思えないな』 藤田『これ以外にも効率的には間違っているが上手く回避しているという場面がいくつかあるようだし』 アナ『なるほど。須賀選手、素晴らしい打ち筋を見せました』 藤田『もっとも、厳しいようだが終わりが遠のいただけともいえる』 藤田『須賀には狙った牌をツモる才能はない。ここからまた聴牌をして直撃かツモを狙うにはのは厳しいな』 アナ『ファインプレイではありましたが結果的には聴牌から一歩引いた須賀選手。果たして全国へ行くことは出来るのか!?』 桃子「おおっ! よく避けたっす京太郎!」 智美「切っちゃダメだっていう感覚があったんだなー」ワハハ ゆみ「……違うと思う。きっとあれは京太郎くんの感覚では大丈夫な牌で、それを自分の意思で止めたんだ」 桃子「え? なんでそう思うんすか?」 ゆみ「今日の京太郎くんが明らかにおかしい打牌をするときはほぼノータイムで切っていたが、さっきのはだいぶ迷っていたからな」 智美「聴牌崩したらほとんど和了れないんだぞ? 迷わないほうがおかしいと思うけどなー」ワハハ ゆみ「……凄く、辛そうな顔をしていたからな」 ゆみ「当たり牌だという感覚があるのならあんなに辛そうな顔はしないさ。感覚に頼れといったのは私だ」 ゆみ「自分で言うのもなんだが、私は京太郎くんにそれなりに信頼されていると思う」 ゆみ「私の言ったことを守るだけならあんなに迷うことはない」 桃子「……け、結構すごいこと言ってるっすね」 智美「自分の言うことなら役満聴牌だって迷わず諦めるって言うとはなー」ワハハ ゆみ「そ、そういうつもりで言ったんじゃ……」アセアセ 睦月「言ってますよ」クスッ 佳織「でも合ってると思いますよ。きっと京太郎くんならそのくらいには加治木先輩のこと思ってます」 ゆみ「うぅ……」カアァァ 桃子「……さて、じゃあ後は京太郎がここから和了れるかどうかっすね」 智美「こればっかりはなー。京太郎にその運があるかどうかだ」 睦月「下家のほうを止めたとはいえ、自分が和了れなければどうにもならないですしね……」 佳織「そうだね……あ、下家の人が待ちを変えた!?」 桃子「むぅ、もう出ないと思ったんすね。凄まじい勘の良さっす」 ゆみ「しかも引いたのが9索か……フリテンとはいえ両面待ちだ」 桃子「厳しいっすね……」 ゆみ「……」ギュッ ………… ……… …… … 対面「聴牌」 上家「ノーテン」 京太郎「……聴牌、です」 下家「聴牌。和了り止めします」 京太郎(ああ、クソ。俺は間違ってなかった。間違ってなかったけど、それでも勝てなかった……!) 下家「……なあ、なんであそこで止められたんだ?」 京太郎「え?」 下家「俺が五萬の単騎待ちに切り替えたところだよ」 下家「なんとなくこっちのほうが和了れそうな気がしたんだけど、まさか引いたのに止められるとは思わなかった」 京太郎「……先輩がおんなじような打ち筋で天江から直撃取ってましたから。どうしても踏み込めませんでした」 下家「……それだけで役満聴牌を崩したのか?」 京太郎「あそこでそれ以上に信頼出来るものなんてありませんでしたから」 下家「ハハハッ! あーすげえなお前。勝たせてもらったけど勘弁しろよ!」 京太郎「え? ……ああ、告白のことですか」ハァ 京太郎「まぁ、自分で言ったことですからしょうがないです。悔いは山ほどありますけど」ハァァァァ 下家「え? あれ本気だったのか……気を落とすなっても無理だろうけど、秋に会えるのを楽しみにしてる」 京太郎「はい、今度は負けません!」 下家「ああ、またな」スタスタ 京太郎「はい……はぁ」 --------------------------------------- 智美「お互いに和了れなかったなー」 桃子「後一歩だったっすね……」 ゆみ「そう、だな。聴牌までは行けたのに……」ギュッ 智美「ゆみちん……」 睦月「で、でも京太郎くん凄いじゃないですか! 初めて一ヶ月で6位ですよ!」 佳織「そ、そうですよ! 入賞するなんて凄いです! だから……」 ゆみ「……京太郎くんが言ったことだからな。私から曲げさせるわけにはいかないさ」 佳織「でも!」 ゆみ「……少し早いが決勝の会場へ行ってくる」 智美「京太郎が来るの待ってからでも遅くないぞー?」 ゆみ「きっと今会いたくはないだろう」 桃子「そんなこと……」 ゆみ「……私だって今会いたくはない。だから京太郎くんもそうだよ」 一同「……」 ゆみ「私と京太郎くんの話だ。みんなはあまり気にするな……巻き込んでいるほうが言う台詞じゃないか」 ゆみ「京太郎くんに、よくやった。入賞おめでとうと伝えておいてくれ」 智美「それはゆみちんが言わないとダメだと思うなー」 ゆみ「……それもそうだな。わかった。直接言うよ」 ゆみ「それでは、先に行っている」スタスタスタ …… … 京太郎「はぁ……」バタン 桃子「ドアを開くなりため息ってどういう了見っすか」 京太郎「しょうがねえだろ……あれ、ゆみ先輩は?」 桃子「先に行ったっす。京太郎は今会いたくないだろうし、私もそうだからって」 京太郎「まあそうだよなあ」ハァ 智美「やっぱり会いたかったか?」 京太郎「ホッとしたのが半分、残念なのが半分です」 京太郎「あんなこと言って負けたのは気まずいですけど、声かけて貰いたかったなってのも少し」 佳織「全国惜しかったね……でも、入賞したのは凄いと思うよ!」 京太郎「ありがとうございます……ああ、後一歩だったのにな」ハァ 睦月「四暗刻聴牌を諦めてまで振り込まなかったのはカッコよかったよ。もう少しだったね」 睦月「……そういえばあそこで五萬を止めたのは……」 京太郎「ゆみ先輩が天江から直撃取ってたじゃないですか。あれと似てたんでどうしても切れませんでした」 一同「……」 京太郎「ど、どうかしましたか? いや自分でも滅茶苦茶なこと言ってるなとは思いますけど」 智美「いや、よくお互いのことわかってると思ってなー」 京太郎「えっ」 桃子「京太郎、ゆみ先輩のこと諦めるんじゃないっすよ」 京太郎「いや、そりゃまあ諦めるつもりはないけど、なんだいきなり」 桃子「惚気に巻き込まれそうで説明するのは嫌っすから、後でゆみ先輩と話すといいっす」 智美「それじゃ私たちも行くかー」スタスタ 桃子「はいっす!」スタスタ 京太郎「ちょっと、気になるんだけど! 睦月先輩と佳織先輩は知ってます?」 睦月「うむ、ただまあ……」 佳織「後で加治木先輩と2人で話すといいと思うよ?」 京太郎「先輩たちまで!」 佳織「もうすぐ決勝始まるね。加治木先輩たち映るかなあ」 京太郎「ん、そうですね……」 睦月「……妹尾さん、ちょっと飲み物買いに行かない?」 佳織「え?」 京太郎「あ、俺が買いに行きますよ」 睦月「ううん。京太郎くんは疲れてると思うから、京太郎くんの分も私たちが買ってくるよ。ね、妹尾さん」 佳織「……あ、そうだね。一緒に行こう」 京太郎「いやそんな……」 睦月「頑張った後輩をねぎらうのも先輩の仕事だから。京太郎くんはここで待ってて」ギィ 佳織「それじゃあ行ってくるね」バタン 京太郎「……1人にしてくれたんだよな」ハァ 京太郎「ああ、くそっ。ほんと後もう少し。少しだけ俺に運があれば……!」ドンッ アナ『いよいよ女子個人麻雀決勝が始まります!』 藤田『男子に負けず熱い戦いを期待したいな』 京太郎「始まったか……あ、ゆみ先輩」 京太郎「……勝ちたかったなあ」 睦月「京太郎くん、お待たせ。飲み物買ってきたよ」 京太郎「ありがとうございます」 佳織「みんなはどんな感じ?」 京太郎「モモとゆみ先輩は調子いいですね。モモはステルスが長く使えるのが単純に強いですし」 京太郎「ゆみ先輩は……鬼気迫るというか、凄い気迫が」 睦月「京太郎くんが後一歩届かなかったから、きっと思うところがあるんだよ」 京太郎「そう、なんですかね。俺のことなんかあんまり気にしないでやって欲しいんですけど」ハハ 佳織「京太郎くんが全力を尽くしてたの伝わったから、頑張らないわけにはいかないんだと思うよ」 京太郎「な、なんか照れくさいです」 佳織「ふふ……ところで智美ちゃんはどう?」 京太郎「……厳しそうです。なかなか上手く和了れてないですね」 佳織「そっか……やっぱり決勝はみんな強いんだね」 京太郎「そうですね。団体に出ていなかった人にも強い人がいますし」 睦月「平滝高校の南浦さんだね。お爺さんは元プロなんだよ」 京太郎「へー、英才教育とか受けてそうですね」 睦月「実際受けてるみたいだよ。スタイルも似てるみたいだし」 京太郎「そうなんですか。詳しいですね。一体どこでそんな……」 睦月「プロ麻雀カードには往年のプロシリーズもあるんだ! 今ちょうど持ってるから見せて……」 京太郎「い、いえ。大丈夫です」 睦月「そう? 若いころの大沼プロとかもあるんだけど」 佳織「あ、加治木先輩と桃子さんが同じ卓みたい」 睦月「ほんと? それは見ないと」クルッ 京太郎(佳織先輩! さすがです!!) 京太郎「……ってモモとゆみ先輩が同卓ですか!?」 佳織「うん。今始まったところみたいだよ」 アナ『ここは鶴賀の加治木選手と東横選手が同卓になりましたね』 藤田『ああ。鶴賀以外の生徒はこの卓をよく参考にしたほうがいいだろうな』 アナ『といいますと?』 藤田『東横はどうも対戦相手に自分の捨て牌を隠すことが出来るようだ』 アナ『捨て牌を隠す……ですか? 物理的にということではないですよね』 藤田『それは反則だろう……。要するに東横の対戦相手は東横の捨て牌を認識することができなくなるということだ』 アナ『そんなことが出来るんですか。対処が難しそうですね』 藤田『ああ。だからこそ普段から対局をしているだろう加治木の打ち方をよく見たほうがいい』 アナ『なるほど。東横選手への対抗策を学ぶということですね』 藤田『そういうことだ』 アナ『ちなみに藤田プロならどのような対策をされますか?』 藤田『ふむ。まあいくつか考えてはいるが、ここで喋ってしまっては不公平だからな。やめておこう』 京太郎「モモのステルスも有名になってきたのか……にしても見逃すところだった。危ない」 佳織「普段から部活で戦ってるけど、やっぱり見逃せないよね」 睦月「そうだね。いつも以上に真剣勝負って感じだし。……今のところどっちの順位が上なんだろう」 京太郎「ええと、モモのが少し上みたいですね」 佳織「ほんとだ。2人とも一桁かあ。凄いなあ」 睦月「……私も来年はこの2人みたいになれるかなあ」 京太郎「一緒に頑張りましょう。今日の俺は運が良すぎましたし」 睦月「うん。それじゃあまずはこの試合をしっかり見てようか」 京太郎「はい!」 ………… ……… …… … 京太郎「東場はゆみ先輩がリードしてましたけど、南場はやっぱりモモが強いですね」 佳織「絶対に振り込まないのはやっぱり強いんだね」 睦月「うむ。……わあ、加治木先輩あれ鳴くのかあ」 京太郎「まだ点数で勝ってるうえ三向聴で……」 京太郎「急所が残っちゃいますけど、やっぱりモモ相手だと少しでもスピードを上げるんですね」 佳織「桃子さんは普段戦ってるからっていうのもあるけど、それでも加治木先輩は対応が早くて凄いなあ」 京太郎「そうですね。あんなふうな麻雀やってみたいです」 睦月「私も。後一年であれって考えると少し大変だけど」ハァ 佳織「私は早く麻雀のルールちゃんと覚えないと……」 京太郎・睦月(ちゃんと覚えたら凄いことになりそうだなあ……) 佳織「ど、どうかした?」 京太郎「いえ。なんでもないです」フイッ 睦月「もう対局が終わりそう。これは加治木先輩の早仕掛けが成功するかな?」 佳織「反応してくれないんだ……ええと、風越の人が切りそうかな?」 京太郎「そうですね――あ、ゆみ先輩が和了りました!」 睦月「さすが加治木先輩。モモは悔しそうだね」 京太郎「部活じゃ東南戦だとゆみ先輩とモモは大体互角か」 京太郎「モモが少し成績よかったですけど、ここ一番で勝ち切るのは最上級生の意地ですかね」 佳織「そうだね。実力以上ってわけじゃないけど、いつもより負けそうにない感じがする」 京太郎「これでゆみ先輩は……今5位ですね! モモもまだ9位です!」 睦月「1位はちょっと厳しいけど、まだ接戦だし加治木先輩もモモも3位以内目指せそうだね」 佳織「2人とも頑張れー!」 ………… ……… …… … アナ『長かった全国高校生麻雀大会長野県予選もいよいよ終わりが近づいております。女子個人戦決勝最終戦、まもなく開始です!』 藤田『女子もなかなかレベルが高いな』 藤田『風越の主将の福路、インターミドルチャンプの原村は注目していたが、それに勝るとも劣らない選手も多い』 アナ『はい。福路選手はやや余裕を持って2位ですが、現在3位の原村選手は7位まで接戦。まだまだ安心は出来ません』 藤田『最終戦次第では一気にひっくり返ることもあるだろうな。……しかし1位の宮永は凄まじいな』 アナ『昨日歴代最高得点を大きく塗り替えた宮永選手ですが、決勝でもその実力を遺憾なく発揮していますね』 藤田『決勝でも記録を更新するのは確実だろうな。ただ、少し気になるところもある』 アナ『盤石に見えますが何が気になるのでしょうか』 藤田『団体戦のときと比べて和了る速度が少し遅くなっている』 藤田『それでも大抵の場合対戦相手よりは速いが、何度か速度で負けている局があるようだ』 アナ『そう言われますと確かにそうなっていますね。何が原因なんでしょう?』 藤田『カンの回数が増えていることだろうな』 アナ『カンが増えているからですか? しかし宮永選手はカンをして有効牌を持ってくることが多いように思いますが……』 藤田『それはその通りだが、カンをしようとすると最低刻子を手牌に入れなければならない』 藤田『宮永でも最初から刻子をいくつも抱えているわけではないからな。必然的に手は重くなる』 アナ『なるほど。つまり早和了りに勝機があるというわけですね』 藤田『気になるところではあるが、一概には言えないな』 藤田『速度が落ちた分、打点が大幅に上がっているから少々のリードではすぐ逆転されてしまう』 藤田『早和了りを続けられればいいが難しいだろう。何も考えないよりはマシという程度かもしれないな』 アナ『それだけでは足りないということですね。他にはどのような戦い方が考えられますか?』 藤田『カンをするということはこちらの打点も高くなりやすい。それを狙うのも一つの手だろう』 アナ『しかし宮永選手は嶺上開花で和了ってしまうのではないでしょうか』 藤田『まあ主導権を奪われるということだからな。リスクはあるが、そもそも不利な状況でどう戦うかという話だから仕方ない』 アナ『藤田プロでも宮永選手相手では不利なんですか?』 藤田『……うるさい』 京太郎「いよいよ最後ですね。ゆみ先輩は今6位か……」 睦月「でも3位との差はあんまりないね。ちょうどさっきの京太郎くんと似たような感じかな。ただ、最後の相手が……」 佳織「宮永さんが相手だね……。プロの人も不利って言う相手なんて」 京太郎「ま、まあ咲に勝たなくても点数稼げれば3位にはなれますよ! どのくらい稼げれば行けます?」 睦月「元々点数で負けてるからどのくらいっていうと難しいけど……」 睦月「原村さんはこういう状況で負ける人じゃないから、きっと1位になると思う」 睦月「そうするとオカが入っちゃうから、加治木先輩も1位にならないと厳しい……と思う」 京太郎「そうですか……」ガクッ 佳織「で、でも宮永さんも振り込まないってわけじゃないし、きっと勝てるよ!」 京太郎「けど昨日の予選では……」 睦月「……京太郎くん、これから宮永さんと戦うのは誰?」 京太郎「……? ゆみ先輩ですよね?」 睦月「そう。私たちの頼れる先輩で、麻雀始めてたったの2年であんなに強くなった人」 睦月「そんな加治木先輩が、戦うのが3度目になる相手に何も出来ないなんて思う?」 京太郎「それは……思いませんけど」 睦月「相手は宮永さんだから、私も絶対勝てるなんて言わないよ。でも京太郎くんが弱気になっちゃダメ」 睦月「加治木先輩は最後まで諦めずに京太郎くんのこと見てた。だから京太郎くんも諦めずに応援しよう?」グッ 京太郎「……ありがとうございます。そうですよね。応援してるほうが先に諦めるなんて絶対ダメですね」 京太郎「目が覚めました! ゆみ先輩が勝つって信じます!」 睦月「うん。私たちの分も頑張ってもらおう!」 --------------------------------------- ゆみ(最終戦、そして相手は宮永か。……団体戦を思い出すな。まあ再現になってしまっては困るが) ゆみ(予選ではどうにも出来なかった。今回はどうにかしないとな……あ) 咲「……」 ゆみ(私もそこそこ早かったと思うが、さすがに私より速いか) 咲「……あ」 ゆみ「よろしく。こうして君と戦うのは3度目だな」 咲「はい……」ウツムキ ゆみ(緊張しているのか? そういうところは1年生らし……私も大会は初めてだったな。大差はないか)フッ 咲「……いつから……」ボソッ ゆみ「? いつから? 麻雀のことか?」 咲「ふぇ、聞こえ……! な、なんでもないです!」 ゆみ(麻雀ではないのか。なら一体……)ハッ ゆみ(バカか私は。彼女と私の共通点なんて、麻雀を除けば1つしかないだろう) ゆみ「……もしかして京太郎くんのことだろうか?」 咲「っ! ……はい」 ゆみ「……私が京太郎くんと初めて会ったのは大体ひと月前だ。それからは部活で大体毎日会っていたが」 咲「そう、ですか。たったのひと月前……」 ゆみ(……やはり、彼女も京太郎くんを) 咲「……私、京ちゃんに昔からよく助けられてたんです」 咲「高校生になって離れてからも、麻雀をまた始めるきっかけをくれたり、相談に乗ってくれたりして」 咲「ずっとこんな関係でいるのかなって思ってました」 咲「……ううん、今でも私が今まで通りに接したら、きっと関係は変わらないんだろうなって思います」 ゆみ「……」 咲「一緒にいるときは気づかなくて、離れてもそれがなんだかわからなくて。……失くして初めて知りました」 咲「だから悪いのは私です。恨んでるとかじゃないです。だけど、これで麻雀まで負けたらあんまりだから……」 咲「……試合前に関係ない話してごめんなさい。でも、私は負けられません。原村さんと一緒に全国に行くって約束したんです」ゴッ ゆみ「……そうか」 ゆみ「だが、私も負けないよ。全国へ行けなければ引退だ。ようやく5人揃って大会に出られんだ」 ゆみ「たとえ団体で行けなくなっても、まだ夏を終わらせたくはない」 咲「……お互い、負けられないですね」 ゆみ「ああ。団体決勝と個人予選のリベンジ、果たさせてもらうぞ」 咲「絶対負けません!」 --------------------------------------- 京太郎「ゆみ先輩のところが映りました!」 睦月「うん、点数は……ちょっと差が開いてるね」 佳織「宮永さん以外の対戦相手は天竜の人と裾花の人なんだ」 京太郎「加治木先輩もちょっと削られてますけど、他の2人のほうがだいぶ点数低いですね……」 睦月「宮永さんは断トツだ。さすが……」 佳織「あ、ダイジェストが始まるみたいだよ」 アナ『宮永選手のいるこの卓。先制したのは意外にも加治木選手でした』 藤田『強引な仕掛けをしていたがそれが上手く嵌っていたな』 アナ『藤田プロのおっしゃっていた宮永選手の隙を上手く突いた形でした』 アナ『しかしその後試合をリードしたのはやはり宮永選手。嶺上開花での和了りは実に4回!』 藤田『その間に加治木も何度か和了っているが、やはり打点の差はいかんともしがたいな』 アナ『はい。宮永選手と2位加治木選手との差は約5万5千点。厳しい点差となっています』 藤田『宮永以外に和了っているのは加治木だけだったと思うが、それでもこの差か』 アナ『そうですね。天竜女学院、裾花は両者とも1万点を割っています』 藤田『どちらもけして実力がない選手ではないんだが……相手が悪かったな』 京太郎「こう改めて見ると咲凄まじいですね……」 睦月「手がつけられないってこういうことを言うのかな」アハハ… 佳織「あ、加治木先輩この局は和了れそうだよ!」 京太郎「ほんとですか! ……あ、でもこれだと」 佳織「え、どうかしたの?」 睦月「ちょっと点数が低くなりそうだね。仕方ないんだけど……」 アナ『現在は南3局。加治木選手にとってはここで点差を縮めたいところでしょうか』 藤田『宮永も加治木も南4局では子で、役満でもツモ和了りでは逆転が出来ないからな。せめて4万8千点以内にはしたいところだろう』 アナ『おっと、言っている間に加治木選手が和了りましたが……これは5200ですね』 アナ『宮永選手からではないので、依然として三倍満が直撃してもでも逆転は出来ません。勝利には役満の直撃が必須です』 藤田『少しでも稼ごうと思ったか、それとも宮永に和了られると思ったか。おそらく後者だろうな』 アナ『宮永選手がポンをしているのを見て、直撃を待つ時間はないと判断したわけですね』 藤田『ああ、宮永の場合はそこから加槓で有効牌を1つ引いてくるからな』 アナ『なるほど。加治木選手の判断が光ります。……しかし点差は依然として大きい。いよいよ南4局。決着はもうすぐです!』 --------------------------------------- ゆみ(まったく、予選のように逃げられないのがつらいな) ゆみ(さて、最後の配牌は……!!)ピクッ 手牌 14一九九①⑨東東南西白發 ツモ7 ドラ七 ゆみ(国士無双二向聴……宮永と打つときはよくよく国士に縁があるようだな) ゆみ(……さてどうするか。この状況、普通に考えれば、というより正気なら続けないという選択肢はありえないが) ゆみ(特に宮永に対して、国士無双は暗槓でも直撃を取れる。おそらくこれ以上ない配牌だろう) ゆみ(しかし……)チラッ ゆみ(宮永はカンによる有効牌の引きや嶺上開花が目立っているが、おそらくそれだけじゃない) ゆみ(池田への差し込み、最終局近くでの細かい和了り、天江に掴ませた当たり牌) ゆみ(天江と同じく配牌やツモにも影響を与えていると考えるのが妥当だろう) ゆみ(ならばこの配牌も……) ゆみ(……天江に対して普通に和了ろうとしても無駄だった。宮永に対してもそれは同じではないだろうか) ゆみ(団体戦の決勝では実際に止められている。まあ、あれは捨て牌が露骨だったが) ゆみ(なまじ天江に比べて和了れるから勘違いするが、それは宮永に届かない範囲でしかないのでは……?) 天竜「あの、すみません。そろそろ……」 ゆみ「ああ、すまない。もう少しだけ待ってくれ」 ゆみ(……いずれにせよ普通に和了りを目指しては敵わないだろう) ゆみ(京太郎くんもこんな気分だったのかな。確かにこれは辛い表情にもなる)フッ ゆみ(彼は自分を盲信するでもなく、効率を追求するでもなく、自分の打ち方を見出して貫いた) ゆみ(ならば私がすべきことも1つだ。これでは勝てない。そう考えよう) ゆみ(最善手ではないかもしれない。馬鹿げた選択かもしれない) ゆみ(けれどそれが如何に無謀に見えても、自棄になったように思えても、私は私の感じるベストを尽くす) ゆみ(それが後輩に、京太郎くんに示せる私の麻雀だ!) ゆみ「九種九牌。……流局にしてくれ」パタン 天竜「……はあ!?」 裾花「えっ、それで……?」 咲「!?」 --------------------------------------- 睦月「え!? なんで九種九牌なんて!」 佳織「1つずつ……あれってもう少しで役満だよね?」 京太郎「そうですね……国士無双です」 佳織「なんで加治木先輩は国士無双目指さなかったんだろう?」 睦月「うーん……あ、解説やるみたいだよ」 アナ『まさかの九種九牌。驚きましたがこれはどのような理由で流局にしたのでしょうか』 藤田『普通に考えればありえないな。何ひとつメリットがない』 アナ『先ほどの男子個人戦決勝で、同じ鶴賀の須賀選手も気になる打牌をしていましたが……』 藤田『それはメリットが薄いというだけでなくはないからな。これはそもそもメリットがないと言っていい』 藤田『ただ加治木は大胆なところはあっても基本的に手堅い選手だ』 藤田『博打ですらない判断だが、その場にいなければ感じられない何かがあったのかもしれないな』 アナ『須賀選手のように危険を感じた結果ということでしょうか』 藤田『そうではないだろうな。加治木のこれまでの牌譜は理に適ったものだ』 藤田『これも感覚ではなく、団体決勝でやった宮永への槍槓のように加治木なりの筋を通した結果が九種九牌なんだろう』 藤田『私には理解できないがな』 アナ『なるほど。ありがとうございました。仕切り直しの南4局。勝利の女神は誰に微笑むのか!』 睦月「話題に出てたけど京太郎くんは加治木先輩の判断はどう思う?」 京太郎「そうですね……ゆみ先輩が考えないであんなことやるわけありませんから、正しいって信じてます」 睦月「そっか……私はやっぱりあのまま続けてたほうがいいと思う。間違ってるとまで言わないけど……」 京太郎「それも正しいと思います。変える必要なんてない場面ですし」 睦月「うむ……ただ団体戦の決勝で2回もあんな形のを和了れなかったから、続けたくなかったんだろうなとは思うよ」 京太郎「そうですよね。あそこまで揃うのもめったにないのに、そこから和了れないなんて……」 佳織「え? そんなに珍しい?」 京太郎・睦月「……」 佳織「えっ、え?」 京太郎「さあ応援しましょう!」 睦月「頑張れ加治木先輩!」 佳織「うぅ。前もこんなことあったような……」 --------------------------------------- ゆみ(さて、あんなことをしてケチがついていなければいいが……)カチャッ 手牌 279一四七①⑧⑨南西北中 ドラ北 ゆみ(……自分でやったこととはいえ気が滅入るな)ハァ ゆみ(本当に団体戦の再現になってしまいそうだが、まあ弱音を吐いてはいられないか) ゆみ(その前に、天竜と裾花の2人は……) 天竜「……」ギラギラ 裾花「……」フゥ ゆみ(2人とも絶望的な点差だが諦めてはいないようだ。団体戦終盤の池田と同じような目をしている……ありがたい) ゆみ(最初のツモは……む、上手く自風の南が重なったか)タン 打2 天竜「……」タン 裾花「……っ」タン 咲「ポン!」 ポン九 ゆみ(随分仕掛けが早いな。ポンは九萬か。こんなに早いうちに仕掛けたということは……!) ゆみ(最終形は決まった。後は私にそれを和了りきる力があるかどうかだ!)タンッ 打西 咲(加治木さん、なんで九種九牌なんてしたんだろう。確かに北と九索は嶺上牌にあったけど……) 咲(ううん。もう流局したんだから、さっきのは関係ない。私は今ここで勝たなきゃ) 咲(和ちゃんのために。……それと、自分のために) 咲(京ちゃんのおかげでまた始められた麻雀だもん。京ちゃんが好きに……)ズキッ 咲(……好きになった人には負けられない!) …… … 十一巡目 咲手牌 三三三五六六七發發發 ポン九 咲(うん、揃った。嶺上牌に發と九と六があるから、後は三萬が出れば和了れる) 咲(天竜と裾花の2人は和了らないよね。後は加治木さんだけど、加治木さんも役満の直撃じゃないと和了れない) 咲(捨て牌を見る限り国士無双ではなさそう。大三元とか發が必要なのは出来ないし清老頭も多分違うよね) 咲(やっぱり四暗刻かな。単騎待ちのはずだから気をつけるのは難しいけど……) 咲(……どっちにしろカンしちゃえば問題ない! それで勝てるんだ!)タン 天竜「……」タン ゆみ「っ! 立直!」タンッ 咲(え、立直? 立直すれば届くってことかな。清一色とか……?) 咲(まあ私が萬子を揃えてるから、清一色でも萬子じゃないはず。三萬さえ出れば……!) …… … 天竜「うー」タン 咲(来たっ! 三萬!) 咲「カン!」 カン三 嶺上ツモ發 新ドラ3 ゆみ「っ!」 咲「もいっこカン」 カン發 嶺上ツモ九 新ドラ⑤ 咲(これで……!) 咲「もいっこカン!!」 カン九 嶺―― ゆみ「ロン!」 咲「……え?」 ゆみ「ロンだ。……上手くいってよかった」ホッ 咲「そ、そんな! 槍槓じゃ足りるはずが……」 ゆみ「そうだな。このままでは足りないよ」パタッ 手牌 789七八⑦⑧⑨南南南北北 ロン九 ゆみ「立直、槍槓、三色同順、場風、自風、混全帯?九、ドラ2。10翻だ」 咲「じゃあなんで……!」ハッ 咲「まさか裏ドラ狙いで……?」 ゆみ「カンで出てくれると心臓に良かったんだが……まあどちらでも同じか」 咲「そんな無謀なことするより初めから役満狙ったほうが……」 ゆみ「普通の相手ならそうしたが、なにぶん相手は宮永咲だからな」 咲「私は別に――」 ゆみ「……すまない、そろそろめくらせてもらうぞ」 咲「……」 ゆみ(私が乗り越えなければならないハードルは3つあった) ゆみ(1つは九萬を引かないこと。2つ目は宮永が和了るより先に聴牌すること) ゆみ(宮永がカンをするのは分かっていたから、これでほぼ確実に宮永から和了ることが出来る) ゆみ(……そしてこれが3つ目。カンドラ、もしくは裏ドラで3翻を得ること) ゆみ(幸い九萬の加槓は3回目のカンだった。おかげで3枚裏ドラをめくれる)ドキドキ ゆみ(ここまで分の悪い賭けに勝ってきたんだ。最後も頼むぞ……!)ドキドキ ゆみ「……っ」 裏ドラ② ゆみ(次は……!) 裏ドラ中 ゆみ(数牌3つや数牌と北と組み合わせは色々あるが……まさか5つドラがあるのに1つも出ないとは)フゥ ゆみ(後は東をめくるしかない。幸い東はまだ1枚も見えていない。頼む……!)ドキドキドキドキ 咲「……」ギュッ ゆみ「――」スーッ 裏ドラ南 『数え役満ーーーーー! 加治木選手の逆転で決着!!!』 ゆみ「――――よしっ!!」グッ 咲「……あ」 天竜「……はぁ、まったく良い物見せてもらったわ」テクテク 裾花「……信じられない」テクテク ゆみ「……まあ、私も二度とやりたくはないな」 咲「そっか。負けちゃったんだ。……絶対負けたくなかったのに」 ゆみ「まあまだ原村を上回ったわけでは……いや、上回っていなければ困るんだが」 咲「……負けられなかったのは和ちゃんのためでした。でも、負けたくないのは私のためです」 ゆみ「……そうか」 咲「その、加治木さんが全国へ行ったら……あ、えっと、行けなくても、もう一度打ってもらえますか?」 ゆみ「……もちろん。負け越しているのは私の方だからな。まあ、全国で戦えることを望んでいるが」 咲「ありがとうございます! ……それと、1つだけ聞いていいですか?」 ゆみ「答えられることなら」 咲「……先週の京ちゃんの告白。京ちゃんは全国に行けなかったですけど……」 ゆみ「……京太郎くんの言ったとおりだよ。彼は全国へ行けなかった。だから返事はしない」 咲「そう、ですか。……ごめんなさい。もう1つだけ聞かせてください。加治木さんは――」 --------------------------------------- アナ『裏ドラが乗って数え役満! 加治木選手、見事宮永選手から役満を和了りました!!』 アナ『これで加治木選手は逆転。宮永選手を抜きトップとなりました』 アナ『早和了りやドラが増えるところを狙うなど、試合前に藤田プロが言っていた点を突いての勝利でしたね』 藤田『まあ特別な作戦というわけではないからな。誰しも考えるが実践は難しいという類いのものだ』 アナ『そうですか。まくりの女王と呼ばれる藤田プロから見てこの逆転劇はどうでしたか?』 藤田『カンでドラが増えるとはいえ、九萬が最初にカンされるかもしれない。最後のカンでもドラが出るかはわからない』 藤田『しかし実力が上の選手に勝つには無茶も必要だ』 藤田『結局は勝つと信じ切れなければまくることは出来ない。泥臭いがいいまくりだった』 アナ『加治木選手、素晴らしい逆転劇でした。……あ、どうやら全ての卓で試合が終わったようです』 アナ『最終結果が発表されます……1位は宮永選手、2位福路選手。そして3位は……』 アナ『……加治木選手です!加治木選手、僅差で原村選手を逆転!』 アナ『総合順位でもまくりを決め、全国行きの切符を手にしました!!』 藤田『原村も最終局は1位か。2人とも見事だな』 アナ『数々のドラマがあった女子麻雀個人戦決勝、ハイライトで振り返りたいと思います――』 京太郎「すっげえ……」 睦月「あれで逆転するなんて、しかも宮永さんに」 佳織「私もあんなにドラが乗ったことはないなあ。凄いや」 京太郎「シビレました。もう鳥肌が立っちゃいましたよ」 桃子「鳥肌が立つって言葉にいい意味はないんすよ」 京太郎「しょうがねえだろ実際立ったんだから……ってモモ、いつの間に」 桃子「いつの間にって……私の体質だからしょうがないじゃないっすか……」 京太郎「そういう意味じゃねえよ!?」 桃子「冗談っす。ついさっきっすよ。……にしても凄いっすね。考えてもやらないっすよあんなこと。まして和了りきるなんて」 智美「まあウチの部で一番無茶するのはゆみちんだからなー」 智美「たまに冷静さをどこかに置いてっちゃうんだ。そこがいいところなんだけどな」ワハハ 京太郎「そういえば俺たちが入ったのもそれででしたね」 智美「私も今来たところだけど、私には何も言わないんだなー」 桃子「やっぱり私が見えないから……」 京太郎「2度目はもういいでしょ!?」 智美「緊張をほぐすために重ねてみたぞー」ワハハ 京太郎「はい? 今さら何に緊張を……」 智美「ゆみちんのとこ行くんだろー?」 京太郎「えっ……」 桃子「いやまあ、ここで私たちに見られながら振られるのがお好みっていうならそれはそれでいいっすよ」 京太郎「嫌だよ! というか振られるわけじゃねえ! ……でもそうですよね。俺は行かないと」 睦月「うむ、加治木先輩も真っ先に京太郎くんに会いたいと思うよ」 佳織「頑張って!」 京太郎「まあ返事は貰えないんですけどね……」ハハ… 京太郎「それじゃ一足先に全国大会出場を祝ってきます!」タッタッタ 智美「頑張るんだぞー」ワハハ --------------------------------------- ゆみ「……あ、京太郎くん」ドキッ 京太郎「ゆみせんぱーい!」タッタッタ ゆみ「こ、こら。ただでさえ注目されているんだからあまり大声を出すな」 京太郎「す、すみません、早く伝えたくて。全国大会出場、おめでとうございます!」 ゆみ「――! そうか、私は原村に勝てたのか……」 京太郎「はい! 槍槓からの数え役満凄かったです! 俺じゃとても出来ないですよ」 ゆみ「私も2度やろうとは思わないな」フフッ ゆみ「……これで麻雀部のみんなで過ごせる時間が長くなった」 京太郎「そうですね。全国大会が終わるまでは一緒にいられます」 ゆみ「ああ……君と同じ部に、長くいられる」 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎「……」 ゆみ「……京太郎くん」 京太郎「はい」 ゆみ「よく頑張った。入賞おめでとう」 ゆみ「ずっと見ていたよ。君の先輩として、君に麻雀を教えた1人として、君のことを誇りに思う」 京太郎「ありがとうございます」 ゆみ「こう言っては何だが実力以上の力を出していたと思う。ただ、本番でそういうことが出来るのも才能だと私は思う」 京太郎「いつもこのくらい出さればいいんですけどね」ハハハ ゆみ「まったくだな」フフッ ゆみ「……だが、それでも全国には届かなかった」 京太郎「……はい」 ゆみ「君が言った条件だから、私が勝手に破るのはよくないと私は思う」 京太郎「……俺からもやっぱりなしでとは言いません。一度言ったことですから」 ゆみ「そうか……それなら私も返事はしない」 京太郎「……はい」 ゆみ「だから、ここからは私の話だ」 京太郎「はい?」 ゆみ「」スゥーッ ゆみ「私は君が欲しい!」 京太郎「!?」 --------------------------------------- 咲『加治木さんはこれからどうするんですか?』 ゆみ『どうとは……』ドキッ 咲『えと、京ちゃんに会ったら何をするんですか?』 ゆみ『……やっぱりわかるものなのか』 咲『それはまあ。同じ人を好きになったんですから』 ゆみ『そんなものか……まあ君にならいいか』 ゆみ『告白するよ。返事はしないと言ったが、告白しないとは言っていないからな』 咲『凄い屁理屈』クスクス ゆみ『京太郎くんが勘違いしているのが悪い。返事をしないというのがどういう意味だと思っているんだろうな』 咲『同感です。基本的に気配りしてくれて優しいんですけど、たまに抜けてるんですよね』フフッ ゆみ『まあ彼も私から言ったら意地を張ったりはしないだろう』 咲『そうですね。……すみません。最後にあと1つだけいいですか?』 ゆみ『……意外とグイグイ来るな。まあ構わないが』 咲『ごめんなさい。どうしても聞きたかったんです』 咲『……加治木さんが全国へ行けなかったら、どうしてましたか?』 ゆみ『……変わらないよ。たとえ全国へ行けなくても、私は私から告白していた』 咲『……そうですか。ありがとうございました。おかげで最後勝ってれば、なんて悔いは残らなかったです』 ゆみ『……そうか』 ゆみ『さて、それでは私はそろそろ控室へ戻るよ』 咲『はい。今日はありがとうございました。今度は負けません!』 ゆみ『それは私の台詞でもある。それじゃまた。次やるときもいい試合にしよう』スタスタ 咲『楽しみにしてます! ……』 咲『……』グスッ --------------------------------------- 京太郎「え。え、えっ?」 ゆみ「……思った以上に恥ずかしいなこれは。前と違ってなまじ理性が残っている分つらい」カアァァ 京太郎「い、今なんて……」 ゆみ「君がこの前言ったのと同じだ。もちろん意味も」 京太郎「で、でも俺勝てませんでしたし」 ゆみ「だからこれは返事じゃない。私からの告白だ」 京太郎「けど俺、情けない姿しか見せられなくて……」 ゆみ「もし、それが君の麻雀のことだとしたら、私は本気で怒るぞ」 京太郎「……ゆみ先輩はそう言ってくれても、ゆみ先輩と比べると俺は……」 ゆみ「……」ハァ ゆみ「なあ、京太郎くん」ズイッ 京太郎「は、はい」ドキッ ゆみ「告白の返事をしないでいいというのはどういうつもりで言ったんだ?」 京太郎「どうってあのときは……」 ゆみ「いやまあ焦っていたのはわかるが……きっと一種の罰みたいなものと考えていたんだろう」 京太郎「罰っていうと大げさですけど、まあ勝てないようなら返事貰う資格なんかないっていうハードル的な……」 ゆみ「分かってはいたが、やっぱりそういうつもりか……」ハァ 京太郎「ゆみ先輩?」 ゆみ「あのな、京太郎くん。告白の返事をしなくていいというのは、私と君が付き合えないということだ」 京太郎「そりゃまあ、俺はゆみ先輩と付き合えないという意味で言って――」 ゆみ「君がじゃない。私と、君がだ」 京太郎「……え? い、いやでもそれ」 ゆみ「私の気持ち、知らなかったとは言わせないぞ」ポスッ 京太郎「……」 ゆみ「京太郎くんは1年生だからわからないと思うが、3年生になると残りの高校生活の短さを実感するんだ」 ゆみ「全国へ行けるのは早くても半年近く経ってから」 ゆみ「近くにいるのにそんなに長い間君とこれ以上親しくなれないなんて、私は耐えられない」 京太郎「ゆみ先輩……」ドキッ 京太郎「俺だってそんなの嫌ですよ!」 ゆみ「……そうか。それなら、返事をしてくれ」ドキドキ ゆみ「一応言っておくが、これは私が私のためにした告白だからな」 京太郎「はい。……ゆみ先輩、俺も、あなたのことが大好きです!! こんな俺でよければ、よろしくお願いします!」 ゆみ「京太郎くん……ありがとう。嬉しい」ポロ 京太郎「俺のほうこそですよ……ってゆ、ゆみ先輩? 涙が……」 ゆみ「え?」ポロポロ ゆみ「あ、あれ。気を張っていた反動か……ヒクッ 安心したら止まらないな……エグッ」 京太郎「……ゆみ先輩、落ち着くまでこうしててください」ギュッ ゆみ「わっ……ありがとう、少し……ヒクッ 胸を借りる」ポスッ …… … ゆみ「……今日は、朝から緊張していたんだ」 京太郎「今日で引退かどうか決まっちゃいますから、そりゃしますよ」 ゆみ「いやそうじゃなく。君がもし全国へ行けなかったら告白しようと決めていたんだ」 京太郎「……ああ、そういえば朝、最後なのとは別に緊張してるとか言ってましたね」 ゆみ「ああ。……君に告白することは決めていたが、断られたらどうしようって頭の中をグルグル回っていたんだ」 京太郎「俺だってゆみ先輩に告白したじゃないですか」 ゆみ「告白されたからって断られる可能性は0じゃない。君が俺はまだ勝ててないからなどというかもしれないしな」 京太郎「うっ……」 ゆみ「……まさか本当に言うつもりだったのか」 京太郎「い、いえ。ただその、頭をよぎらなかったといえば嘘になるかなーと……」アハハ ゆみ「笑い事じゃない。まったく……」 ゆみ「まあ、これで緊張するのもわかっただろう。OKされて一気に緊張が解けたんだ」 ゆみ「……本当に嬉しかった。ありがとう、京太郎くん」 京太郎「俺のほうこそ、というかほんとは俺からちゃんと言いたかったんですが」 ゆみ「君がバカな条件なんてつけるからだ」ムゥ 京太郎「あはは……ゆみ先輩。涙、もう大丈夫ですか」 ゆみ「ああ、ようやく収まってきた。これで君の顔を見れるよ……京太郎」 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎「ゆみ……さん」 ゆみ「さん?」 京太郎「今すぐはちょっと……」 ゆみ「私は呼び捨てのほうが嬉しいんだがな」 京太郎「すみません、俺の問題です」 ゆみ「そうか……まあ追々直してくれ」 ゆみ「……京太郎。もう一度呼んで貰っていいか?」 京太郎「ゆみさん……」ジッ ゆみ「京太郎……」ジッ 京太郎「……」 ゆみ「……ん」メツブリ 京太郎「! ……」ソーッ ゆみ「……」ドキドキ 京太郎「……」ドキドキ 京太郎「――」スーッ 桃子「はいそこまでっすよー」 京太郎「うおぉっ!!??」バッ ゆみ「も、モモ!?」バッ 桃子「お楽しみのところ悪いっすけど電車の時間が迫ってるから帰るっす」 京太郎「お、お前ステルス悪用するなよ! 全然気づかなかったぞ!」 桃子「今回ばかりはステルス関係ないっすよ」チラッ 京太郎・ゆみ「え?」 智美「ワハハー」 睦月「えっと……」 佳織「あはは……」 京太郎「い、いつの間に……!」ガタタッ 智美「入賞おめでとうの辺りかなー」ワハハ ゆみ「ほぼ初めからじゃないか!!」 桃子「少し離れてただけなのに気づかないのが悪いっす」 睦月「ちなみに他校の人も周りに結構いましたよ。先輩が泣いた辺りから辛くなったのかいなくなりましたけど」 智美「私達も置いて帰ってやろうかと思ったなー」ワハハ ゆみ「うぁ……」バタバタ 京太郎「ぐおぉ……」バタバタ 佳織「でもなんにせよよかったです。おめでとうございます!」 桃子「そうっすね。ゆみ先輩には上手く騙されたっすけど」 ゆみ「……あれだけ答えないと言っていれば、気を使って来ないだろうと思って誤魔化してたんだがな。私が甘かったよ」ハァ 智美「あれだけ人前でイチャついておいて隠そうだなんて甘いぞー」ワハハ 京太郎「イチャついてなんかいませんて!」 桃子「……動画でも録っておけばよかったっすかね」 睦月「それはさすがに……」 佳織「で、でも効果はありそうだよ!」 京太郎「佳織先輩!? モモのフォローのつもりですかそれは!」 佳織「えと、半分はそうかな」 ゆみ「待て、残りの半分はなんなんだ」 智美「そんなのわかりきってるだろー。それよりほら、いい加減時間がないぞ」 京太郎「お願いですからしっかり反論できる時間を……!」 ゆみ「……まあ時間がないのは確かみたいだし、残りは帰りの電車の中ででも話そう」 桃子「私たちを先に帰らせて、2人は残って楽しんできてもいいんすよ?」 京太郎・ゆみ「するか!」 佳織「え? 意が……あ。それじゃあ私たちは玄関で待ってますね」 ゆみ「何か言いかけたのが気になるが……もういいか」ハァ 京太郎「あはは……それじゃ荷物取ってきますね。行きましょうゆみさん」 ゆみ「ああ、京太郎」フフッ 京太郎「……」キョロキョロ ゆみ「どうかしたのか?」 京太郎「いえ、ちょっと周りの確認を……よし」 ゆみ「?」 京太郎「」ギュッ ゆみ「きょ、京太郎!? て、手を……!」アワアワ 京太郎「その、周りに誰もいないみたいなんで……ダメですか?」 ゆみ「ダ、ダメじゃない! た、ただ驚いただけだ!」ワタワタ 京太郎「ありがとうございます!」ギュッ ゆみ「……」テクテク 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」テクテク 京太郎「……な、なんか緊張しますね」アハハ ゆみ「あ、ああ。もっと見られて恥ずかしいことはやっているのにな」 京太郎「なんでこんな気分になるんですかね?」 ゆみ「……きっと恋人らしい行為だからだろうな」 京太郎「な、なるほど……」カアァァ ゆみ「……京太郎」 京太郎「はい」 ゆみ「全国大会が終わって私が引退しても、出来るだけ一緒にいような」 京太郎「はい。学校であんまり会えないのが寂しいですけど」 ゆみ「……部室で勉強するのはありだろうか」 京太郎「嬉しいですけど、集中できますか?」 ゆみ「集中力はある方だと思うが……」チラッ 京太郎「?」 ゆみ「……君に見惚れるかもしれないな」ボソッ 京太郎「~~~!!」カアァァ 京太郎(やべえ、抱きしめたい!) ゆみ「コホン……京太郎、大好きだよ。これからもよろしく」ギュッ 京太郎「ゆみさん、俺も大好きです。よろしくお願いします」ギュッ 京太郎「……そういえばなんで俺は先週怒られたんですか?」 ゆみ「先週? ……君が大声で叫んだときか?」 京太郎「せめて告白と言ってもらえると……いやまあそうなんですけど」 京太郎「さっきゆみせんぱ……ゆみさんも同じ告白したじゃないですか!」 ゆみ「なんだそんなことか」 京太郎「そんなことって……」 ゆみ「私が言おうとしていた台詞を京太郎に言われたんだ。あのくらい言わせろ」プイッ 京太郎「……え? ゆみさんも告白しようって思ってたんですか。しかも同じ台詞で……」 ゆみ「……京太郎が私を好きな気持ちと同じかそれ以上に、私は君のことが好きだよ」 ゆみ「それに私が君に告白するならあの台詞しかないと思った。理由は君と同じだ」 京太郎「」ポカーン ゆみ「……どうした?」 京太郎「ああいえ、今めちゃくちゃ嬉しいんです。もうなんか、顔が緩まないようにするのが大変なくらい」ニヤニヤ ゆみ「十分緩んでるぞ」 京太郎「ヤバイ、すっげえ嬉しいです。ゆみさんと同じこと考えてるってだけでこんなに嬉しいんですね……!」ニヤニヤ ゆみ「私も嬉しいが、京太郎は少し緩みすぎだ」ニコニコ 京太郎「ゆみさんも口元ニヤついてますよ」クスッ ゆみ「なっ!」ワタワタ 京太郎「ほら、急ぎましょう。電車遅れちゃいますよ」 ゆみ「お、おい。言いっぱなしにするな!」 ゆみ(……同じことを考えている、か) ゆみ(こんなことでドキドキしてしまうなんて、本当、私もどうしようもないな)ドキドキ ……… …… … ゆみ「京太郎だけか?」ガラッ 京太郎「はい。先輩たちもモモもまだ来てないですよ」 ゆみ「ふむ。まあちょうどいいか」 京太郎「何かあったんですか?」 ゆみ「ああ。推薦が決まったんだ。早く君に伝えたかった」 京太郎「ほんとですか! おめでとうございます!」 ゆみ「ありがとう、京太郎。これで大学も自宅から通えるよ」 京太郎「はい。……卒業してからも一緒にいられますね」 ゆみ「うん、素直に嬉しいよ」フフッ 京太郎「俺も嬉しいです! にしてもやっぱり不安がることなんてなかったじゃないですかー」 ゆみ「君もこの立場になってみればわかる。第一、私の実績なんて大したものではないからな」 京太郎「全国大会で決勝リーグまで行ったじゃないですか。十分凄いですって」 ゆみ「行ったからこそわかる実力の差というのもあったよ。順位もよくなかったしな」 京太郎「でも少なくとも全国で2桁以内の実力じゃないですか」 ゆみ「それはまあ、うん」 京太郎「じゃあ自信持ちましょう! プロ目指すんですから、謙遜しすぎるのもよくないですよ」 ゆみ「……そうだな。私のことを評価してくれたわけだし」 京太郎「そうですよ。それに推薦が出た大学って藤田プロが推薦してくれたとこでしたよね?」 ゆみ「ああ。合宿で少し話したときに、ちゃんとした指導は受けたことがないと言ったら藤田プロの出身校を紹介してくれたんだ」 ゆみ「まあほんとに紹介だけだったんだがな」 京太郎「自分の力で受かれってことですか。藤田プロらしいですね」 ゆみ「そうだな。プロを目指すならこのくらい他人に頼るなということなんだろう」 京太郎「……プロ目指したのって、やっぱり藤田プロに大学紹介されたからなんですか? 聞いたのは全国終わってからでしたけど」 ゆみ「いや、全国大会が終わってからだよ」 京太郎「そうなんですか? 差を感じたって言ってたような……?」 ゆみ「だからこそかな。悔しかったんだ。特に宮永には一度手が届いた分なおさらな」 京太郎「全国大会の咲凄かったですね。特に最後の照さんをまくったところ、長野の決勝のゆみさんみたいでしたよ」 ゆみ「総合順位で上回ったというところが私と違うがな」フフッ 京太郎「仕方ないですよ。逆転できる点差じゃなかったですし」 ゆみ「わかってる……少し話がそれたな。その宮永や宮永照のような圧倒的に格上の相手に負けて悔しいと思ったんだ」 京太郎「? そりゃ悔しいですよ。俺だってアカギさんや隗さんに負けたときも、当然ってわかってても悔しかったです」 ゆみ「それが君のいいところなんだろうな」 ゆみ「私は団体戦で負けたときも、悔しいというよりは寂しいと感じてたよ」 ゆみ「だからこそ、悔しいと感じたことは自分でも意外だった。勝てるなんて思っていなかったはずなんだがな」 京太郎「……麻雀をするとき、心の底から勝てないと思ってする人なんていませんよ」 京太郎「一度勝てたからそれが表に出ただけです。きっと」 ゆみ「……そうだな。まあ、だから全国大会のあとこのままじゃ終われないと思ってプロを目指そうと思ったんだ」 ゆみ「大体だな……そんな大事なこと、決めたらすぐ君に話すに決まっているだろう」 京太郎「」 ゆみ「ど、どうかしたか?」 京太郎「いえ、愛されてるなあと」ジーン ゆみ「あ、愛っ!? へ、変なことを言うな!」カアァァ 京太郎「……俺は愛して貰えてなかったんですね」ガクッ ゆみ「誰もそんなこと言ってないだろう!」 京太郎「冗談ですよ」アハハ ゆみ「まったく。……そんなこと冗談でもあまり言って欲しくはないな」 京太郎「う、反省します」 ゆみ「ああ。ちゃんと反省してくれ」 京太郎「でもゆみさんがプロ目指してくれてよかったです」 ゆみ「うん? 受験するにせよ麻雀をやめるつもりはなかったが」 京太郎「それはそうですけど……」 ゆみ「けど?」 京太郎「俺はゆみさんの、技術と対応力で相手を倒す麻雀が大好きなんです」 京太郎「牌に愛された子みたいな特別な力がなくても、麻雀を愛してれば対抗出来るんだなって思えて……」 京太郎「これからも全力で打ち込んでるところを見ていたかったんです。……まあ、俺の勝手な押し付けですけど」 ゆみ「……君は恥ずかしいことを平気でいうな」カアァァ 京太郎「ゆみさんが言いますかそれ」 ゆみ「まるで私が恥ずかしいことを言っているみたいな言い方じゃないか」 京太郎「言ってないとは言わせませんよ!?」 ゆみ「……まあいい」プイッ 京太郎(自覚ないわけじゃないんだな) ゆみ「京太郎にそこまで言われたら私も頑張らないわけにはいかないな。だからその……」 ゆみ「わ、私をその気にさせたのは京太郎だ。だから、責任をとってちゃんと最後まで一緒にいてくれなきゃ嫌だぞ」カアァァ 京太郎「……当たり前じゃないですか。俺こそ一緒にいさせてください」 ゆみ「京太郎……」 京太郎「……」 ゆみ「……」メツブリ 京太郎「……」ソーッ ゆみ「ん……」ドキドキ 京太郎「――」スーッ ゆみ「……んっ」チュッ 京太郎「……な、なんか恥ずかしいですね」カアァァ ゆみ「そ、そうだな」カアァァ ゆみ「……でも、嬉しい。ようやく君と出来た」 京太郎「モモとかに邪魔されてなかなか出来ませんでしたもんね。……」ジーッ ゆみ「? ……っ! あ、あまり唇を見つめるな。恥ずかしいだろう」バッ 京太郎「す、すみません! つい……」 ゆみ「……実は、さっきは嬉しさでいっぱいでな。あまり感触がわからなかったんだ」 京太郎「! お、俺もです」 ゆみ「だからな、その……」チラッ 京太郎「……目、閉じてください」 ゆみ「……うん」スッ 京太郎「――」ドキドキ ゆみ「――」ドキドキ 睦月「……」ドキドキ 佳織「……」ドキドキ 桃子「……」ニヤニヤ 京太郎「……え?」 ゆみ「どうかし――っ」 桃子「こんにちはっすー!」ニヤニヤ 京太郎「っ!」ガタタッ ゆみ「っ!」ガタタッ 睦月「あ、ご、ごめんなさい。気にしないでください!」 佳織「ど、どうぞ続けてください!」 ゆみ「続けられるか! いつからいたんだ!?」 桃子「最初はドアの窓から隠れて見てたっすから、どこからかはわからないっす。まあキスする前っすね」 京太郎「隠れるなよ! というか見るなよ!」 睦月「うむ。それはもっともだけど、今まで何度も邪魔しちゃったから今回は見守ろうと思って……」 京太郎「見る必要あります!? 気を使って見るのもやめてくださいよ!」 睦月「そこはまあ……好奇心?」 京太郎「素直ですね畜生!」 桃子「でもキス終わってからドア開けて入ったのに、気づかれなかったのは予想外だったっす」 ゆみ「え?」 桃子「だからキスした後冷やかそうと思ってドア開けたのに、気づかなかったじゃないっすか。おかげでいいもの見れたっすけど」 佳織「集中してましたよね。2人だけの世界って感じでした」 ゆみ「……うぅ」ガクッ 京太郎「ゆみさん!? しっかりしてください!」 ゆみ「どこかに消え入りたい気分だ……」 京太郎「俺がついてますから。恥をかくときは2人一緒ですよ!」 ゆみ「京太郎……」ジーッ 京太郎「ゆみさん……」ジーッ 桃子「そこのバカップルはほんと懲りないっすねー」 ゆみ「ひゃっ!」バッ 京太郎「うおっ!?」バッ 睦月「邪魔して悪いけど、そろそろ部活始めよう?」 京太郎「い、いえ。全然悪くないです! むしろ歓迎です!」 佳織「三麻やっててもいいけど……」 京太郎「大丈夫ですから!」 睦月「加治木先輩はどうされます? 久しぶりに打ちますか?」 ゆみ「いや、邪魔になっては悪いから。ここでおとなしくしているよ」 睦月「わかりました……じゃあ皆、始めよう」 一同「はい!」 …… … 智美「遊びに来たぞー」ガラッ 京太郎「あ、ぶちょ……智美先輩」タン 智美「そろそろ慣れようなー。部長はむっきーだぞ」 睦月「ちゃんと私のことも部長って呼んでくれてますよ。智美先輩は1日ぶりですね」タン 智美「昨日は来れなかったからなー。毎日来たいんだけ……」 ゆみ「お前、そんなに来ているのか」 智美「ゆ、ゆみちん!? め、珍しいじゃないか」ワハハ ゆみ「今日は推薦が決まったからその報告にな」 智美「おお、決まったのかー! ゆみちんおめでとう!」 ゆみ「ありがとう。後は蒲原だな。さあ勉強をするぞ」 智美「ちょ、ちょっとくらい息抜きも」 ゆみ「来たばかりで息抜きも何もないだろう。早くノートを出せ」 智美「ワハハ……」 智美「ゆみちん、ここ教え――」 ゆみ「……」ジーッ 京太郎「……」タン 智美「……ゆみちん?」 ゆみ「はっ! どうした?」ワタワタ 智美「京太郎と何かあったのかー?」 ゆみ「な!? な、なにもないぞ」 智美「ゆみちんはいつも京太郎のこと見てるけど、今日はいつもより見てる時間が長いからなー」ワハハ ゆみ「うっ、無意識にそんな……」 智美「それで何したんだー?」ワハハ ゆみ「……キスした」ボソッ 智美「ワハッ!?」 ゆみ「な、なんだ。悪いか!」 智美「いやーちょっと驚いたぞー。そうかついにかー」ワハハ ゆみ「誰のせいだ誰の」 智美「確かに何度か邪魔したけど悪気はなかったんだぞ?」 ゆみ「信じられるか」 智美「まあまあ。それで1度目は告白のときで、2度目は全国大会だったかー?」 ゆみ「その次は公園。その後は学校でだったな。……4回だぞ!」 智美「不幸な偶然だなー」ワハハ ゆみ「どれだけ気まずくなったことか……」 智美「まあ遅くなったけど出来てよかったじゃないか」 ゆみ「……あ、ああ」カアァァ 智美「ちなみにモモたちは知ってるのかー?」 ゆみ「……まあ、見られたしな」プイッ 智美「そうなのかー」ワハハ 智美(後で様子を聞いておこう)ワハハ 睦月「お疲れさま。今日はこれで終わりにしよう」 京太郎「お疲れさまでした! くそー全然勝てなかった」 桃子「あんなとこ見せられたら麻雀で勝たせるわけには行かないっすよね」 京太郎「ちくしょう、いいとこ見せたかったのになあ」 ゆみ「大丈夫。結果には出ていなかったけどよくなってるよ」 京太郎「ありがとうございます!」 智美「むっきーも部長が板についてきたなー」 睦月「いえ、まだまだ先輩たちのようには」ハァ 智美「まあ私にはゆみちんがいたからなー」ワハハ 智美「そうだ。推薦も決まったんだし、ゆみちんも手伝ってあげたらどうだ? 自分の練習も必要だろー?」 ゆみ「いや、引退した私がいては津山もみんなもやりづらいだろう」 睦月「そんなことないですよ。まだまだ教わりたいこともありますし、加治木先輩の練習の手伝いもさせてください」 ゆみ「しかし……」 佳織「えっと、加治木先輩は今も京太郎くんに教えてるんですよね?」 ゆみ「……それは、うん」チラッ 京太郎「ゆみさんも忙しいからずっとってわけじゃないですけど」 佳織「それなら私たちにも教えてくれると嬉しいです」エヘヘ ゆみ「……わかった。それならもう少しお世話になるよ」 桃子「決まりっすね!」 智美「それじゃあ私もお世話になろうかなー」ワハハ ゆみ「……蒲原の勉強を見ながらになるが、よろしく」 一同「よろしくお願いします!」 蒲原「ワハッ!?」 ………… ……… …… … ゆみ「じゃあまた明日」 京太郎「お疲れさまでしたー」 一同「さよならー」 ゆみ「さて、私たちも帰ろうか」 京太郎「はい」 ゆみ「……今日は家まで送ってもらっていいか?」 京太郎「もちろんです! というか毎日送るって言ってるじゃないですか」 ゆみ「君が大変だろう」 京太郎「そんなことないって言ってるのに……」 ゆみ「私の家がもう少し近ければ別なんだが……京太郎に無理をさせたくないという私の気持ちもわかってくれ」 京太郎「それは嬉しいですけど」 ゆみ「まあいいじゃないか。週に1回くらいは君に送ってもらってるんだから」 京太郎「……そうですね。それじゃたまにしか一緒に帰れない分、頑張って送りますよ!」 ゆみ「ああ……いや、ゆっくりでもいいぞ」 京太郎「……はい、じゃあゆっくりめで」 …… … ゆみ「――それは君らしいじゃないか」フフッ 京太郎「そんなことないですって」ムゥ 京太郎「……そういえば今日はなんで送らせてくれたんですか?」 ゆみ「うん?」 京太郎「今週は一度送ったじゃないですか。だから珍しいなって。いや嬉しいですけど」 ゆみ「ああ、なるほど。それは……その、今日君と、しただろう?」カアァァ 京太郎「? ……っ! は、はい」カアァァ ゆみ「あ、あのときはすぐモモたちが来ただろう? だからその、余韻というか、君と2人の時間が欲しかったというか……」 ゆみ「と、ともかく! だから君に送って貰いたいと思ったんだ」 京太郎「は、はい! その……俺も一緒にいたかったです」 ゆみ「そうか……嬉しい」ギュッ 京太郎「!」ドキッ ゆみ「……久々にこの状態でドキドキさせられたかな」フフッ 京太郎「くっ……今度俺がドキドキさせてリベンジしますからね!」 ゆみ(いつもさせられてるんだけどな)ギュッ 京太郎「ゆみさん?」 ゆみ「いや、楽しみにしてるよ」フッ ――加治木宅前―― 京太郎「ゆみさん、着きましたよ」 ゆみ「ああ、もう着いてしまったか」 京太郎「話してると早いですよね……やっぱり俺が毎日送りますよ!」 ゆみ「それはダメだ」 京太郎「強情ですね」グヌヌ ゆみ「それは君の方だろう」 ゆみ「……まあ、その代わりに」 京太郎「?」 ゆみ「……」コイコイ 京太郎「? はい」テクテク ゆみ「――」グッ 京太郎「えっ――!」 ゆみ「」チュッ 京太郎「」 ゆみ「…………」スッ ゆみ「……お、送ってくれたお礼だ。どう、だったかな」カアァァ 京太郎「えっと……」スッ ゆみ「うん? ――!」 京太郎「」チュッ ゆみ「!?」 京太郎「…………」フゥ 京太郎「こんな感じです」ニコッ ゆみ「ば、馬鹿か君は!?」カアァァ 京太郎「ち、違いますよ! 突然されたからよくわからなかったんでもう一度しようと……」 ゆみ「すぐやり返すやつがあるか!」 京太郎「で、でもちゃんと感触はわかりましたよ。柔らかくて……」 ゆみ「……ふぁ」カアァァ 京太郎「……や、やめましょうか」カアァァ ゆみ「あ、ああ。思った以上に恥ずかしいなこれは……」カアァァ 京太郎「それじゃそろそろ帰ります」 ゆみ「うん……なんだか寂しいな。いつもはこんなことないのに」 京太郎「俺もです」 ゆみ「……寄っていくか?」クイッ 京太郎「……ご両親いらっしゃるんですよね?」 ゆみ「母だけな」 京太郎「ま、まだ勘弁してください。心の準備が……」 ゆみ「まあそういうと思ってたよ」 京太郎「明日からはまた毎日部活で会えますね」 ゆみ「そうだな。……今度こそ全国へ行けるように鍛えるから覚悟するように」 京太郎「うっ。甘い部活生活はないんですかっ」 ゆみ「そういうのは部活の後だ」 京太郎「厳しいですね……まあ、俺も強くならないと」 ゆみ「ああ、私も頑張るから京太郎も一緒に頑張ろう」 京太郎「はい!」 ゆみ「……これからもよろしく。大好きだよ、京太郎」ニコッ カン!
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久「へえー、胸を触った女の子と同じ打ち方が出来るようになったんだ」 京太郎「はい」 和「そんなオカルトありえません」 咲「京ちゃんったら、どうせ女の子の胸が触りたいだけでしょ」 まこ「サイテーじゃな」 優希「まるで盛った犬だじぇ」 京太郎「(何とでもいえ、俺はどうしても和の胸が揉みたいんだ・・・!!)」 久「いいわ。私の胸を触ってみなさい」 咲「部長!?」 久「でも、もしその話が嘘だったら・・・わかるわね?」 京太郎「(良くて退部、悪くて退学か・・・分の悪い賭けだな。だが、それでも俺は――)」 京太郎「(和の胸を触りたい!)では、失礼します」 久「えっと、服の上からでもいいのかしら?」 京太郎「問題ありません」サワ 久「ん・・・///」 京太郎「(うわ、部長の胸やわらけぇー・・・!!」 一同「・・・」冷たい視線 最終局 咲「やっぱり嘘だったみたいだね」 和「だから言ったじゃないですか、そんなオカルトありえませんって」 まこ「地獄単騎を狙っているみたいじゃが、全然来んみたいじゃしな」 優希「退学する覚悟は出来たか?」 京太郎「(くそ、ここで地獄単騎を成功させなければ俺は退学・・・。それ以前に、和の胸を揉むことは出来ない)」 京太郎「(ここまでなのか、俺は・・・!! 所詮俺は麻雀部にいらない雑用で雑魚キャラなのか!?)」 京太郎「(それでもいい!! だけどそれでも俺は男として、和の胸が揉みたい・・・!!)」カッ 京太郎「どれ、俺が起家か。いいスタートがきれそうだ」カチャカチャ 和「親の順番なんて関係ありません」カチャカチャ 優希「そんなことないじぇ!親は最初にやるのが一番だじぇ!」カチャカチャ 咲(どうなるんだろう…)カチャカチャ ━━━━━━━━━━━━…… 東一局 4巡目 京太郎(おぉ、もうテンパイだ!ここはドラの一萬を切ってメンタンピンだ!)カチャ 京太郎(…いや、まてよ。一応今俺は部長の能力をコピーしていることになってる。あえて八ピンを残して単騎待ちにしてみるか…) 京太郎「リーチ!」 和「(ここでリーチ…!ここはおりたいけれど安牌が無い…。ドラ周辺を捨ててるからドラ待ちは無いはず…)」タン 京太郎「それだ!」 一同「!?」 京太郎「来いッ!!」バッ、パシッ、バンッ 一同「ッ!?」 京太郎「・・・ツモ。ツモだ!!」 まこ「嘘じゃろ・・・。既に場に3個でている牌を待っていたのか」 咲「それに今の無駄に洗練された無駄なツモり方。間違いなく部長の動き・・・!!」 優希「ありえないじぇ・・・」 京太郎「(まさか、本当に来るなんて・・・)」 久「咲、今日部活が終わったら部室に残りなさい。で、須賀君」 京太郎「な、なんでしょう?」 久「最終局に一回だけじゃ偶然の可能性もあるわ。もう一局打ってくれる?」 京太郎「(確かに偶然かもしれない。今度は再現できないかもしれない、なら・・・)」 京太郎「実は部長、この能力は触った直後の一局だけしか効果ないんです。だからもう一回触らせてもらってもいいですか?」 京太郎「(最後に一回部長の胸を触っておこう)」サワサワ 久「ん・・・///」 一同「・・・」冷たい視線 京太郎「来いッ」バッ、パシッ、バンッ 咲「嘘・・・」 和「そんなことが・・・」 優希「ありえないじぇ」 まこ「これはどうしたことかのう・・・」 久「今度は最初から・・・。しかも三連続。どうやら本当のようね」 京太郎「(ま、まさか本当にそんな力が俺に?)」ワキワキ 京太郎「(胸を触った女の子の能力をコピーする。それが、俺の能力!!)」 久「これなら須賀君も個人戦良い所までいくんじゃないかしら。私達の胸を触らせてあげれば」 まこ「私達って、もしやわしらも入ってるのか?」 久「当然じゃない。一局ごとに打ち方が変わる打ち手なんて攻略方法見付けられると思う?」 まこ「いや、それはそうじゃが・・・」 和「わ、私は絶対いやですよ! 大体そんなオカルトがあるはずないんですっ!」 咲「べ、別に私は構わないけど・・・」 和「宮永さん!?」 久「決まりね。じゃあ、和は須賀君が個人戦一位で全国大会まで行けたら触らせてあげるのはどう?」 和「え?」 久「あの須賀君が龍門渕を倒して個人戦一位よ? 考えられる?」 和「それは、出来ませんが・・・」 一同「うんうん」 京太郎「みんなひでぇ・・・」 久「だから、もし個人戦一位になったら触らせてあげるってことで。もしあなたがオカルトを信じていないのなら、ね」 和「・・・わかりました。そんなオカルト、絶対ありえませんから」 男子個人戦 一回戦 まこ「うぅ・・・///」 京太郎「なんかこんな牌の並び方みた事ある気がする」 京太郎「よし、やっぱりそうだ、ツモ!」 二回戦 咲「んん・・・くすぐったいよ京ちゃん///」 京太郎「ツモ、嶺上開花」ゴッ 三回戦 京太郎「あれ、咲のままで余裕なんじゃね?」 優希「おい待て、犬ぅ!!」 京太郎「カン、カン、カンッ!! ツモ、嶺上開花!!」ゴゴッ 咲「触った直後にしか効果ないんじゃなかっけ」 久「能力が進化してきてるのかしらねー。さて、そろそろ龍門渕のエースと当たるわよ」 最終戦 ハギヨシ「よろしくお願いします」 京太郎「ああ、よろしく。(咲の能力があれば余裕だな)」 ハギヨシ「ロンです」 京太郎「くっ(段々咲の能力が弱くなってきている・・・。試合前に触っておくべきだったか)」 アナウンサー「休憩時間です!」 長野試合会場 照「(ついにここまで来た)」 照「(前に咲が来た時は女の子の日で調子が悪くて全然話せなかった。)」 照「(母さんから聞いた話だと咲もまた麻雀を始めたようだし、今こそあの時のすれ違いの修復をするんだ)」 照「(で、待合室はどこだ? っていうか今私はどこに居るんだ?)」 京太郎「くそ、咲の奴こんな時に迷子だなんて・・・」ダダダダッ 照「(ん、今の声は・・・)」 京太郎「お、うわっ・・・」ドンッ 照「きゃあっ!!」バタリ 京太郎「わ、悪い、急いでて・・・あ」サワ 照「!! ど、どけ! この変態!!」 京太郎「す、すみませんって・・・照さん?」 照「その声は京ちゃん?」 アナウンス「清澄高校、須賀京太郎君。至急会場に戻る様に」 京太郎「くそ、すみません。俺もう行きます」ダダダダッ 照「え、あ・・・。待合室の場所、教えてもらえなかった」シュン アナウンサー「では最終局スタートです」 京太郎「(くそ、咲の能力をコピーできなかった。もう終わりだ・・・)」ピカアァン 京太郎「(ふーん。こいつこういう能力があるのか。くそ、やっぱり勝てねえ・・・)」 京太郎「(一体どうすればいいんだ)」ギュルルルッ 京太郎「(くそ、咲じゃなくて違う女の子の胸を揉んで置けばよかった)」ガッ 京太郎「(あれ、そういえばさっき・・・)」ドゴォ ギュオオオン アナウンサー「つ、ツモ! 国士無双・・・逆転です!」 かつ丼「ふ、久々に見たよあれほど牌に愛された人間を」 久「個人戦一位おめでとう、須賀君」 優希「犬にしてはよくやったじぇ」 まこ「わしらのおかげじゃな」 咲「すごいよ、京ちゃん。最後まるでおねえちゃんみたいだったよ」 京太郎「ありがとう、みんな。それで、その、和?」 和「・・・。約束は、約束です。どうぞ」涙目 京太郎「では」サワサワ バタリ 咲「京ちゃん!?」 まこ「ど、どうしたんじゃ!?」 優希「・・・し、死んでるじぇ」 久「・・・能力をコピーするのには肉体的にかなり消耗することのようね」 久「だけど、彼はそれでも和の胸に触りたかった。その一念でここまで来たのよ」 咲「京ちゃん、最低だけど漢だよ」 優希「ああ、漢だじぇ」 まこ「漢じゃな」 和「漢です」 京太郎「(我が人生に一片の悔いなし・・・!!)」 終わり
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ホテル 憧「はー、今日の試合も疲れたわー」 憧「こんな時はゆっくり休むに限るわー」 憧「それにしても……なんでKちゃん抱いてると落ちつくのかしら」ギュッ 憧「……ま、いっか」 憧「……ふふっ」ギュー 憧「ん?シズからメール?……玄の部屋に来いって、そっちが来なさいっての。全く」 憧「……仕方ない、Kちゃん持っていこ」 ガチャ 京太郎「ん?どした憧?」 憧「ひゃっ!?きょ、京太郎!?なんでここに居るの!?」 京太郎「なんでって、ただ通っただけでたまたまなんだが……アレ?そのぬいぐるみ」 憧「ふきゅっ!?こ、これは……」 京太郎「……俺?ひょっとして寂しいから抱いていたとか?」 憧「あ……うぇ……」 京太郎「なーんてな。そんなこと」 憧「バカーーーーーーーーッ!!!」バキッ 京太郎「ぐふぉっ!!」バタッ 憧「きょ、京太郎なんか、全然好きじゃないんだからね!!」タッタッタッ 京太郎「さ、最後まで聞け……」ガクッ
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俺は須賀京太郎。言わずと知れた清澄高校麻雀部唯一の 男子部員だ。 この部の特徴はやたら女の子が多い事だ。 俺は普段麻雀の勉強をする事もなく、彼女たちの雑用ばかりしている。 しかし、今日俺は限界を迎えた。 久「ロン。12000は12300」 京太郎(俺はこの半荘が終わったら部長を誘う) 久「ふむ…」 京太郎(メンタンピンドラ1…良い手だ。これでこの半荘は終わる) 咲「カン!もいっこカン!リンシャンツモ!倍満です!」 京太郎(ぐぬぬ 咲イイイイイイイイイ) 咲「じゃあ連荘ですね」カチッ カラカラ チャッ チャッ チャッ カタカタカタ 久「…」(良い牌牌だわ) 京太郎(終わったな) 咲「カン!もいっこカン!カンカンカン!ツモ!」 京太郎(ブッチーン) 京太郎「おい咲 お前いい加減にしろよ」 咲「え?京ちゃんなんか言った?」 京太郎「え?いや何でもない。空耳だろ」 咲「そう…またまた私の親!がんばるよ!」カチッ カラカラ 優希「咲ちゃん今日はツイてるじぇ」 チャッ チャッ チャッ カタカタカタ 久「うーん」(一通も見えるけど三色かしら!) 京太郎(この三色が完成したら俺は部長を誘う) 久「ロン!メンピン三色ドラドラ!飛んだわね」 まこ「やれやれ…かなわんのお」 京太郎「部長…ちょっとコーヒーを買いに行きませんか」 久「え…?」 まこ「コーヒーなら冷蔵庫にあるじゃろ」 京太郎(ワカメはだまってろ もうしんぼうたまらん) 京太郎「俺は部長とコーヒーが飲みたいんです」 久「」 優希「」 咲(え…京ちゃん何言ってるの…?) まこ(ほう…京太郎も隅におけんのお) 京太郎「いやですか…?」 久「別にいいわ。じゃちょっといってくるわー」 *** まこ「おいおい ホントにいってしもたの」 優希「そ…そんな…京太郎に限って…」 和「そんなオカルトありえません!」 そんな訳で俺達は自販機の所にやってきたのだ 久「ふう」ガタン 夕陽に映える部長の横顔が美しい 久「それで…何?」 京太郎「ええ 実は俺の国士無双が爆発しそうなのです」 久「」 京太郎「では参りますよ」 久「ちょちょちょっと」 俺はてっとりばやく部長の唇という名の三色同刻をうばう 久「う」 京太郎「どうですか 俺じゃあだめなんですか」 久「ぷはっ まってまって何か須賀君変よ?どうしたの」 京太郎「俺は何時も普通でしたか それはそう見えていただけかもしれませんよ」 そう、俺の肉欲は限界を突破していた 優希「この泥棒猫だじぇ!」 久「優希・・・」 通路の陰から優希が飛び出して来た 優希「このバカ犬!女の子に無理矢理キスするなんてどうかしてるじぇ!」 そう言うと優希は俺の股間に拳を繰り出してきた ズン! 京太郎「はぅあっ!」 久「須賀君!?」 俺は肉欲も不完全燃焼のまま地に崩れ落ちた 久「ちょっ・・・須賀君、大丈夫!?」 京太郎「うぅ・・・あっ・・・///」ムクムク 上を見上げると、そこには部長のスカートの中が目の前に広がっていた 不覚にも俺は勃起した 久「へ・・・?って、どこ見てるのよ///」 優希「地面を転がりまわるふりをして部長のスカートの中覗くなんて最低だじぇ!死ねっ!」 優希は俺の股間を蹴り上げる 京太郎「はぅあっ!」 俺は息を呑み悶絶した 久「優希・・・貴女なんてことを・・・!須賀君に謝りなさい」 優希「うるちゃいうるちゃいうるちゃーい!」 咲「何があったの・・・?」 和「須賀君が・・・死んでる・・・!?」 いつの間にか、優希を追ってきたと思われる麻雀部員たちが集まっていた 久「私にも何が何だか・・・」 優希「・・・部長がみんな悪いんだじぇ」 久「えっ」 周囲が騒がしい 京太郎「・・・ここは?」 内木「生徒議会室です。なにやら廊下で倒れているのでここまで運んできたのですが」 京太郎「ありがとうございます。でも俺、もう行かないと・・・うぁっ!?」 立ち上がろうとする俺の股間に痛みが走った 内木「無理しないで下さい。それより股間を押さえてどうかしたんですか?」 京太郎「な、何でもないんです。本当に!」 内木「怪我でもしていたら大変だ。おい、彼のズボンを脱がせろ!」 男子生徒A「はっ!」 京太郎「や、やめてくれ・・・!」 俺は筋骨隆々とした男子生徒たちの手によってあれよあれよという間にズボンのみならず 上の制服も脱がされ、1分と経たぬうちに全裸に剥かれていたのだった 内木「ほう、これはこれは・・・」 京太郎「み、見ないで下さい・・・///」 周囲を取り囲む生徒議会副会長と、その配下と思われる逞しい肉体を持つ男達・・・ 彼らのねばついた視線に俺は湧き上がる衝動を抑え切れなかった・・・ 内木「竹井会長の麻雀部唯一の男子部員、須賀京太郎君。貴方の事はよく存じ上げてますよ」 内木「そしてもしここで貴方の介抱をしなければ会長に顔向けできない」 京太郎「いやいや、ほんと大丈夫ですから」 内木「そうは言っても立ち上げれないのでしょう?さ、その股間を押さえる手をどかして下さい」 そう言うと副会長は俺の手を無理矢理どかせた 内木「これは・・・」 男子生徒B「おお・・・」 生徒議会室にどよめきが走る そう、俺は勃起していたのだ 内木「神聖な生徒議会の一室でここをこんなにして・・・。恥ずかしくないのですか?」サワッ 京太郎「くっ・・・!?」ビクンッ 副会長にただ股間を撫でられただけだというのに、俺のペニスは大きく跳ね上がる 内木「おやおや、これじゃあ確かに立つことすらできないでしょう。もっともここはこんなに勃っていますが」 京太郎「や、やめてくれ・・・」 言葉とは裏腹に、俺の肉体はこれから俺に降りかかるであろう快楽に歓喜していた 内木「うぶっ!!!」ゴキイッ その瞬間黒い稲妻が走り内木以下生徒会役員のホモどもは一掃された ハギヨシ「大丈夫ですか京太郎様 偶然廊下を通りましたら悲鳴が聞えましたので」 京太郎「ああ…ありがとうございますありがとうございます…」 そして俺は部長の所へ戻った 久「あら、須賀君!」 京太郎「部長…俺…」 久「大丈夫?さっきは何か様子が変だったから…」 京太郎「今俺の九蓮宝燈は完全に復活しました」 久「」 そう、俺の中では既に九種九牌倒牌のイメージが克明に浮かんでいた しかしそれは犯罪である いくら欲に駆られようとも俺は部長の悲しい顔を見たくはない 京太郎「部長 実は俺…部長の事を愛してるんす…なんて言っていいか…すみません」 久「…そう」 久「…」 俺は知っている。まずはこの様に真意を伝える事が重要だ。 京太郎「やっぱり変ですね…頭冷やしてきます」 久「まって」 京太郎(北) 先ほどの愛の告白が心とすればこれが技 一度降りる事により部長の心をわしづかみにするテクだ 京太郎「部長!」ガバッ 久「あっ!」 そして体 すなわち 心・技・体 これぞ最強の麻雀奥義 俺も伊達に麻雀やってないのである 久「ちょっと待って。私こういうのは本当に好きな人だけにしたいのよ。須賀君は一時の勢いではないと断言できるの?」 久「私は須賀君の事は好きだし大事な麻雀部員の一人だわ。でもそんな風に思っていたなんて知らなかったのよ」 北。これはまことの壁。いわゆるノーチャンスというやつだ。 ここは絶対いい加減に答えてはいけない。 俺の今の本心 それは…! 京太郎「国士無双が止まりません」 久「…」ニヤリ 京太郎「あっ」 ガバッ 久「須賀君…からかってるの?面白いわねえ」 久「いい?こういう事するとどうなるか教えてあげる」 京太郎「あああ」 部長の闇の部分が目を覚ましてしまった。まさに理想的な展開。 京太郎「ちょっちょっと止めてください」 久「許さないわ」 アーレー カン
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1382443714/ 京太郎「するする。絶対する」 和「男に二言はありませんか?」 京太郎「当たり前だ!俺を誰だと思ってやがる!」 咲「流石、京ちゃん!あっ、このボタンで良かったのかな?」カチッ 久「うんうん、それで録音完了だからね。おっすおっすばっちしぃ☆」 和「じゃあ、王様ゲーム開始って事で」 久「私、代打連れて来る」 咲「あっ私も」 京太郎「えっ?え?ええ?」キョロキョロ 和「もちろん私も緊急の用事があるので代役の方に頼みます」 京太郎「は?」 ハギヨシ「どうも、んふっ♪」 大沼「来ちゃった///」 副会長「会長に脅されて……」 セーラ「なんか知らんけど、連れて来られたわ」 京太郎「……」 和「では、王様ゲーム頑張って下さいねー」 久「では、まずセーラさんが王様」 セーラ「あっ、俺や」 ハギヨシ「おっと、出鼻を挫かれてしまいましたか」 大沼「ふん、先手は若造にくれてやる」 京太郎(あの人、学ラン着てるけど男なのか?) セーラ「4番と1番が69や!」 京太郎(うおおおおおおおおお!俺、セーフ!?圧倒的強運!) ハギヨシ「2番です。残念でした」 副会長「4番…デ…ス」カタカタ 大沼「ふん、菊門か」ペロリ 咲「テンション上がって来たよおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」 久「ベットの用意はおっけーよん」 大沼「小僧、はよう脱がんかい」ポロン 副会長「いや……心の準備が」モジモジ 咲「脱ーげ、脱ーげ」 副会長「……脱ぎました///」 久「ふーん。今時の高校生ってブリーフ履いてるの?」 京太郎「俺はトランクスっす」 セーラ「俺もトランクス派やで」 大沼「小僧、ベットに横になれ。ワシがリードしてやる」 副会長「は、はい」 咲「いいね~いいよ~その表情~たまんないよぉ」カシャカシャ 京太郎「カメラ撮影とかありなのか?」 和「咲さんがありと言えばありです」 ハギヨシ「んふっ♪流出だけは勘弁して下さいね。クビになってしまいますよ」 副会長「……」チュパチュパ 大沼「……いいぞ。んっっ…」レロレロ 10分ほど69しました。射精には至りませんでした 大沼「小僧、気持ち良かったか?」 副会長「……///」コクン 咲「えっ、もう終わりなんですか!?」ガックリ 久「さて、次の王様は萩原さんね」 ハギヨシ「やりました!ツモ、大四喜」 セーラ「おーイケメンの執事の兄ちゃんが王様かー」 京太郎「ちぃぃぃぃぃ」 京太郎(俺が王様ならまともな命令で切り抜けられるのに……) 京太郎(けどハギヨシさんなら、案外まともな命令かも) ハギヨシ「宮永様、本番見たいですよね♪」 咲「きゅふきゅふふーふ、見たーい♪」 ハギヨシ「私は本番を所望します」 京太郎「まともな人じゃないだと!?」 ハギヨシ「くじで決めましょう。王様と○○が本番と言うのは簡単ですが……」 セーラ「運試しってわけやな?」 大沼「ほぅ、よかろう。伊達に長い事、麻雀プロやってないわい。わしの豪運とくと見よ」 副会長(どうか僕に当たりませんように) 久「シャカシャカ……抽選の結果は」 咲「京ちゃんと!!!!!!!!」 京太郎「うわああああああああ!?!?!??!」ガタッ 和「咲さん、嘘はいけませんよ。2番と3番の方です」 副会長「ぼぼぼぼぼぼ、僕だ……」カタカタ 京太郎(可哀想に) 大沼「流石はワシと言った所か」 ハギヨシ「大沼様はいつも美味しい所を持って行ってしまわれます」 咲「すーはー……、緊張して来た」 久「なんで咲が緊張するのよ」 そして実食! 大沼「ほぐれたか……。宮永の娘」 咲「はい!」 大沼「ローションをもて」 咲「かしこまりました!人肌温度で暖めて来ました」ササッ 大沼「うむ。では、塗るぞ」ヌリヌリ 副会長「んんっ……///あっ…」 大沼「ほぅ、痛くないのか。なかなか素質があるようじゃ」ヌプヌプ 咲「……」チラッチラッ 大沼「行くぞ……ぬううぅぅぅぅぅぅぅ」ドーーーーン! 副会長「んほおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」 副会長「いたっ……」ヒリヒリ 久「処女だったの?」 副会長「当たり前じゃないですかぁ」ポロポロ 久「ど、童貞は守れたし良かったじゃない」 ハギヨシ「処女アナルいいですねぇ……。私も味わいたかった」 和「次の王様はセーラさんです」 セーラ「ガスガデルデー」 京太郎「おっ……また千里山の学ラン兄さん」 ハギヨシ「流石にお強い」 セーラ「この中に居る一番胸が大きい人をプールに沈めて抹殺や!ははははー、なんてー」 咲「……」ゴチン 和「がっ……」ヨロッ 和「咲さん、何を……」ポタポタ 咲「ごめんね、和ちゃん」ガスガス 和「がっ……かはっ……」 咲「……プールに沈めて来ます。みなさんはゲームの続きを」 和「……」ブクブク セーラ「ひええぇぇぇぇぇぇぇぇ」ガクガク、ブルブル 京太郎「お、俺の幼馴染が人殺しなわけない!」 ハギヨシ「流石の私も玉が冷えて来ました」キン 久「つ、次の王様を決めましょう。」 京太郎「よっしゃーーーーー!!!!!!俺だぜーーーー!」 咲「京ちゃん、良かったね♪いっぱいエッチな事出来るよ~」 久「言っとくけど、私と咲はゲーム対象外だからね。おっぱい触らせろとか言わないでよ」 京太郎「言いませんよ。ちょっと電話貸して貰えます?」 咲「もしかして愛の告白!?男の子に?きゃあああああああ!もーーー、京ちゃん大胆」 プルルルルルルル 美穂子『はい、もしもし?』 久「んっ?」 京太郎「一度しか言わないので、よーーーーく聞いて下さいね。俺の知る限りの部長と肉体関係のある人です」 京太郎「~~、~~、~~、~~」 久「あーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」 久「何てことすんのよ!?」パシッ 慌てて電話を奪う久だが 京太郎「もう遅いです。最後まで言い終えました」 久「あぁぁぁぁぁぁぁ!?!??!?!」 久「失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した」 咲「あっ…ごめん!番号書いてある紙を間違えてたよ。本当の王様はハギヨシさん」 ハギヨシ「なんと!?」 京太郎「えー、もうやっちまった後だぜ」 咲「次の王様はハギヨシさんにしよう」 久「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ……いえ、逃げなきゃ駄目よ!」ブツブツ バーン! 美穂子「Oh Sweets Sweets CHERRY、気をつけて甘い罠♪ Oh Sweets Sweets CHERRY、Yes 囁いてあげるから♪ あぁ待ち遠しいけど~、どんな笑顔で会えばいい?」ニコッ 美穂子「上埜さーん、少し聞きたい事があります」 久「ひえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!??!」ブルブル 美穂子「何をそんなにおびえてるんですか~、大丈夫です優しくします」 久「やだあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」バタバタ 美穂子「さぁ、上埜さんと私のゴールデンタイムが始まりますよー」ズルズル 久「ぎゃあああああああああ!!!!!!」 セーラ「福路さん、絶対怒ってるやん!」 咲「阿修羅すら凌駕する勢いでしたね」 京太郎「部長は退場か……」 ハギヨシ「次の王様は私ですね」 ハギヨシ「全員で原村様の弔いをしましょう」 ハギヨシ「そうだ!原村様を死姦すればいいんです!きっと天に召された原村様も喜んでくれるはずです」 京太郎「……」 セーラ「……」 副会長「……」 大沼「わしには孫が居るんじゃ……」 咲(ホモじゃないじゃん!プンプン、おこだよ!お・こ) 咲「私、もう帰りますから。ありがとうございました」ペッコリン ハギヨシ「えっ?これからがいい所なのに?」 プール 京太郎「流石に死後硬直は始まってねぇか」 セーラ「べっぴんさんやのに可哀想やなぁ……。一体、前世で何しでかしたんやろな」 副会長「おえっ……」ゲロゲロ 大沼「おおぅ、吐け吐け。胃の中のもんを空にするんじゃ」 ハギヨシ「さぁ、みなさん!脱いで脱いで」スポポーン セーラ「もう行くしかないんやろな」ヌギヌギ 京太郎「そうっすね。一応、初体験が好きな人って事で」ヌギヌギ 副会長「僕がどうしてこんな目に……」ポロポロ 大沼「わしも大概ハードなプレイはやったが死姦は初めてじゃ」 京太郎「セーラさん、女だったんですか!?」 セーラ「せ、せやで///あんま見んといてな……」 ハギヨシ「あはは☆あはは☆あはははは☆ あはは☆あはは☆あはははは☆」 和の部屋 和「……はっ」ガハッ 和「はぁはぁ……」カタカタ 和「私は一体、なんて夢を見てたんでしょうか……」 和「きっと須賀君をハメようと思ったから、天罰が当たったんですね。悪い事は考えるもんじゃないです」 和「明日の王様ゲームは中止にしましょう」ポフッ 和「ふぁ~~~、まだ登校時間まで時間ありますね。もう一度寝ますか」 和「次はいい夢見られますように……」 終わり
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京太郎「なんだマホか、久しぶりだな」 マホ「久しぶりです、須賀先輩!」 京太郎「何しに清澄まで来たんだ? まだ部長が何か企んでるのか?」 マホ「なのです!」 京太郎「なのです?」 マホ「あうあう」 京太郎「あうう?」 マホ「あううあうあう」 京太郎「あううあ?」 マホ「あうあう!」 京太郎「なるほど、分からん」 マホ「つまりなn」 京太郎「無限ループ止めろ! つまりマホはクリスマス会の手伝いに来たんだな?」 マホ「えっ、違いま」 京太郎「いやあ助かったよ。部長から言いつけられたものの、一人じゃキツいと思ってたんだ」 マホ「そんな話聞いてま」 京太郎「ほら、折り紙。一緒に部屋の飾り作ろう、な?」 マホ「あうう……」 マホ「~♪」チョキチョキ 京太郎「……割に楽しそうだな、マホ」 マホ「はい! 工作は得意なんです!」 京太郎「器用なのか? チョンボはするのに」 マホ「うう……」 京太郎「いや、ごめんごめん」 マホ「大丈夫です、事実ですから……」 京太郎(うーん、思ったより作業が早く済みそうだな) 京太郎「よし、先輩がご褒美をあげよう」 マホ「ご褒美ですか?」 京太郎「ああ、おちn」 久「せいっ!」ドスッ 京太郎「ぬぐぅ!?」 マホ「わっ、須賀先輩!?」 久「危ないところだったわね、マホちゃん。まさか須賀君がFKウィルスに感染してたなんて……」 京太郎「なんすかそれ……」 久「ちなみにFKはFujitayasuKoの略よ。かかると性的対象年齢が著しく下がり……」 京太郎「FukuKaichoじゃないんですね」 マホ「須賀先輩、大丈夫ですか!?」 京太郎「ああ、大丈夫だ」 京太郎(部長も本気でやった訳じゃないし) マホ「竹井先輩、どうしてこんなことするんですか!」 マホ「須賀先輩は、部活のために一生懸命……」グスッ 久「えっ? ちょ、ちょっと須賀君……」 京太郎「えっ、あっ、はい」 京太郎「はっ! 部長のおかげで邪悪な心が祓われたぞ!」 京太郎「もうはっちゃんを見ても日焼け跡ペロペロと思わないし、胡桃を見ても俺の充電器をプラグインとは思わない!」 京太郎「ありがとう、部長! 愛してます、部長!」 マホ「わー、竹井先輩すごいんですね!」パァア 久「そ、そうかしら」 久「あら、もう終わらせたのね」 京太郎「はい。紙飾りの分は」 久「んー、企画は私達、料理準備は咲達がやるとして、後はツリーね」 京太郎「oh...そりゃなかなかヘビーですね」 久「ツリーと言ってもそこまでの大きさじゃないけれど。それでも結構な重労働になりそうね」 久「お願いできるかしら?」 京太郎「お任せあれ!」 マホ「何処か行くんですか?」 京太郎「ああ、ちょっと街までな」 マホ「マホもついて行きます!」 京太郎「そうか? じゃ、行こうか」 マホ「はい!」 マホ「うわー、街はイルミネーションで綺麗ですね!」 京太郎「ああ、そうだな」 京太郎(長野にそんな街があるかどうか知らんが) 京太郎「んー、ついでだし何処か店でも寄ってこうか」 マホ「本当ですか!?」 京太郎「ああ、何処がいい?」 マホ「ジャスコがいいです!」 京太郎「ジャスコ? ノンノンノン、今はイオンって言うんだぜ?」 京太郎「それにしてもジャスコか、ベリーナイスな選択肢だな」 京太郎「オシャレなブティックも、みんな満足なフードコートも」 京太郎「暇つぶしに最適な本屋も、映画館にボーリング場まである!」 京太郎「ジャスコ最高だなぁおい!」 マホ「はい!」 京太郎「どうだ、美味いか? そのクレープ」 マホ「はい、美味しいです!」 京太郎「ふぅむ、皮がふっくら……俺としてはもう少しパリパリな……」 マホ「人がいっぱいですね!」 京太郎「えっ、ああ、クリスマスだからな」 マホ「クリスマスって何だか楽しくなってきちゃいますね」 京太郎「そうだな」 京太郎(サンタを信じてる訳でも一緒に過ごす彼女がいる訳でもないが)」 京太郎「(クリスマスのBGMやイルミネーションは、何故か心をくすぐるんだよな) マホ「……」 京太郎「どうした、マホ? もう食べないのか?」 マホ「手をつないでる人が多いですね」 京太郎「あー、まあ、クリスマスだからな」 京太郎(確かにクリスマスは家族連れとカップルがやたら目立つ) マホ「皆さん仲良しなんですね!」 京太郎「えっ」 マホ「クリスマスは楽しい日だから、仲良くしないとですね!」 京太郎「おっ、おう」 京太郎(何だこの謎理論) マホ「はい」スッ 京太郎「?」 マホ「マホ達も手をつなぎましょう。ねっ、須賀先輩?」 京太郎「……あー、うん」 マホ「決まりですね!」ギュッ 京太郎(……これ、良いんだろうか。いや、単に仲が良い先輩後輩だから! うん、大丈夫!) マホ「それじゃ、行きましょう!」グイッ 京太郎「おっ、おい、急に引っ張るなって」 マホ「マホ、ゲームしたいです、ゲーム!」 京太郎「ったく、しょうがないな」 京太郎「……ゲームセンターに熱中し過ぎて、用事のことすっかり忘れてた」 マホ「クリスマスツリーって、どこに売ってるんですか? 植物屋さん?」 京太郎「いや、ジャスコ内のおもちゃ屋だよ」 マホ「クリスマスツリーって、おもちゃなんですか?」 京太郎「うーん、本物の木じゃないんじゃないか? サイズは小さいって言ってたし」 マホ「なるほどー」 京太郎「しかし小さくても、今から運ぶって結構大変だよな……」 京太郎「あれ、あの後ろ姿……おーい、ハギヨシさーん!」 ハギヨシ「おや、京太郎君ではないですか」 京太郎「どうしたんですか、こんなところで?」 ハギヨシ「クリスマスの準備ですよ。恐らく、京太郎君と同じく」 衣「……ハギヨシ? 誰だ、この馬の骨は」 京太郎「う、馬の骨……」 ハギヨシ「友人です」 衣「友人! ハギヨシの友人なのか! それは不躾なことをした、陳謝する」 京太郎「いや、それは構わないけど……」 マホ「はわぁ……」 衣「むっ、こやつ……」ゴゴゴゴゴ ハギヨシ「衣様! この飾りとこの飾りはどちらがよろしいでしょうか!」 衣「えっ? うーん、この飾りも華美ではあるがこちらも……」ウーン ハギヨシ「ふう、危ない危ない」 ハギヨシ「ところで何を買うつもりで?」 京太郎「クリスマスツリーです」 ハギヨシ「ふむ……歩いて運ぶつもりですか?」 京太郎「そのつもですけど」 ハギヨシ「良ければ、車で一緒に運んで行きましょうか?」 京太郎「えっ、いいんですか?」 ハギヨシ「歩いて運ぶのは大変でしょうし、友人のためなら」ニッコリ 京太郎「ありがとうございます! おーい、マホ、この人が……ってあれ?」 マホ「わー、すごい大きいです!」 衣「これはエトペンと言う。エトピリカになりたかったペンギンというのが其の正式な……」ウンヌン マホ「そうなんですか。物知りなんですね!」 京太郎「……あら、仲良くなってる」 京太郎「よいしょ、と」 ハギヨシ「では、参りましょうか、清澄まで」 ブロロー 衣「ほう、清澄なのか! サキとノノカの!」 マホ「マホはまだ中学生です」 京太郎「高校に上がるのは二年後ですから、当たりませんね」 衣「そうか、残念至極だ。麻雀は打てるんだな?」 マホ「いえ、私はまだまだで……」 京太郎「当然。咲も認めてましたからね」 マホ「いやっ、そんな」 衣「この衣の目はごまかせん。マホには怪力乱神を感じる。サキや、全国の魑魅魍魎と同じく……」 マホ「ひいっ」 ハギヨシ「衣様、あまり脅かさないように」 衣「う、うむ、失敬した」 衣「おー、清澄だ!」 マホ「うわわわわ」 京太郎「ちょっ、どうしたんだ、マホ?」 マホ「夜の校舎って何だか怖いです……」カタカタ 京太郎「確かに、夜の校舎って不気味だな」 衣「ふふふ、それくらいで怯えるとは臆病千万! ころもは決してそn」 ガタンッ 衣「ひぃいー!!?」ブルブル ハギヨシ「失礼、ぶつけてしまいました」 京太郎(嘘だ、ハギヨシさんがそんなミスをするはずがない。これは……) マホ「せ、先輩……」 京太郎「大丈夫だってマホ、俺達がいるんだから」 マホ「手、つないでくださいぃ……」 京太郎「……ああ」ギュッ 京太郎(何故だろう。守ってやりたい、守ってやらなきゃという衝動が湧き上がる。これが父性……?) 京太郎「部室も、夜に来ると新鮮だな」 衣「……ノノカは?」 京太郎「……いる訳ないでしょう」 衣「そ、そうだな」 マホ「えへへ、クリスマスツリーがあると、一気にクリスマスらしさが増しますね!」 衣「うむ」 京太郎「うん、小さいけど、やっぱりいいな」 ハギヨシ「それではクリスマスツリーも運んだことだし、お帰りになりますか?」 京太郎「うーん」 京太郎「そうですね、用事は済んだんで」 ハギヨシ「では、行きましょうか」 衣「麻雀卓もあるし、折角だから4人で!」 ハギヨシ「衣様、もうおねむの時間でしょう」 衣「衣はそんな子供じゃない!」 ―車内― 衣「むにゃ……」 京太郎「じゃあまずマホの家にお願いします」 マホ「あの、先輩……」 京太郎「ん? どうした、マホ」 マホ「実は今日お父さんとお母さんの帰りが遅いんです。それで……あの……」 マホ「先輩の家にお邪魔してもいいですか?」 京太郎「俺の家にって……いや、それはマズいだろ……ねえハギヨシさん?」 ハギヨシ「大丈夫でしょう、須賀君なら」 京太郎「か、軽くないですか」 マホ「お願いします……」ウルウル ハギヨシ「可愛い女の子の助けを無下にするのですか」 京太郎「ぬ、ぐぬぅ……」 京太郎「分かった、分かりましたよ! 警察でも何でも来いってんだ!」 マホ「ありがとうございます、先輩!」ギュッ 京太郎「う、うん、分かったからとりあえず離れてくれないか」 ハギヨシ「それでは、須賀君宅へ」 衣「むにゃむにゃ」 ハギヨシ「それでは、メリークリスマス」 京太郎「メ、メリークリスマス」 ブロローン マホ「わー、大きいですね!」 京太郎「そうかな。こっちも両親いないけど、ゆっくりしてってくれ」 マホ「えっ、そうなんですか!」 京太郎「ああ、とりあえずご飯にするか」 マホ「あっ、でもご飯が……」 京太郎「何がいい? 作れる範囲で作るけど」 マホ「えっ、先輩料理出来るんですか?」 京太郎「まあな。さっきの人に一通り仕込まれたから」 マホ「はあー、コックさんなんですね」 京太郎「いや、コックさん違います」 京太郎「何がいい?」 マホ「タコスです!」 京太郎「タ、タコス?」 マホ「はい、須賀先輩が得意だと聞きましたので」 京太郎「確かに図らずも得意料理だが……よし、究極のタコスをご覧に入れてみせよう」 マホ「何か凄みを感じます!」 ―クッキングタイム― 京太郎「よし、完成!」 マホ「美味しそうな匂いです! 食べてもいいですか?」 京太郎「どうぞどうぞ、召し上がれ」 マホ「いただきます! ……これは!」モグモグ 京太郎「タコスと言えばスパイシーな味付けだが、今回は違う」 京太郎「ミートソースにチーズをトッピングして、お子様でも安心して召し上がれる味付けになっている!」 マホ「もごむぐもが」モグモグ 京太郎「うん、無理に喋らなくていいからな」 マホ「ごくん! 美味しいです、これ!」 京太郎「だろー? 流石だろー?」 京太郎「他にもあるぜ、醤油ダレと餅を使った和風タコス! クリームとフルーツを挟んだデザートタコス!」 マホ「すごいです、天才です!」 京太郎「まあ優希には邪道って言われたんだけど」 マホ「~♪」モグモグ 京太郎「そんなにうまそうに食べられると、俺も食べたくなってくるな」 マホ「! はい、先輩どうぞ!」 京太郎「えっ?」 京太郎(それ、マホの食べかけの……。これはいわゆる「はい、あーん」) マホ「……? 大丈夫ですよ、ちゃんと美味しいです」 京太郎(いや、こんな純真な子に何考えてんだ。そんな邪なこと、マホには思いもよらないに違いない。大丈夫大丈夫、平気平気) 京太郎「サンキュ、あむあむ」モグモグ マホ「どうですか、先輩?」 京太郎「うん、美味しい! やっぱ俺のタコスは最高だな」 マホ「えへへ、そうですね!」 京太郎「ありがとな」 マホ「まるで間接キスみたいになって―――えっ、あっ」アタフタ 京太郎「ああ、そうだな。ん?」 マホ「ど、どうしよう! 間接キスしちゃいました!」 京太郎「い、今更!?」 マホ「ああうう、先輩と……間接キスしちゃった……」カァア 京太郎「お、落ち着けってマホ」 京太郎(正直部活ではよくあることだし……主に2名で、和とは決してないけど) マホ「ど、どうしましょう先輩?」 京太郎「どうしましょうって言われても……」 マホ「あうあうあう」 京太郎「……」スッ 京太郎「マホ」ギュッ マホ「せ、先輩?」 京太郎「……大丈夫だから、落ち着けって」 マホ「先輩……」 京太郎「俺とマホの仲だろ? 仲良し先輩後輩、いや親友、いや家族みたいなもんだ。これくらいでどうにかなる関係じゃないって」 京太郎「どうだ、落ち着いたか?」 マホ「先輩……あったかい」 京太郎「あったかい?」 マホ「まるでお父さんお母さんみたいです」 京太郎「家族だからな、兄と慕ってくれてもいい」 マホ「……お兄ちゃん?」 京太郎「……いや、やっぱ先輩にしとこうか」 京太郎(いや別に問題はない、問題はないんだが……) マホ「?」 マホ「マホの家、いつも忙しくて、あまりお父さんお母さんがいなくて……。クリスマスも一緒にいれるか分かんなくて」 マホ「今日も、先輩が料理作ってる時に、帰れないってメールが来たんです」 京太郎「そうなのか」 マホ「だから、先輩がお兄ちゃんになってくれるって、すごい嬉しいです!」 京太郎「……よし、今日は、いやクリスマスまで俺は京太郎お兄ちゃんだ!」 マホ「本当!?」 京太郎「ああ、一緒にいような」 マホ「はい!」 京太郎(俺の内に眠る父性、いや兄性が雄叫びをあげている……!) マホ「……ふわぁ」 京太郎「眠たいのか?」 マホ「あっ、ええとその…」 京太郎「眠いんだな。そうだな、もう夜も遅いし、寝るか」 マホ「あっ、でもマホはまだ……」 京太郎「大丈夫だよ、遊びたいなら明日また遊ぼう。明日も俺は京太郎お兄ちゃんだ」 マホ「……はい!」 京太郎「うーん、それじゃ寝床どうしようか。マホ、俺のベッドと母さんのベッドどっちがいい?」 マホ「えっ? そ、それって……」 京太郎「ああいや、もちろん別々だぞ。マホが俺のベッドなら、俺は親父の部屋にでも」 マホ「……ぃです」 京太郎「ん?」 マホ「お兄ちゃんと一緒がいいです……」 京太郎(……大丈夫なのか、俺?) 京太郎(もちろん、大丈夫だ。何たって俺は―――) 京太郎「いいぞ。俺はマホのお兄ちゃんだからな」 マホ「! 嬉しい!」ギュッ 京太郎「じゃあ行こうか」 マホ「はい!」 京太郎「大丈夫か、寒くないか?」 マホ「ん、ちょっと……あっ」ギュッ 京太郎「ど、どうしたくっついて?」 マホ「お兄ちゃんの近くだとあったかいです……」 京太郎「マホも、温かいな」 マホ「そうですか?」 京太郎「……なあ、マホは清澄のクリスマスパーティーに来るのか?」 マホ「えっ、まだ考えてません……」 京太郎「是非来い、みんなといるときっと楽しいぞ。咲もみんなも、絶対歓迎してくれるから」 京太郎「クリスマスって、みんなとはしゃいで、笑って。そういうもんだろ?」 京太郎「俺が、楽しいクリスマスにするから、な?」 マホ「はい! お兄ちゃんと一緒なら、私楽しいです!」 京太郎「嬉しいこと言ってくれるな。それじゃ、明日のために早く寝ようか」ナデナデ マホ「えへへ。はい、お兄ちゃん」 京太郎「お休み、マホ」 マホ「お休みなさい、お兄ちゃん」 ―翌日― マホ「お兄ちゃん!」 咲「えっ、何その呼ばせ方は(ドン引き)」 和「これはシスコンですね……間違いない」 久「どうりでねえ!」 京太郎「やべえよ、やべえよ……」 カン
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A「悪いな、ロンだ」 京太郎「うがああああああ! 聴牌してたのにぃいいいい!!」 B「とても麻雀部員とは思えない警戒の低さだな」 C「そんなんで大会出れるのかよ」 京太郎「うるせぇ……だいたいお前らそんなに強いんならうちの部に来てくれよ」 B「部活とか怠いわ」 A「まぁ、あの原村さんと一緒の部活っていうのは魅力的なんだけどな」 A「お前の様子を見ているとちょっとな……」 C「どう見てもパシリだろ」 京太郎「……やっぱりそう見えるのか?」 A「どっからどう見てもな」 B「女子がお前のことタコス買い出し器って呼んでるの聞いたぞ」 京太郎「くそっ! これもみんなあのタコス娘のせいだ……」 C「まぁ戦力にならないんじゃ仕方ないな」 A「女子の方は団体にも出るんだろ? 去年のミドルチャンプもいるみたいだし、お前の存在意義はそんなもんさ」 C「役にたててよかったな!」バシバシ 京太郎「はぁ……もういっそマネージャーに転向しようかな」 A「そういや新体操の女子とかがお前のこと欲しがってたぞ。麻雀部で腐らせておくのはもったいないって」 C「羨ましいねぇ、イケメンは」 京太郎「新体操はおもt……いやなんでもない」 B「そういやこの間読んだ雑誌で、女子ランク全国2位の学校のエースの特集組んでてな」 B「なんでも病気で生死の境をさまよってから、いきなり強くなったらしいぞ」 A「そんなプライベート情報まで載せていいのかよ」 B「ゴシップみたいなもんだからな、信頼はできないんだろうけど」 京太郎「……その話マジか」 C「おいおい、冗談でもやめておけよ」 京太郎「わかってるって、いくら俺でもそn」ブブブ 京太郎「…………タコス要請が出た、もう部活に行かないとな」 A「強く生きろ」 B「辛いからってさぼんなよー」 京太郎「行ってくるわ。じゃあな」 ~部活後~ 京太郎(来る日も来る日も雑用ばかり)トボトボ 京太郎(たまに卓についたら、みんなから毟られるだけの銀行扱い) 京太郎(カモだと思って連れてきた咲はどう考えても怪物) 京太郎(優希はやけにまとわりついてきて鬱陶しいし) 京太郎(和目当てで入ったのに、肝心の和は咲にお熱と……) 京太郎(俺の青春は一体何のために……) 京太郎(…………もしも、もしもだ) 京太郎(麻雀が強くなって活躍することができたら……) 京太郎(和も……いや、それ以外の美女をも振り向かせることができるかもしれない!) 『なんでも病気で生死の境をさまよってから、いきなり強くなったらしいぞ』 京太郎「………」ゴクリ 京太郎「死にかけるだけ……なら大丈夫だよな?」 京太郎(そう、何も死ぬ必要はない) 京太郎(確実に生還できる方法で、なおかつ命を危機に晒せばいいんだ……) 京太郎(麻雀は競技人口1億人を超える、超メジャー競技) 京太郎(成功すれば、俺の灰色の青春は一気にバラ色になるはず!) 京太郎「おっし! やってやるぞ!」グッ 安価 19 京太郎が死に近づく方法 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/22(木) 00 18 31.26 ID IrLN3meiO 霞さんにクラッシュさる 京太郎(とりあえず、決行前に成功祈願でもしに行くか) 京太郎(まだ日は落ちきってないし、どうせだからあそこの大きめの神社にでも) ――神社境内―― 小蒔「……」ウロウロ 京太郎(ん? こんな時間に巫女さん?) 京太郎(というか、ここで巫女さんを見るのは初めてかもしれない) 京太郎(それにしても……立派なおもちをお持ちで……)ジュルリ 京太郎(ちょっと声をかけてみよう、これを機にお近づきになれるかもしれないし) 京太郎「あの、すみません」 小蒔「ひっ!?」ビクン 京太郎「いや、怪しいものでは……」 小蒔「えっと……その、なんの御用ですか……?」 京太郎「ちょっとお参りに来たんですが、この神社の方ですか?」 小蒔「いえ、私は用事があってちょっと寄っただけで……」 京太郎「そうだったんですか、道理で見かけない顔だと」 小蒔「あの……このあたりにお住まいの方ですよね……?」 京太郎「え、ええ、まぁ……」 小蒔「あの……このあたりで私と同じような格好をした人を見ませんでしたか?」 京太郎「いや……見てませんけど……」 小蒔「そうですか……すみません、一緒に来た人とはぐれてしまったもので」 小蒔「探し回ってみたんですけど、どこにも見当たらなくって……」 京太郎「それは大変ですね……」 京太郎(おお……近くで見るとまた想像以上に……)ゴクリ 京太郎「一緒に探すのを手伝いましょうか? 土地勘はありますし」 京太郎(和以上の逸材……加えて漂ってくるお香の甘い香り……) 京太郎「もう暗くなってきたのに、女性一人で歩き回るのも危険でしょう」 京太郎(くっ……いかん! オナ禁してきたせいで俺のリー棒がっ!!) 小蒔「そんな……そこまでしていただかなくても……」 京太郎「いえ、この須賀京太郎、目の前で困っている女性をほうっては置けません」 京太郎「さぁ、早く行きましょう」グイッ 小蒔「あ、ちょ」 霞「あらあら、そこの獣は小蒔ちゃんに何をしているのかしら」 京太郎「え?」クルッ ギュム パンッ!! 京太郎(あれ……ここはどこだ……?) 京太郎(あたりは霧の中のようにぼんやりとしてる) 京太郎(俺は一体……) 京太郎(…………あの光は) 京太郎(…………) 京太郎(…) 京太郎() 安価 45 京太郎が手に入れた力 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/22(木) 00 49 37.30 ID 3eJX9VBr0 牌が一つ飛ばしで透けて見える 京太郎?「ぅう……」 京太郎?「…………ここ……は?」 霞「気がつきましたか!?」 京太郎?「……あなたは?」 霞「石戸と申します、あの時は勘違いで取り返しのつかないことを……」ドゲザ 京太郎?「取り返しのつかない……?」 霞「…………私のせいで、あなたは既に男性ではなくなってしまいました」 京太郎?「へ?」 霞「正確には男性としての機能を失って……」 京太郎?「は……え……?」 霞「今から3日前、私はあなたが小蒔……我が一派の姫君に襲いかかっている暴漢だと勘違いをし、睾丸を握りつぶしてしまいました……」 京太郎「……握り…潰し?」ゾク 霞「今、私たちはあなたに2つの選択肢を用意できます」 霞「一つは、睾丸を失ったまま男性として生きていくこと」 霞「もう一つは、私たちの儀式で完全に女性に生まれ変わるということです」 霞「完全にこちらの責任でこのようなことになってしまい……本当に申し訳ありません……」 京太郎?「待ってください……話が急すぎて何が何だか……」 霞「急かすようで申し訳ありませんが、女性になる方を選ぶのでしたら早めに儀式を行わないと間に合わなくなります……」 霞「どうか、この場でご決断を……」 京太郎(女……俺が?) 京太郎(ど、どうすればいいんだ俺……) 85 玉無し野郎ルートor京子ルート 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/22(木) 01 14 05.28 ID l4dHd1QO0 京子 京太郎(風前)「えっと……中途半端なのはアレ? なんで……女にしてもらえますか……?」 霞「!! 分かりました、では早速準備に取り掛からせていただきます」スッ ハッチャン! イマスグミンナヲココニ リョウカイデスヨー! バタバタ 京太郎(風前)「これで良かったんだろうか……」 京太郎(風前)「何が何だかさっぱり分からないが……」 ~1週間後~ ――長野清澄―― 京子「とうとう帰ってきてしまったか……」 京子(儀式が終わってから、女性としての基礎知識を学んでから帰ってきたわけだが) 京子(まだ未だ違和感が拭えない……) 京子(髪はロングになってしまったのはいいとして) 京子(問題はこのおもちだ……) 京子(男性器のサイズに比例するらしいが、標準で15てそんなに大きかったのか? ) 京子(周りの人間よりはデカい気でいたけど、そもそもそんなに人のを見たわけでもなかったからなぁ) 京子(さて、ここからが正念場だ) 京子(相手に自分の言うことを信用させる神水……) 京子(これを香水の感覚でつけていれば女になったという事実をすんなりと受け入れさせることができる……らしい) 京子(不安だ……) 京子(とりあえず家に行くか……) ――自宅―― 京子「ただいまー」 母「はい!? どなた……」 京子「俺俺、京太郎だよ!実はさ、帰り道で体が熱くなったと思ったらこんな体になっちゃってさ なんか国立研究所みたいなところへ連れて行かれて、今日まで検査してたんだよ! 俺も信じられなかったんだけど、実際こんなことになっちゃってるわけだし 新種の病気みたいでまだ話を大きくしたくないらしいから発表はしてないんだけど 体にこれといった事情はないから問題ないし、心配しなくても大丈夫だぞ」 母「……」 京子(マズイ……顔が歪んでる) 京子(このまま警察ルート直行か?) 母「それは、大変だったねぇ……」ホロリ 京子(ちょろすぎワロタ) ――部室―― 京子(とりあえず同じ要領で教師を納得させることに成功した) 京子(あとは麻雀部の人間だけだが、まだ誰も来ていないな……) 京子(まあ女になったことに慣れていないがための体調不良を装って抜け出してきただけなんだけどな) 京子(この神水、かなり使えるから温存しておいたほうがいいな) ガチャ 咲「……え?」 京子「あ、咲」 咲「…………」プルプル 京子(あ、マズイ説明しないと……) 京子「あー、咲これはだな」 咲「京ちゃあああああああん!!」ダキッ 京子「!!??」 咲「どこに行ってたのバカっ! 私がどれだけ心配したとっ……!」ギュウウ 京子「は? え?」 京子(落ち着け、俺はまだ何もしてないぞ) 京子「えっと、先生から聞いたのか……?」 咲「なんにも聞いてないよ! 京ちゃんが帰ってきてるなんて一言もっ!」 京子「じゃ、じゃあなんでわかるんだよ……」 咲「そんなの私にもわからないよ……でも、絶対に京ちゃんだってわかるの!!」 京子(さっぱりだ……) 咲「良かった……良かったよぉ…………」ポロポロ 京子(まいったな、不思議なこともあるもんだ……) 京子(それにしても……) 京子(自分と比較することでより一層際立つ咲ボディの貧相さ……) ――部員への解説後―― 久「それにしても……特筆すべきはその胸よね」 優希「まさか犬の胸がのどちゃんの胸と拮抗する日が来るとは……」 まこ「髪も目を見張るような美しさの金髪じゃのう」 和「なぜでしょう……そんなオカルト有り得ない、と思うことができないのは……」 咲「でも、これで久しぶりに全員が揃いましたね!」ニコニコ 京子「ははは……みんながすんなり受け入れてくれて助かりました」 久「とにかく、無事に戻ってこれてなによりだわ」 久「今日はお祝いにパーッとやりたいところだけど……」 まこ「県予選も近いし、悠長なことは行ってられんのう」 久「ということで、今日も麻雀の特訓に励みたいと思います」 咲「そうだ! 久しぶりだし京ちゃんも一緒に打とうよ!」 京子「え?」 久「そうね、女の子になったわけだし、腕次第では団体戦にも出場できるわよ?」 まこ「京太郎……おっと、京子と呼んだほうがええんか?」 京子「どちらでも構いませんよ」 まこ「女子に京太郎と呼ぶんは気が引けるけぇ、京子にするか」 和「私は……須賀さんでいいですね」 優希「よしっ! 長いこと躾てなかったし、早速犬を調教してやる必要があるじぇ!」 久(なんだか以前より危険なセリフに感じられるわね……) 咲「みんなもこう言っているし、ね? 京ちゃん」 京子「まぁ、俺も麻雀部員だしな。構わないけど」 東:咲 南:優希 西:京子 北:和 ―東1局― 京子(なんか、すっげぇ大切なことを忘れている気がするんだが)ヒョイ 京子(お、順子が増えた) 京子(なかなかいい滑り出しだが……) 京子(…………ん?) 咲:1■1■④■③■九■九■一 京子(咲の手……ありゃあほぼ確実にヤオチュウの暗刻が二つだな……) 京子(こえーこえー、いつ嶺上開花が決まるか分かったもんじゃ……) 京子(……………………) 京子(ん?) 京子「うおわあああああああああああああああああ!!」 一同「!?」 久「ちょ、いきなりどうしたの!?」 咲「きょ、京ちゃん?」 京子「は、牌が……透けて……」 まこ「は?」 和「須賀さんは何を言っているんでしょうか……?」 優希「とうとう頭がおかしくなってしまったか……」 京子「さ、咲!! お前の手、そっちから見て左からひとつ飛ばしに一九九③④11になってないか!?」 咲「え……あ!」 久「ほんとね……須賀……さんの言う通りだわ……」 京子(ど、どういうことだ……) 京子(女になった時に、ほかの異常が起きたっていうのか……) 京子(いったいこれは…………) 京子(あ) 京子(………………そうだった) 京子(なんで今まで忘れてたんだ……) 京子(命を危険にさらすことで、麻雀が強くなるって聞いて……) 京子(もしかして、今の俺の体は……この力の代償ってことだったのか……?) 京子(ああ、神様……あんたって奴は…………とんでもないやつだよ……) ∧∧ ∩ ( ´∀`)/ ∧∧ ∩ ⊂ ノ ( ´∀`)/ (つ ノ ⊂ ノ ∧∧ ∩ (ノ (つ ノ ( ´∀`)/ (ノ ⊂ ノ ∧∧ ∩ (つ ノ ( ´∀`)/ (ノ ⊂ ノ ∧∧ ∩ (つ ノ ( ´∀`)/ (ノ ⊂ ノ (つ ノ ∧∧ ∩ (ノ ( ´∀`)/ ⊂ ノ (つ ノ (ノ ∧∧ ∩ ( ´∀`)/ _| つ/ヽ-、_ / └-(____/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 続きはまた建てるわ <⌒/ヽ___ /<_/____/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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3 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/15(火) 02 08 43.98 ID eMhzalz+o [3/8] 【須賀京太郎】 <アイドルランク>(ファン人数) Cランクアイドル(100000~300000) <容姿> S(77) <雀力> S(87) <歌唱力> B(54) <演技力> B(57) <特技> タコス作り <担当> 清水谷竜華(プロデューサー) 花田煌(マネージャー) 竹井久(事務員見習い) 龍門渕透華(スポンサー) 福路美穂子(家政婦) 瑞原はやり(総合トレーナー) 弘世菫(麻雀トレーナー) 松実姉妹(容姿トレーナー) 雀明華(歌唱力トレーナー) 石戸霞(演技力トレーナー) <アイドル経歴> 雑誌特集 表紙 パンフレット サイン会 ドラマ主演 いい○も出演 CM出演 仮面ライダー 主演 アニメ 主要キャスト起用 抱かれたい男ランキング 第四位 |. G | F | E | . D |. C | . B |. A | . S | SS |SSS―――┼―――――――――――――――――――――――――容姿 |lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll雀力 |lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll歌唱力|lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll演技力|lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll <須賀京太郎のファン> 宮永照 宮永咲 蒲原智美 愛宕洋榎 愛宕絹恵 江口セーラ 鹿倉胡桃 染谷まこ 片岡優希 原村和 国広一 深堀純代 藤田靖子 滝見春 池田華菜 久保貴子 18 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 21 01 51.00 ID ky/uyVgpo [2/14] 【一週間後 アクセル1】 竜華「……」ボーッ ガヤガヤ ザワザワ 竜華「……はぁ」 ガチャッ 竜華「ん?」 煌「おや、お疲れ様です」スタスタ 竜華「んー……お疲れさん」 煌「ふふっ、事務所も大分騒々しいですね」 竜華「うん。まぁなぁ」チラッ トゥルルルルル! ハイモシモシ! ハイ、ハイ! ソノヒハテレビノシュウロクガ…… シゴトアイテタッケー? コレカラニシュウカンヤスミナシデス! 竜華「……」 あの日から、一週間が経った 京太郎君がプロと対局して……勝って それから、一週間 煌「あ、そうそう。あの雑誌、好評みたいですよ」スッ 竜華「当然や。大スクープやもん」 煌「……よく撮れてますね、すばらっ!」ニコニコ 竜華「ほんま、綺麗やな」 煌「……清水谷さん」 竜華「ほんま……」 うちは―― 竜華「……ええ顔しとる」 京太郎君と会ってない 19 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 21 12 31.73 ID ky/uyVgpo [3/14] ~~一週間前~~ 【対局場所】 京太郎「……竜華さん」 竜華「ん? なに?」ゴシゴシ 京太郎「俺! 今、分かりました!」 竜華「ふぇ?」 京太郎「……」 竜華「なんなん? 真面目な顔して」キョトン 京太郎「俺、竜華さんのこと――好きです」 その時、うちの頭は真っ白になった 京太郎君の言った言葉の意味を理解するのに、頭が回らなかった それほどまでに、その言葉はまるで夢みたいで だから―― だからこそ、うちは 竜華「……あ、当たり前や! うちはプロデューサーやからな!」アハハ その言葉を、信じることができひんかった 京太郎「えっ……?」 竜華「うちも当然京太郎君のこと、好きやで」ニコニコ 違う 京太郎「え、えと……そ、それは【プロデューサー】として、ですか?」 竜華「はぁ? 当たり前やん。それ以外に何があるん?」バンバン ほんまは、こないなこと言いたない 京太郎「……そ、そうですか」ウツムキ なのになんで……? 竜華「ほら、みんな驚いとるし。ちゃんと説明せんと」クスクス タッタッタッタ 竜華「皆さんすみませんでした」ペコリ 靖子「い、いや。別にそれはいいんだが……今のは?」 はやり「……竜華ちゃん?」ムスッ 竜華「うっ……」 瑞原プロの視線が痛い あれは一体、うちと京太郎君のどっちに怒っとるんやろ? 良子「サブライズ……今のは聞き流すべきなんでしょうか」 咏「わっかんねー。でも、一つ言えるのはさ」ギロリ 理沙「最低!」プンスコププン! 竜華「……っ」 前言撤回 完全にうちが責められとる 20 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 21 23 02.39 ID ky/uyVgpo [4/14] はやり「竜華ちゃん。今の、どういうつもり?」ジッ 竜華「な、何がですか?」メソラシ 完全にうちが悪い そないなこと分かっとる それでも、どうしようもあらへん 竜華「あの、うちは……」 京太郎「……」 煌「……っ! み、皆さん!」ダッ 重い空気を見かねた花田さんが割って入る ほんまこの人は……空気が読める人や 煌「た、担当の人も……具合が悪いようですし」 編集「」アヘアヘ 煌「ここは一度休憩しましょう? ね?」 プロ一同「……」ジッ 竜華「……うちからも、お願いします」ペコリ プロ一同「……」コクッ キュウケイハイリマース オツカレーッス 煌「一旦、落ち着きましょう」 竜華「花田さん、うち……」 咏「おい、そこの」 竜華「うち、ですか?」 咏「……逃げんなよ」ボソッ 靖子「三尋木プロ、行こう」 咏「……」ギリッ タッタッタッタ 竜華「……」 煌「プロデューサー、しっかりしてください」 竜華「うん……ごめん」 京太郎「……」 宥「」カチコチ 玄「」チーン 竜華「京太郎君……ごめんな」 それからの事は、よく覚えてへん 収録が無事終わって、呆然と家に帰って 布団にくるまって寝た ただ、それだけ 23 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 21 33 28.57 ID ky/uyVgpo [5/14] 【現在 アクセル1】 そして一週間が経った 元々ハードスケジュールやった京太郎君は、その日から仕事漬け 学校もあるうちは、京太郎くんと会えない日々が続いていた 竜華「……」 煌「悩んでいるんですか?」 竜華「えっ?」 煌「ふふっ、顔に出てますよ」クスクス 竜華「……かなわんなぁ」グテー 煌「清水谷さん。今私がどんな気持ちか――分かります?」 竜華「えっ? そない言われても……」 顔はニコニコしとるけど、内心はそないなハズないし やっぱり―― 竜華「怒って、るんとちゃう?」ビクビク 煌「ピンポーン、大正解です」ニコニコ 竜華「」 あぁ、胸が痛いでほんま―― 煌「でも、勘違いしないでくださいね」 竜華「え?」 煌「別に、清水谷さんに怒っているわけではないので」クスッ 竜華「どういう、こと?」 煌「私は京太郎君に怒ってるんです」プクーッ 竜華「へっ?」キョトン なんで? 悪いのはうちやないの? 竜華「花田さん、どうして京太郎君に怒っとるん?」コポコポ 煌「どうして? どうしてって、そりゃまぁ……いろいろありますけど」 竜華「だって京太郎君は何も……」ゴクゴク 煌「大体! どうしてあんな場所で告白するんですか!」クワッ 竜華「ぶぅぅー!!」オチャブシャァァ! 煌「」ビッショリ 竜華「げほっげほっ!! な、なな何を!?」カァァァァ 煌「……」フキフキ 竜華「あ、あああ、あれは! 告白ちゃうし! そんなんちゃうでおまんがなー!」アセアセ 煌「落ち着いてください」ハァ 25 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 21 48 45.07 ID ky/uyVgpo [6/14] 竜華「だって! 京太郎君はその、えっと……」アセアセ 煌「まぁ、認めないだろうとは思ってましたけど」 竜華「せ、せやから認めるも何も! 京太郎君がうちのこと……//」カァァ だって、あの超が付くほどの鈍感やで? 人のことを女とも思っとらんし、デリカシー皆無や! そんな京太郎君が、うちのこと―― 好きやなんて、そんなことがあるわけ…… 煌「……清水谷さん」ゴゴゴゴッ 竜華「は、はいっ!」 こ、怖い!? 花田さんがこの前も助けてくれたし、味方や思うとったのに! それにあのこともそない気にしてへんように見えたんやけど―― 煌「私は、京太郎君が好きです」 竜華「はへ!?」ビクッ 煌「ここにいる誰よりも、ううん……世界中の誰よりも京太郎君が好きです」 竜華「な、なななっ……!?」カァァ 煌「なのに……京太郎君は私を選んではくれませんでした」ウツムキ 竜華「……花田、さん?」 煌「だから……私は京太郎君に怒ってます。私を選ばなかった京太郎君を許したくない」ジワッ 竜華「……」ズキン 煌「どうして……ですか?」ポロッ 竜華「花田さん……うちは」 煌「どうして、私じゃダメなんですか……?」ポロポロ 竜華「……」ギュッ かける言葉が見つからない うちはこの人になんて言えばええの? 何を言えば、この人の傷を癒すことが出来るん? 煌「あはっ……あはは……ごめんなさい。これじゃ、私、愚痴ってるみたいで」ゴシゴシ 竜華「……」 何が、何が【気にしてへんように見えた】や ホンマに辛いのは…… うちより、この人に決まっとるのに 煌「……よし、笑顔!にぃっ!」ムニィー なのに、気丈に振舞って……うちを助けてくれて 煌「えー、おっほん。えへへ、お見苦しいところお見せしました」ニコニコ 竜華「花田さん……」 うち、なんて馬鹿なんやろ 26 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 21 57 41.36 ID ky/uyVgpo [7/14] 煌「つまりですね、私は罪作りな京太郎君に怒ってるんです!」 竜華「……そっか」 煌「あんなに私達を夢中にさせて、選ばないなんて……酷いですよ」 竜華「うん、うちも……そう思う」 煌「ですから、竜華さんの取った行動も――きっと、酷いことだと思います」 竜華「えっ?」 煌「あの京太郎君が……どんな気持ちだったのかを、ちゃんと考えてあげてくださいね」スクッ 竜華「あっ!」 スタスタ 煌「……失礼します」 バタン 竜華「行ってもうた……」 花田さん、あんなにいい人やのに どうして……京太郎君はうちを選んだんやろ? なんで、突然あんなこと言うたん? 竜華「……」 コチコチコチコチ 時計の音だけが耳に響いてくる あれだけ騒がしかった電話も、なぜか今は静か まるで、世界がうち一人だけになったみたい このまま――本当にうち一人だけになればええのに そう…… ガチャッ 京太郎「……」 竜華「あっ」 思ってたのに ~~アイドル と プロデューサー~~ 27 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 22 18 27.46 ID ky/uyVgpo [8/14] 【アクセル1】 京太郎「竜華、さん?」 竜華「あっ……えっ?」ガタッ あの日から、どれほどこの顔を夢見ただろう 京太郎「今、大丈夫ですか?」バタン 竜華「……うん」 意識するまでは、面と向かっていられたその顔も 今じゃなぜか気恥ずかしくて 京太郎「じゃあ、座りますね」 竜華「……ど、どうぞ」モジモジ やっぱり、あの一件でどこか気まずい感じがする こんなんじゃ、本題に入るのすら難しい…… 京太郎「……」 竜華「……」ソワソワ なんとかして、話題を作らないと…… 京太郎「……あの、さっき煌さんに会って」 竜華「うん……」 京太郎「竜華さんがここにいるって、聞いたので」ポリポリ 竜華「そ、そっか」 京太郎「……」 竜華「……」 京太郎「あの、えと……」 竜華「……うん」 京太郎「好き、です」 竜華「……」 京太郎「……」 竜華「え、今なんて?」 京太郎「!?」 29 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 22 38 41.30 ID ky/uyVgpo [9/14] い、今何が起きた!? 完全に沈黙していたタイミングで、なんで聞こえないフリ!? 京太郎「うぇ!? え、ええええ!?」 竜華「……」モジモジ 京太郎「ちょ、ちょっと待ってください!」 竜華「な、なんや……?」ドキドキ 京太郎「今の聞こえてたでしょ!?」 竜華「……」プイッ 京太郎「え、ええっ!?」 どうして……聞こえないフリなんてするんだ? 俺のことが好きじゃないなら、断ればいいだけのハズだ 京太郎「竜華さん!」 竜華「な、なに?」ソワソワ 京太郎「今、聞こえてますよね?」 竜華「う、うん」 京太郎「じゃあ、言います」ギュッ 竜華「……」ドキドキ 京太郎「……お、俺は!」スゥゥゥ 竜華「……」 京太郎「竜華さんのことが好きです!!」 竜華「!!」ガタッ 京太郎「(やったか……?)」 竜華「ごめん、聞こえへんかった」 京太郎「」 30 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 22 55 50.52 ID ky/uyVgpo [10/14] 京太郎「はぁぁぁぁ!?」 竜華「……」プイッ 京太郎「あ、あの! なんで聞こえないフリするんですか?」 竜華「べ、別に……」プイーッ 京太郎「……」 竜華「……」 京太郎「……」カキカキカキ 竜華「……なにしとるん?」 京太郎「竜華さん、これを見てください!」 紙「好きです by京太郎」 竜華「……!!」 京太郎「(どうだ!? これなら聞こえないは通用しないぞ!)」グッ 竜華「……」 竜華「郎太京 yb すでき好? どういう意味やろ?」キョトン 京太郎「おぉぉぉぉぉぉい!? 何度繰り返すんですか!?」 竜華「だぁぁぁぁ!!! うっさい!!」 京太郎「っ!?」 竜華「はぁ、はぁっ……」プルプル 京太郎「……」 竜華「ハッキリ言わな……分からんの?」キッ 京太郎「!」 竜華「……うちが、気ぃ遣っとるのに。アホみたいになんべんも言われたらかなわんで」 京太郎「……」ズキッ 竜華「京太郎君……もう、そないなこと言わんといて」ドンッ 京太郎「あっ……」 本当に、俺は嫌われてる……のか? なら……もう 京太郎「……はは、あははっ……すみません」 竜華「……」 31 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 23 16 54.57 ID ky/uyVgpo [11/14] 京太郎「俺……何か勘違いして、たみたいで」 竜華「……」 京太郎「少しくらい脈があるかなー、なんて思っちゃって」ポリポリ 竜華「……」 京太郎「……でも、竜華さん」 竜華「……」 京太郎「俺は、本気で竜華さんのことが好きなんです」 竜華「……っ」ギリッ 京太郎「そりゃあ俺は何かも中途半端で……」 竜華「……(違う)」 京太郎「竜華さんへのこの気持ちに気づくまでずっとフラフラしてました」 竜華「(うちは……ホンマは!)」 京太郎「だけど、やっと気づけたんです」 竜華「京太郎君……」 京太郎「だから、しっかりと言葉にしたい」 竜華「……」 京太郎「ちゃんと、正面からぶつかってから玉砕したいんです」 竜華「うちは……」 京太郎「竜華さん。俺は竜華さんのことが好きです」 竜華「!」 京太郎「だから、キチンと竜華さんの口から返事を聞かせてもらえませんか?」 竜華「う、うちは京太郎君のことなんか……」 京太郎「……」ググッ 竜華「京太郎君のことなんか、ことなんか!」グッ 京太郎「俺のことなんか……?」 竜華「~~~~!!」 バンッ! 京太郎「!?」ビクッ 竜華「大体、いきなりなんなん!?」 京太郎「え?」 竜華「うちはプロデューサー! 京太郎君はアイドルなんやで!」 京太郎「そ、それはそうですけど……」 竜華「なのに、好きだとかそうじゃないとか……おかしいと思わへんの?」 京太郎「……確かに、おかしいと思います」 竜華「せや。だったら、こないな事……意味あらへんよ」 32 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 23 27 53.87 ID ky/uyVgpo [12/14] 京太郎「でも、俺は竜華さんの事が好きなんです」 竜華「っ!」ドキッ 京太郎「こんなのダメだって分かってるのに、気持ちを抑えられない」 竜華「うちは……」 京太郎「だから、竜華さんの口から返事を聞かせてください。そしたら、俺も諦められます」 竜華「~~~!?」ギリッ 京太郎「?」 竜華「せやから! 意味ないって言うとるやん!」 京太郎「りゅ、竜華さん……?」 竜華「こんなん、絶対間違っとる!」 京太郎「それでも俺は!」 竜華「うちは、うちは!!」 京太郎「……」 竜華「……」ジワッ ポタッ ポタッ…… 竜華「京太郎君の、グスッ、ことなんか……ヒグッ、うち、うちぃ……」ゴシゴシ 京太郎「……すみません。俺が悪かったです」ペコリ 竜華「あっ……」 京太郎「この後、曲の収録があるので……俺、もう行きますね」クルッ 竜華「京太郎君……!」 京太郎「……」 バタンッ 竜華「……」 33 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 23 39 05.28 ID ky/uyVgpo [13/14] それから、どれだけの月日が経ったんやろ あの日、すれ違った想いは……今でもずっと胸の中にくすぶっていて 自分でも、どうしてあんなことをしてしまったのかは分からへん でも、京太郎君は受け入れてくれた 次の日からは今までどおりの態度でうちに接してくれて うちも、以前と同じような態度を演じた せやけど、全てが元通りになったわけじゃない 表面は以前と同じでも、内側はどこか大きな溝が出来たみたいで うちと京太郎君は……もう、完全に繋がり合うことはない アイドルとプロデューサー ただそれだけの関係 二人の、あるべき関係 もっとも、理想的な関係 これで、よかったんや 京太郎君も、うちも―― 後悔なんて、してへんのだから ~~二年後~~ 【アクセル1】 竜華「……付き合う?」 京太郎「ええ。昨日、和に告白されて」 竜華「そう……そっか」 京太郎「俺もアイツも、もう大人ですし……公表してもいいですか?」 竜華「社会人言うても、お互い芸能人や」 京太郎「はい。だから、スキャンダルになる前に事務所側から、と」 竜華「……」 後悔なんて、あらへん 35 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/17(木) 23 50 18.27 ID ky/uyVgpo [14/14] 竜華「……ファンの子、怒るやろなぁ」 京太郎「そうですね。認めてくれるファンは少ないと思います」 竜華「なんたって、今や日本一のアイドルやし」 京太郎「いえ、俺なんてまだまだですから」 竜華「ふふっ、謙遜せんでええよ。京太郎君のスゴさは、うちが一番分かっとるんやから」ニコニコ 京太郎「……」 竜華「和のファンは……まぁ、メインどころは寛容してるし大丈夫やろなぁ」 京太郎「はい。和もそう言ってました」 竜華「へ、へぇ……」 京太郎「辛い事もあるだろうけど、支えあって頑張っていこうって……」 竜華「っ……そっか」 京太郎「はい。だから……許可、貰えませんか?」 竜華「……」プルプル 京太郎「お願いします。これまで通り……ちゃんとアイドルも頑張りますから!」ドゲザッ 竜華「きょ、京太郎君……!?」 京太郎「お願いします……竜華さんに、認めて貰いたいんです」 竜華「う、うちは……」 分岐安価↓5 1 認める 2 認めない 41 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/18(金) 00 07 17.10 ID nasSaQBUo [1/7] 竜華「……そんなん、ダメに決まってるやん」 どうして、今更うちはこんな未練がましいことしとるん? 京太郎「えっ……?」バッ 竜華「アイドルとして、今が一番大事な時期なんや」 京太郎「それは……承知してます」 竜華「せやったら、今は恋愛なんてしとる場合やないで」 もう、諦めたハズなのに 京太郎「っ!!」 竜華「大体、和とどんな話したのか分からへんけど……本気なん?」 うちの心はまだ―― 京太郎「えっ?」 竜華「ちょっと優しくされて、勘違いしちゃったんとちゃう?」 京太郎「……っ!?」 竜華「やめといた方がええ。きっと上手く行かへんし、今はアイドルに集中しぃ、な?」 京太郎「竜華……さん?」ワナワナ 竜華「そもそも、和のどこがええの? 京太郎君えっちやし、もしかして――」 京太郎「竜華さん」フラッ 竜華「体やったらうちやって負けてないし、どや? そういうのなら割り切ってうちが――」 パァァンッ! 竜華「……えっ?」ジンジン 京太郎「……」キッ 竜華「うちの……頬を……えっ?」ジワッ 京太郎「お世話に……なりました」ペコリ スタスタスタ 竜華「あっ……」 バタン 竜華「……」 あぁ、終わった うちと、京太郎君の関係はもう……戻らへん きっと、これからもずっと 二人はもう、戻れないんや―― 43 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/18(金) 00 20 05.39 ID nasSaQBUo [2/7] 竜華「……」 ガチャッ 久「入るわよ?」 竜華「あっ……うん」スッ 久「……アナタ、何言ったの? あんなにキレた京太郎君は初めて見たわよ?」 竜華「……別に」 久「ふーん。まぁいいけど、あまり苛めちゃだめよ?」 竜華「分かっとる。それで、要件は?」 久「来週のドームイベントの事よ」 竜華「……ああ。せやったな」 久「京太郎君はそこで和の事……発表したいって事だったけど」チラッ 竜華「……」 久「その様子じゃOKサインは出なかったようね」 竜華「当たり前やん。京太郎君はアイドルや、恋愛なんて……」 久「……ねぇ」 竜華「……」 久「私はね、アナタが自主リタイアした事は凄いと思ってるわ」 竜華「っ!」ビクッ 久「一度は勝ちを得たのに、京太郎君を思って諦めた……そのことは尊敬に値する」 竜華「そんな、こと……」 久「でもね、今は違うわ。むしろ逆」ギロリ 竜華「……」ブルブル 久「今のアナタ、情けないわよ」スタスタ ガチャッ 久「……じゃあね」 バタン 竜華「うちかて……ほんまは……!」ドンッ 45 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/18(金) 00 35 33.49 ID nasSaQBUo [3/7] 竜華「……」 コンコンッ 竜華「……誰や?」 ガチャッ 和「私です」 竜華「!?」 和「……」ニコッ 竜華「なんなんや……今日はもう」ハァ 和「こうして話すのは久しぶりですね、清水谷さん」スタスタ 竜華「……」 和「いえ、プロデューサーと呼んだほうが良いのでしょうか?」 竜華「何……? うちを笑いにでも来た?」 和「ただの挨拶ですよ。正式発表前の……」ニコニコ 竜華「っ!! うちは許可せん!!」 和「あら、まだあの時のことを引きずっているんですね」 竜華「(……ホントは、うちなんや。その場所におるのは)」ギリッ 和「京太郎君。あの後、しばらくは見ていられないくらい傷ついていました」 竜華「和……」 和「そんな状態の京太郎君に、親身になってくれる友人がいたら……仲は深まりますよね」クスクス 竜華「和!!」バッ 和「ですが笑えますね。あの一件であなたは京太郎君と決別、一方私は今では彼の恋人です」 竜華「っ!?」ズキッ 和「随分と差がつきました。悔しいでしょうね」クスッ ブチッ 竜華「和!!!」ガシッ ガシャァァァン! 竜華「それ以上言うたら、ホンマに叩くで!」 和「……どうぞ、叩いてください」 竜華「えっ……?」 和「それでアナタの気が済むなら、いくらでも……」 竜華「……!!」ワナワナ 和「……できないんですか?」ジィッ 47 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/18(金) 00 50 33.19 ID nasSaQBUo [4/7] 竜華「くっ……」プルプル 和「やらないんですか? もう、こんなチャンスはありませんよ?」 竜華「……」スッ 和「惨めですね……」 竜華「なっ!?」プルプル 和「……惨めだって、言ったんです」 竜華「なんやって?」ギリッ 和「好きな人から逃げて、なのに諦められずにずっとしがみついて」 竜華「違う……」 和「今でも好きな癖に、自分を偽っているんでしょう?」 竜華「違う」 和「不甲斐なくて笑いが、で、でますよ……」クスクス 竜華「違う!!!」 和「!!」 竜華「アンタに何が分かるん!?」 和「……わかりませんよ、何も」 竜華「うちは、うちは京太郎君が好き! 今でも、ずっとずっと!!」 和「……」 竜華「でも、でもっ……うちが京太郎君と付き合えるわけ……ないやん!」 和「どうして?」 竜華「だって、京太郎君はアイドルで……うちはプロデューサーやから」 和「それが言い訳ですか?」 竜華「違う、事実や!!」 和「……そうですね。アナタはプロデューサーで、京太郎君はアイドルです」 竜華「せや! だから、付き合えるわけないやろ! うちだって、うちだってホンマは……!」 . / | . i .| . . . i| | . . . . . .|! . |i . | 、 . .゙、 、 ゙、゙、 ; イ/ i ./ | i .| . . . i .| . . .i| | . . . . . . .|! .| i . i 、 . . 、 .、 . . .! . iヽ/ . . .|/ i i | | . | .| . . . i| | . . .| ! | .. |i. | .i i ゙、 . .i.;A-‐ハ .! . . . . . . ..! ___| ! .i | . | . . .i .! . . .|!.i! l | . ! . . . . ..i . .i ゙、! _/ハ ハ/ |ィ;. .,.-‐-、! /. . . . .V/i |.| . . i i i_ |、!、 . .! i !、i . . . . . .i . .i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |' . . . . . .i . | . . . . ! i i! | .. i i . . i`iー ト-!、丶 . . . . i 、^V i_; ヽ / i . | . | . . . 、 ! i、 . .i . . . .| .i 、 .7メ'f ヾー\ . . . 、`ヾ ;;; ン ′ ノ . . ! .| . . . ヾi 、 .\ . \ .]〈 っ ; i  ̄` _,∠| | . | .|―- ヽ! .i、`゙ー-r≧ ≠ , " " / | ! . | .!//// | .| . . . . . . \! ,, ,, / i! i .i//// | .| . . .i i r== "ヽ / i . i .|//// | | . i . |\ ∨__ノ) / / . i. |//// | | . .| イ | |l`ー-..、  ̄ ̄ / / . |///// |.| . | ∧ i . !i `i ー-‐ ' ,..-‐ / . .i!///// 和「ふざけないでくださいっ!!!」 竜華「!!」ビクッ 48 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/18(金) 01 03 28.61 ID nasSaQBUo [5/7] 和「結局、言い訳してるだけじゃないですか!」 竜華「ち、ちがっ……」 和「京太郎君が、これまでどれだけ辛かったと思うんですか?」 竜華「……」 和「自分の想いに気づいて、それを伝えたのに……その返事を貰えなかった」 竜華「それは……」 和「どうして返事をしなかったんですか? 自分達の役目を傘にするなら、きちんと断ればいいじゃないですか」 竜華「だって、うちは……京太郎君を」 和「嫌いだって、付き合えないと言えばよかったじゃないですか?」 竜華「……」 和「そうしなかったのは……なぜですか?」 竜華「うちは――!」ダッ 和「あっ……!」 ガチャッ 竜華「っ!!」ダッダッダッダ バタァァン! 和「後は……任せましたよ、京太郎君」ツゥー 【アクセル1 前】 ザァァァァァァ!! バシャバシャバシャッ! 竜華「はぁっ……はぁっ!」ダッダッダ ヒソヒソ ザワザワザワ 竜華「うち、うちぃ……なんて、なんてこと」ポロッポロッ 結局、自分のことしか考えとらんかった 京太郎君のことを思うフリして、うちは……逃げてただけやった 51 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/18(金) 01 14 27.77 ID nasSaQBUo [6/7] 竜華「はぁっ、はぁ……」 ザァーッザァーッ 竜華「傘……忘れてもうた」ビショビショ 馬鹿やな、うち…… 冷静に考えればアイドルとプロデューサーなんて、付き合えるわけないと分かっていたのに なのに……期待しとった もしかしたら、いつかきっと……! そんな風に思って……結果を先延ばしにしようと必死だった 竜華「うっ、ぐっ……ヒグッ」ポロポロ やっぱりうちには資格が無い うちなんて…… 竜華「京太郎君に、なんて謝ればええんや……」フラフラ ガクッ ドシャァァ!! 竜華「……」バシャン 京太郎君、うち……もうダメや こんなに暗い闇の底じゃ、もう追い付けない もう京太郎君と一緒にいられへん だから…… シーン 竜華「……?」 あれ? 雨がやんだ? いや、違う…… 目の前の水たまりには相変わらず雨粒が降り注いどる じゃあ、なんで……? 赤い傘の持ち主「……風邪、引きますよ」 竜華「え?」 それはきっと……今を変えた運命の出会い 赤い傘の持ち主「立てますか?」 この人に会った瞬間から―― 竜華「……」ドクンッ うちは―― 京太郎「竜華さん」 竜華「ぎょうだろぉぐぅん……」ポロポロポロ きっと END 77 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/18(金) 21 57 22.22 ID LOKQL5S2o [3/12] 京太郎がアイドルとして活動を始め、世界は大きく変動した そう――とある学者は述べる 実際その言葉通り、世界は変わった 世界の京太郎ファン人口は数億人を越え、プロの京太郎ファンは人々の注目を集めていた 日本でも大規模なライブが毎年開催され、そこでは京太郎に直結(意味深)する野望を果たすべく 全国の京太郎ファン達が覇を競っていた そして―― 【武道館 控え室】 ガチャッ 京太郎「ふぃー! 疲れたぁぁ!」ドサッ 煌「ふふっ、お疲れ様です」クスッ 京太郎「まさかアンコールが36回も続くなんて……マジきついっす」グテー 煌「それだけ大人気ということじゃないかな?」クスクス トタタタ 竜華「お疲れ様ー、いい感じやったね」 玄「全部おねーちゃんのメイクのお陰なのです」どやっ 宥「う、ううんっ! 京太郎君が凄いからだよ!」アセアセ 京太郎「いえいえ、みんなのお陰ですってば」ニッコリ キラキラ 竜華「」ブシャァァァ! 玄「産まれるぅぅぅ!」 宥「おぎゃーおぎゃー!」 スタッフ「らめぇぇぇイグゥゥゥゥ」ドピュルルル 京太郎「……」 煌「……」 数ヶ月前 そのあまりの美貌ゆえに【兵器】として認定されかけた男 須賀京太郎の美貌は今まさに―― 煌「もう手がつけられない、かも」 京太郎「あ、あははっ……」 世界に猛威を振るおうとしていた ~~~そして、煌くステージへ~~~ 79 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/18(金) 22 10 35.76 ID LOKQL5S2o [4/12] 【翌日 アクセル1】 竜華「どうしよう」ズゥーン その日 京太郎のライブを終えたアクセル1は、重い空気に満ちていた 久「……前代未聞ね」ハァ アクセルガールズ「「「「「……」」」」 京太郎のアイドル活動を支え、ともに歩んできたスタッフ達 彼女達もまた……京太郎にほのかな想いを寄せている だが、そんな想いがあるゆえに……ただいま、深刻な事態に直面しているのだ 久「まさか、美穂子が……うぅっ」グスッ 霞「無理も無いわ。むしろ、今までよく我慢してきたと」ホロリ はやり「正直、私も今じゃ我慢できない時があるもん☆」 菫「それは結構前からだったようにも思いますが」 透華「ああっ……なんと私達は無力ですの!」 明華「福路さん……」 そう、普段ならここでニコやかにお茶を運んでくる、アクセル1の女神 福路美穂子の姿が無いのである その理由こそが―― 久「まさか美穂子が、あんなことを」オヨヨ 菫「ああ。京太郎君の寝込みを襲うなんて……」 はやり「無理も無いよ。耐えられないよ、フツー……」 ロッカー内【美穂子(束縛)「むーっ!! むむむーっ!!」モガモガ】 福路美穂子による、須賀京太郎夜這い未遂事件である 83 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/18(金) 22 25 25.90 ID LOKQL5S2o [5/12] 竜華「あの美貌やもんな……仕方無いって」 宥「福路さん……」 透華「しかし、よく防げましたわね」 霞「京太郎君が理性で押さえ込んだらしいわ」 久「それは……さぞ辛かったでしょうね」 菫「しかし、これからどうする?」 竜華「せやなぁ。あの福路さんでもダメやなんて」 そう、このメンツの中でも一番の常識人 聖人と言われる福路美穂子ですら、京太郎の魅力に耐えられなかった その他のメンバーで、京太郎と同じ屋根の下で暮らし、理性を保てるものがいるのだろうか? いや、いない(反語) 久「かといって、京太郎君の身の回りの世話をする人間がいないと……」 竜華「そうやなぁ、それは困る」 そう ハードスケジュールの京太郎、その生活を面倒みる者の存在は必要不可欠 絶対にいなければならないのだ 霞「かといって、誰か耐えられる者がいるのかしら?」 宥「……いないと思う」 玄「ですよねー」 菫「……困ったな」 京太郎がアイドルとして成長することは喜ばしい だが、それゆえのジレンマ 久「ねぇ……?」 竜華「ん?」 久「私にいい考えがあるんだけど」ニッコリ と、ここで久が口を開く その顔には――いくばくかの野心が感じられた 霞「何かしら?」 久「毎日、京太郎君と一緒にいるからダメなんでしょ?」 竜華「まぁ、そうやな」 久「だからさぁ……」ニィヤァ ボソボソボソ 一同「!?」 久「ね? いいでしょ」クスッ まさにそれは――悪魔的発想!! 85 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/04/18(金) 22 34 59.09 ID LOKQL5S2o [6/12] 久の考え、それは単純なことだ 毎日京太郎の世話をするから欲が溜まる それなら、その負担を減らせばいい 一日一回……メンバー全員で京太郎の世話をみる そうすれば、全員京太郎を襲うことなくいられる それに大義名分をもって、京太郎と甘い生活を送れるのだ まさに発送の逆転っ……!! 悪魔的考えっ……!! 久「さぁ、これでいきましょ♪」ニヤリ 一同「……」ニヘラァ 素晴らしい戦略、しかし……ただ一つ誤算があるとすれば それは―― 【一ヶ月後 アクセル1】 京太郎「で、これはどういうことですか?」 煌「……さあ?」 <<ロッカー>> 竜華(束縛)「むぐぅぐぅー!!」ジタバタ 久(束縛)「んむぅぅぅぅ!?」ガンガン 透華(束縛)「んひぃぃぃ!!」モガモガ 美穂子(束縛)「まがぁぁぁー!」ジタモガ はやり(束縛)「むむぅまぁぁぁ!!」フリフリ 菫(束縛)「んっ……あっあっ……」ジョロジョロ 玄(束縛)「むへへへっ……」モミモミ 宥(束縛)「むぅぅ!?」ゲシゲシ 明華(束縛)「……Zzz」スピー 霞(束縛)「こうなるって、最初からわかってたわよ」ハァ 社長(束縛)「むぐぅぅぅ!?」ジタバタ 京太郎「……」 煌「……」 京太郎が、イケメン過ぎること